こんにちは。
今回は、前回お便りしたケニアの民族とスラムについての
後編をお送りいたします。
前編では、民族についてお届け致しました。
ケニアの民族数や彼らが話す民族語の数、
また民族ごとに住む地域がありその中に村が存在すること。
それぞれの村で文化と生活様式が異なり
お互いが助け合って主生業で生活をしていること。
またそんな彼らの生活がケニアの発展とともに少しずつ変化し、
主生業とは全く違う職種に就く者や、村でも普及している携帯電話を
使って商売を営む特に若者達がいること。
そしてこの携帯電話の普及をビジネスチャンスと捉え、
企業・団体なども各地域で活動していることに
ついてお届けいたしました。
後編では、それぞれの地域で生活をしていた彼らの多くが、
今度は遠く離れたナイロビ都市へ移動している現状について
お届けしたいと思います。
近年では、特にナイロビの都市化または
気候変動や自然災害の影響により、様々な民族出身の特に若者が、
村を離れナイロビ市内に集まっています。
地方から集まる彼らの中には
ナイロビ周辺に点在するスラムに住んでいる者もいます。
日本ではスラムという言葉はあまり耳慣れず、
ホームレス居住区のイメージですが、
ケニアのスラムは民間企業などで働くケニア人も住んでいて、
貧困・低・中所得者層が集まる居住区です。
ただ、スラムに住むほとんどは貧困・低所所得者層で、
ナイロビで人間の住居可能な土地5%に、
なんと60%(推定100万人)の貧困層が住んでいると言われています。
彼らがナイロビに集まる主な理由は、より多くの対価を得ることです。
民族衣装ではなくスーツを身にまとい、
携帯を片手にケニア人の足となっている
マタツ(バス/ミニバス)に乗り込んで、
毎日それぞれの勤務先へと出勤していきます。
例えば、外国人居住者・現地高所得者が雇っているメ
イドやドライバーなども、殆どはこのスラムから通勤していて、
彼らもそれぞれどこかの民族出身者です。
(仕事を終えて帰路につく人々)
またスラムも1つの村としてお互い助け合いますが、
そこでは商いが成り立っています。
スラムには野菜、肉、中古の日用品や服が売られている露店、
バーや喫茶店があります。
学校や孤児院もあり、スラムにいる人々の助け合いや
ボランティア活動によって成り立ち、日本人・団体もボランティア活動を
されています。
また、外国人向けにスラム観光をするツアー会社もあり、
例えばスラムが出来た理由や貧困問題を考えながら、
スラム内に護衛をつけて巡るものです。
ツアーについては人権侵害などと賛否両論ありますが、
収益の一部がスラムの環境改善に役立たれているものもあります。
現在、スラムが抱える問題は主に失業、衛生、格差で、
失業問題は36%〜40%と深刻です。
多くの人々は仕事先が見つからない状況ですが、
企業や団体の活動により雇用を創出するための様々な
取り組みも行われています。
例えば、スラムのトイレに着目したビジネスモデルです。
スラムではトイレの数が極めて少なくまた非常に不衛生であることから、
有料トイレを設置し、そこに警備員と清掃員を雇い賃金を渡すもの。
または有料のトイレ袋を作り、そこから肥料を作り農家に販売をするなど、
既にいくつかの企業や団体がトイレ事業に取り組んでいます。
まだ全てのビジネスモデルが円滑に行われてはいない様ですが、
雇用問題を解決することも、ケニアの経済発展の力になると思います。
スラム内での格差も深刻で、スラムに住む大半の人達はトタン屋根で
その日暮らしの生活や、1日の生活もままならない貧困・低所得者です。
数%の人達はコンクリート・ブロックの家に住み、
海外留学・大学進学を経て民間や国営企業、国連などの
国際機関、講師や医者として働いている人もいます。
ケニアでは、自然保護と同様、民族文化と価値の尊重と、
近代国家に向けたケニア人全体の生活向上に向け、
特に雇用問題・貧困問題の解決が重要になってくるかと思います。
次回は、女性の社会進出が進むケニアの、
現地女性に対してのビジネスマナーについてお届けしたいと思います。
参考サイト:
ウィキペディア
2015/10/12 E W Africa, Schema Corporation