あまり知られていませんが、トルコは、実はオペラやバレエがお手軽に楽しめる国なんです。
その理由は、20世紀の初頭、共和国設立時に遡ります。共和国建国の父ケマルアタトゥルクは、教育の一分野として、芸術分野でも様々な改革を行いました。1923年に共和国設立後、1925年にはトルコの民族音楽の収集を開始、音楽教師を養成する学校を1924年に開校、1936年にはオペラ・音楽・バレエ・演劇の分野でのプロを養成するコンセルバトワールを設立しました。
コンセルバトワールというだけに、フランスの文化保存機構を範とし、西洋音楽をメインに据えた教育がおこなわれてきました。コンセルバトワールは、現在でも主要大学の多くに置かれていて、子供のころから歌や楽器のプロと一緒に研鑽する機会が開かれています。
イスタンブールやアンカラ、アンタルヤやイズミールといった大都市には、文化観光省の管轄下にある国立バレエ・オペラ団やオーケストラがあります。国立のバレエ団やオペラ団に所属している芸術家は、国家公務員として活動していることになります。そのため、オペラやバレエのチケットは、日本とは桁が違う金額で手に入れることができます。
例えば、オペラのチケットで前方の席で80リラ~100リラ、日本円にすると1000円~1200円くらいと、かなりお手軽に楽しめるのも嬉しいところです。
イスタンブールの新市街の中心、アタトゥルク広場に面したところに、アタトゥルク文化センターがあります。アタトゥルク文化センターは、1969年に開館した、複合文化施設でした。オペラやバレエ用の1307席ある大劇場、502席のコンサートホール、296席と190席の小劇場2つ、206席の映画館から成っていました。2008年には耐震性などの問題から一度閉館となり、新たに立て直されて2021年10月29日に再度開館しました。
イスタンブールの芸術愛好家にとって、待ちに待った時だったらしく、こけら落としのオペラ、アイーダの初日と翌日のチケットは2時間ほどで売り切れたそうです。このアイーダは、トルコの国営チャンネルTRTでも放送されていました。大都市のオペラやバレエ用の劇場は、10月にシーズンに入り、4月くらいまで、演目を変えながら上演しています。
夏には、劇場が閉まっていて寂しいと思っていましたが、実は、夏には夏の楽しみがあるのです。夏は、野外劇場でコンサートなどが開かれますが、地中海に面した人気のリゾート地アンタルヤの近くのアスペンドスにある古代劇場では、オペラやバレエが上演されています。オーケストラや役者さんたちもフルメンバーの本格的なプログラムになります。
古代劇場なので、石造りの座席に長時間座ることになるため、座布団を持参することをお勧めしますが、何千年もにわたって存在している劇場の音響効果はやはり素晴らしいです。舞台で繰り広げられるドラマの世界の中に自分もいるかのような臨場感があると思います。
写真出典元:文化観光省オペラ・バレエ部門ホームページ
https://www.operabale.gov.tr/en-us/Pages/HomePage.aspx
写真出典元: Kültür ve sanat haritası(チケット販売サイト)
https://www.kultursanatharitasi.com/wp-content/uploads/2018/02/f%C4%B1nd%C4%B1kk%C4%B1ran-768x511.jpg
2022/01/05
海外だより:トルコより
土窓愉見
トルコ在住