トルコで病院にかかる際に、まず気にしなくてはいけないのが、自分のかけている保険でどの病院にかかれるのかということです。
大きく3つに分けられます。
1. トルコ国籍があるかトルコで労働許可証を持っている人たちが加入している社会保険
SSK(社会保険機構)が管理している社会保険は、トルコにある企業で働いていたり、個人事業主も含めて会社を経営していたりする方々が必ず加入している保険です。
トルコ人の多くも、この保険に入っています。社会保険があれば、国公立病院や各地域にある診療所に無料でかかることができます。医師の処方箋があれば、薬も無料になります。国と提携している私立の病院に一部自己負担でかかることもできます。
トルコ国籍があって収入が少ない世帯は、イェシルカード(緑のカード)という低所得層が医療措置を受けられるカードを申請し、病院にかかります。多くの人が加入しているため、国公立病院は非常に混んでいることが多く、医師に診てもらうために何時間も待つことになりかねません。最近は、インターネットや電話で予約が取れるようになっていますが、イスタンブールやアンカラといった大都市では、やはり混雑しています。
感染症の場合は、国が指定する病院に行くことになります。この病院は、ほとんどの場合国公立病院が指定されます。トルコでは、狂犬病や破傷風の危険があるため、旅行に来られた方でもよだれを垂らした猫に引っかかれたり、犬にかまれた場合には予防接種を受けることが勧められています。狂犬病の予防接種は、一定期間をあけて通常4回受ける必要がありますが、イスタンブールではHaseki HastanesiかEtfar Hastanesi でなら4回どれでも受けられます。
2. トルコでイキャメット(居住許可)をとる際に要求される保険
外国人は、1の社会保険に入っていなければ、居住許可をとるためにこの保険に入る必要があります。トルコ政府の補助も出ているため私立の保険とはいえかなりリーズナブルな掛け金に抑えられている保険ですが、使えるのはその保険が認めている提携病院に限られます。交通事故などの突発的な事故の場合は、100%の保障がありますが、病気に関しては、付帯条件にある免責事項が非常に多く、実際に病院に行った際には使えないこともままある保険です。
私は、2019年にリンパ系の原因不明の病気にかかり、この保険を使って病院にかかりました。提携している私立病院であれば7割を保険が負担することになっていましたが、最初の診察料は負担してもらえたもののエコーの代金は、最初は支払われず、2回目のチェックは支払ってもらえて、3回目はまた支払われず、と不思議な制度でした。
3. 日本でかけてくる海外旅行保険
ほとんどの場合、トルコの最も良い私立病院もカバーしているので、安心して医療措置を受けられます。トルコの病院の医療水準は、費用と比例する部分があります。お金をかけることができれば、非常に高い水準の医療を享受することができます。日本で2010年に厚生労働省の承認が出たBKPという治療法があります。脊椎の骨折を医療セメントによって復元する手術で、短期間で快癒し、患者さんの負担も小さいため非常に有効な治療法です。
2010年に、カッパドキアの気球事故で腰椎を骨折した日本人の旅行者の方が、イスタンブールの私立病院でこの手術を受けられました。下手をすると半身不随になりかねない事態でしたが、早急に適切な治療を受けられたことで短期間の入院で済み、無事に日本に帰国されました。ただし、この手術は当時500万円を超える料金で、保険をかけていなければ、大変なことだったかもしれません。
トルコで生活する場合、駐在の方はトルコの社会保険を掛ける必要がありますが、企業として、あるいは個人で日本から保険をかけてこられる方が多いようです。やはり、万が一の場合を考えると、その形式が一番安心かもしれません。
画像出典元:
https://www.aa.com.tr/tr/saglik/ozel-hastane-yonetmeliginde-degisiklik-yapildi/1596677
2020/05/04
海外だより:トルコより
土窓愉見
トルコ在住