こんにちは。
今回はケニアの「医療」についてお届けします。
医療制度について、日本と先進国でも違いがあるようにケニアと日本でも異なります。
最も異なるのは「医療費の支払」でしょう。
ケニアはアメリカと良く似ていて、日本のように国からの保障はなく、自身や会社がかける保険、もしくは全額自己負担によって治療を受けることが出来ます。
経済的に恵まれた人や大手企業に所属する人はそれなりの医療を受けることが出来、また彼らは欧米やインドに高度な医療を求めて渡航治療を受ける人も多く存在します。
その一方で、低所得者層や貧困層の人達は、国境のなき医師団や赤十字などの支援により治療を受けることもできますが、十分な医療を受ける機会は非常に限られているのが現状です。
一般的に私達のような外国人の場合、その多くは企業や団体から派遣された赴任者ですが、所属企業や団体が保険に入っているためケニアで十分な治療を受けることが出来ます。そして、指定される病院はある一定の基準以上の病院なので、治療に対する心配はほとんどありません。
しかしそのような支援がない場合、当然のことながら現地人と同じ条件です。ケニアの物価は日本と変わらない水準なので、医療費の全額負担はかなりの出費で注意が必要です。
費用の支払いについては、基本現金のみで一部医療機関を除いて前払い(診療より先に支払い)です。治療を受ける前に基本医療費を支払い、その後それぞれの担当医が診察します。レントゲンや注射、点滴などを使用する場合にも、それらの費用を前払いすることが一般的です。救急医療や救急車も支払わずしては利用できません。
医療に大きな心配はないものの、この救急医療には不安が残ります。ケニアの慢性的な交通渋滞から救急車が遅れ、救急医療に対応する病院の数も少なく、また従事するスタッフの迅速な対応への意識の低さや医療技術(質)のばらつきなど、不安を挙げればキリがありません。
郷に入っては郷に従わざるを得ず、限られた環境の中で適当な病院を探すわけですが、恐らく多くの富裕、中間層が利用しているのは総合病院です。
よく聞く病院で「Aga Kahn University Hospital Nairobi」があります。
イスラムの大富豪の財団が設立したナイロビでは非常に大きな病院です。さらに同じ敷地内には多分野の開業医もオフィスを構えているのは日本と違った点ではないでしょうか。
ケニアはアフリカの中でも医療技術や質は高く、近隣国から治療を受けに来る人もいます。ただ総合病院とはいえ、ケニアでは1つの病院で全ての検査に対応出来ていないため、隣接する病院に患者自らが行き、検査や治療を受ける点も日本と異なるところです。
視点を変え、子供の医療についても触れたいと思います。
子供帯同の外国人にとって気になるのは子供への医療の充実さです。多くの方々が先ほどの総合病院や専門病院を利用し、定期検診や突然の症状にもすぐに対応してもらえます。また日本人医師による訪問診断もあり、多くの日本人が助けられています。
その他、開業医による専門院もケニアには点在します。ほとんどの病院では看板がないため口コミによって皆さん病院を選んでいます。
ケニアの医療は、制度など日本と比べて違う点が多いですが、決して心配する程ではないと言えます。しかしながら、医療格差是正や質の向上など課題は山積みです。
ケニアが国際国家として認められるには、医療インフラの発展も一つの鍵となるでしょう。
次回はケニアの娯楽と休日の過ごし方についてお届けします。
2016/10/12 E W Africa, Schema Corporation