こんにちは。
今回はケニア人の飲料習慣についてお届けします。
ケニアに住み始めた当初、
年中暖かい気候であれば、ケニア人の嗜好は
きっと冷たい物だろうと思っていました。
実際、特に飲み物においては、
彼らが冷たい物を飲むことはとても稀なのです。
温かい飲み物を好み、
日本人なら冷たく冷やす飲み物でも
常温で飲む習慣がケニア人の中にあります。
そんな彼らが好む温かい飲み物についてご紹介します。
まず彼らが好んで飲む
代表的な温かい飲み物は何と言っても紅茶です。
近年は海外文化の影響を受け
様々な飲みものが持ち込まれているため、
特に若者には嗜好変化があるようです。
それでも相変わらずよく飲まれているのが温かい紅茶です。
朝はこの紅茶とパン
仕事の休憩時にいただくのも紅茶
人をもてなす際も紅茶
ケニア人の生活に温かい紅茶は深く根付いています。
ケニアの紅茶は、水を入れず
たっぷりの温かいミルクと沢山の砂糖で作られ、
入れ方もインドのチャイと同じで
名前もチャイと呼んでいます。
昔からケニア人は好んでこの味の濃いチャイを飲み、
ミルクと砂糖を沢山入れることで
豊かさや裕福さを見せると言われています。
そもそも紅茶がよく飲まれる理由は、
イギリスによる植民地時代にさかのぼります。
イギリス指導のもと紅茶の生産が盛んになり、
良質な茶葉はイギリスへ、残った質の悪いダストティーを
ケニア人が飲んでいました。
このダストティーを何とか美味しく飲もうとして
考えられたのが今のチャイだと言われています。
日本ではケニア産の飲み物だと、コーヒーに馴染みがある
かもしれません。
が、実はケニアの茶葉はとても良質で、
コーヒーよりも以前から生産され飲まれていた飲み物なのです。
かつてイギリスで売られていた
茶葉のほとんどはケニアとインドの茶葉を
混ぜたものだそうです。
その割合は
インドの茶葉が7割に対して
ケニアの茶葉を3割に抑え、
利益を上げていたと言われている程です。
そもそも彼らが常温で飲む理由としては、
経済的環境にあると言われています。
今でも冷蔵庫がある家庭は一般市民のごくわずかです。
ナイロビに住むケニア人の多くはスラムに住んでいます。
電気もまともに通っていないため、
冷蔵庫が各家庭にありません。
その為、自然と飲み物は常温で飲む習慣がつき、
その習慣が嗜好になりました。
彼らが温かい飲み物を好むことから、
殆どの飲食店では
同じ飲み物の冷たいものと常温のものを
選ぶことが出来ます。
また私たちが冷たくして飲むものでも
常温で飲む傾向があります。
その中でも驚いたのがビールです。
私たちが冷たいビールを飲む時はその喉ごしを
楽しむものですが、彼らにとって
それは喉ごしを楽しむとは言わないそうです。
近所のケニア人を家に招いた際、
私は良かれと思い冷たい
ビールを出したことがあります。
彼らがビールをなかなか飲もうとしないため
たずねてみると
「喉に冷たいものが入ると飲み込めず、
まるで喉が取れた様な感覚になるから
飲むことが出来ない」
と言われたことがあります。
まさに育った環境によって
嗜好が違うことを実感した出来事です。
温かい飲み物は
飲料だけではなく、
彼らが服用する薬にも温かいものがあります。
例えば、風邪をひいた時に飲まれる
ダワという昔ながらの薬があります。
ダワは沸騰したお湯に
すりおろしたニンニクと生姜に
お好みで蜂蜜を入れて飲む、
とっても身体が温まる飲み物です。
ケニアの気候から
なかなか温かい飲み物を好むケニア人を
想像するのは難しいかもしれません。
でも眼下に広がる美しい草原を見ながら
温かい飲み物を飲むと格別の至福を味わえるのも事実です。
次回は、人種のるつぼのケニアをお届けいたします。
2016/6/16 E W Africa, Schema Corporation