トルコには野良猫・野良犬という表現がありません。飼い主がいない犬や猫は、sokak kedisi(通りの猫)/sokak köpeği(通りの犬)という言い方をします。
そのあたりの人が面倒を見ていることもありますし、区や町などの行政が餌や住むところを提供していることもあります。行政区によっては、プラスチック製や木製の簡単に組み立てられる箱を配布していて、家の前などにのらちゃん用の家として使われていることもあります。
写真のように、マンションタイプのものを公園などに設置しているところもあります。住むところだけでなく、餌や水などもあちらこちらに置かれています。
犬は、狂犬病の予防接種が義務付けられています。野良犬のように見える犬でも、耳にタグがつけられているなら、予防接種を受けている犬なので安心です。
推定ですが、トルコには2000万匹の野良猫や野良犬がいると言われています。その約25%に当たる500万匹が飼い犬や飼い猫として買われていると言います。実は、トルコのペット市場は2010年代からずっと右肩上がりで拡大し続けています。平均すると、年間15%ずつ拡大してきたと言います。
コロナ禍の下、2021年のペット市場は年間で125%の拡大を見せています。家の中で暮らす時間が長くなる中、初めてペットを飼ったという人たちの数も増えていて、約2割の家で猫を、12%の家で犬がペットとして飼われているそうです。ペットとして飼われている動物としては他に、鳩やインコなどの鳥類、水槽で飼う金魚などの魚類もあります。
ペット市場は、2021年には100億リラ規模になり、2023年には10億ドル規模となるとみられています。2020年の市場では、72%が猫の餌で占められていました。飼い猫のうち、既製品の猫餌を食べているのは約25%、犬の場合はさらに低く約12%が既製品の餌を食べているとみられ、さらに拡大が期待されている分野であることがわかります。
ペット市場の大きな部分を占めている餌も、年代や種別、価格帯など、様々なカテゴリーに分化し、拡大しています。さらに、アクセサリーや薬品、ペット用の衛生用品などを考えると、現在ペット市場の大きさで世界の20位前後にいると言われるトルコ市場が、トップ10に入る日も近いかもしれません。
実は、餌だけでなく、アクセサリー類も含めて国内生産がすすめられています。トルコ全体で5500件のペットショップ、2000件のペット専門のクリニックがあり、毎年その数は増え続けています。
2021年9月に8回目を迎えた「ペットズー・ユーラシア」は、ペット産業の国際見本市です。最近では65か国にペット製品を輸出するようになり、ペット産業の分野でも輸出国になりつつトルコにとって、この見本市は重要な位置を占めていると言えます。
参考サイト:
ミッレット紙の記事「ペットに10億リラ規模の餌」
https://www.milliyet.com.tr/ekonomi/evcil-dostlarimiza-1-milyar-tllik-mama-6378912
ギュネイ・ギュンデム経済紙のサイト「ペット製品は何億ドル産業」
https://www.guneygundemi.com/haber/evcil-hayvan-urunleri-milyar-dolarlik-bir-sektor
ペットズー・ユーラシア2021のHP
https://petfuari.com/eurasia/en/
2022/02/19
海外だより:トルコより
土窓愉見
トルコ在住