公認会計士の海外展開講座 その3 2012年度シンガポール政府予算案のポイント(2)
特別雇用助成金(SEC)
2011年の予算案において導入された特別雇用助成金(SEC)は、対象者が55歳以上に限定され、かつ支給額も1人につき最高S$35というものでした。
外国人労働者に代わる労働力となりうる高齢者の雇用を促進する制度としてSECの内容が見直され、50歳以上のシンガポール国籍の従業員の雇用主に対して、月額賃金S$3,000以下の従業員については賃金の8%(最高S$240)、S$3,000からS$4,000の従業員についてはS$240からS$0の賃金に反比例する金額が支給されます。
2012年1月から2016年12月までの賃金が対象となり、毎年1月から6月および7月から12月の6か月間のCPF納付記録に基づき、9月および3月の年2回の助成金が交付されます。
生産性・技術革新控除(PIC)
生産性の向上を後押しするための優遇税制として導入されたPICに関しては、企業によるこれらの支出をさらに促すため、以下のような改正がなされました。
①所得控除に代わる助成金交付について、支給額を最高S$100,000までの支出額の60%(最高S$60,000)とする。
(2011賦課年度および2012賦課年度については最高S$200,000までの支出額30%であった)
②社内での教育訓練費については、1賦課年度につきS$10,000を限度として労働力開発庁(WDA)の認証要件を満たさないものも対象支出に含める。
③代理店に対して実施する社員教育の費用について、所定の要件を満たす場合には対象支出に含める。
④研究開発費配賦契約に基づいて発生した費用については、外部委託研究費と同様に配賦費用の60%を対象支出に含める。
⑤ソフトウェア開発費用について、複数の顧客に販売することという要件を削除する。
⑥2会計年度以上にわたる割賦契約により取得した自動化装置について、助成金交付の対象支出に含める。
上記の改正は、2013賦課年度から2015賦課年度まで適用されます。
2012 © 佐久間 将司@EMZ株式会社