「長期休暇に出てしまった担当者と連絡が取れない。」「納品に問題があっても対応が遅い。」
というため息交じりの意見を漏らすのはフランス企業と取引のある日本企業の人たちです。
会社の規模や形態にもよりますが、なかなか物事がスムーズに進まないのがフランスなので日本人が愚痴りたくなる気持ちはよくわかります。
有給休暇も年間30日取得できるフランスですので日本人からみるとよく休む国民だと思われても仕方ありません。
フランスに住んでいると、仕事場以外にも銀行との付き合い、保険会社とのやり取りなどで小さなミスで物事の進捗がおくれることがよくあります。
例えば、「事前に注意しておいたのに届いた商品の梱包に破損があった。」「オーダーしたものと別の物が送られてきた。」「担当者がバカンスで、連絡が取れないために仕事が進まない。」
こういう問題を避けるには、事前にきちんとコミュニケーションをとっておくのがいいのですが、それでもやはりスムーズにいかないこともあります。問題が起きるたびに怒っていたら体がもちません。
「転ばぬ先の杖」のように、事前準備を入念にしておくのは日本人の好むやり方だと感じています。
フランス人は、「問題が起きたらその場で対処しても間に合う。」という観念をもっています。ですので、何か行き違いがあったとしてもわりとおおらかに構えています。そして、ミスをすることにそれほど罪悪感を持っていません。そして、日本の様に簡単に謝罪をいれません。もし謝罪の言葉をいうとしたら個人の謝罪ではなく企業が謝罪するというスタンスを取ります。
減点主義ではないので他人のミスを責めるということはあまりせず、その場で一緒にそれをフォローすることをします。私も職場で、ミスをしたことがありますが同僚が迅速に一緒になって対応してくれた経験がありとても心強く感じました。
今では、同僚がミスをしても慌てずに「大丈夫だよ。」言えるまでになりました。そして、何か評価したいことがあると誉め言葉を相手にきちんと伝えてくれるフランスのいい所も見えてくるようになりました。
フランス企業との取引においてリスクを避ける事前準備はしたに越したことはありません。しかし、行き違いのミスを全くなくすことはとても難しいです。ミスが起きた時はまずはっきりとクレームをいれることが大切です。
クレームは、遠回しに伝えるのではなくきちんとサービスや取引に不満があることを伝えましょう。そして慌てず、一つ一つ解決していく辛抱強さと包容力をもつ事が大切です。問題が思いのほかスムーズに解決して信頼関係を強くする良いきっかけになることもあります。
2019/11/30