フランス生活ではいったいどんなスキルが鍛えられるでしょうか。語学力以外に3つの力が身につくと思います。先ずは許容力。多くの日本人が最初にうまくフランス語でコミュニケーションがとれないことに絶望を感じます。二つめは持久力。日常生活の中で、待たされることの多いフランス。もう一つは生活をぐっと面白くしてくれる交渉力ではないでしょうか。 |

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公開日:2018.03.17  / 最終更新日:2022.10.21

フランス生活で鍛えられる語学力以外の3つの力

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留学や海外赴任、国際結婚などで一定の期間、日本を離れると日々が新体験の毎日になります。

フランス生活ではいったいどんなスキルが鍛えられるでしょうか。

まず1つ目は、許容力。大らかさともいえます。

多くの日本人が最初にうまくフランス語でコミュニケーションがとれないことに絶望を感じます。

「もっと日本で勉強すればよかった。」
「私には語学センスがないのだ。」

など自分を責める方向に向きがちです。

皆の話している言葉がとても早口に聞こえるのもこの時期。文法も発音も日本語と全然違う構成になっているフランス語は確かに簡単にマスターできるものではないかもしれません。

最初は、相手の言っていることがわからない、自分のいいたいことがうまく伝わらないというもどかしさの中で苦しむわけですが、不思議なことに少しずつ「わからない自分」を許容して肩の力が抜けるようになります。また、アフリカ系、マグレブ系、アジア系などルーツが異なる人たちが沢山いるフランス。そういう面でも物事をおおらかに受け入れるという力が身についてきます。

2つ目は、持久力です。
日常生活の中で、待たされることの多いフランス。「早い、スピーディー」という日本のサービス業がお得意としている部分は欠落しています。

スーパーに関しては、レジ係のおしゃべりで待たされることもしばしば。ここ数年、この迅速対応に明るい兆しがみえているものの、すべての対応がゆっくりです。フランス生活をしていると結婚式、お誕生日、クリスマスなど人の集まるパーティーに参加する機会がでてくるのですが、日本人にとっては長すぎることがほとんど。知り合いの結婚パーティーに出席した時の事。教会での式は、午後3時から始まり、簡単なカクテルまで6時。テーブルについて始まった晩餐会は夜8時スタート。

夜中の2時の時点でようやくウエディングケーキが登場。睡魔との闘い、持久力なくしてこれは乗り換えられません。仕事となると勤務時間きっちりで帰宅するフランス人も遊びになるとすごい持久力を発揮します。長いバカンスがいい例でしょう。

3つ目は、交渉力です。
この交渉力があるとフランスでの生活がぐっと面白くなってきます。

暮らしてみてわかったのですが、フランス人との会話の中で「今回は特別に」というフレーズを耳にすることがよくあるのです。どうやら、決まりはあるのだけど交渉次第では、対応が変わるということだと思います。

私も過去に交渉しなければいけない場面に遭遇しました。車の事故、不動産の売買、取引先との交渉など。最初は、「交渉なんてできない!」と緊張していたものですが、今ではもっとゆったり構えることができるようになっています。語学力があったに越したことはないですがなくてもうまく交渉できる場合もあります。

まず冷静に状況を判断する。感情が高ぶっていてはいい話し合いができないので一呼吸置いた状況で物事をみます。物事によっては、一人で判断が難しいようなら応援を頼むのも手です。そして、自分が困っている状況を説明して、改善策を求めるか提案をするという流れです。すんなり、うまくいく場合もありますし、色々と反論されることもあります。フランス人は議論好きなので話し合いが長くなることもしばしば。議論を通して、お互いの誤解をといていくプロセスにもなるので許容力と持久力を使いながら焦らず進めていくことがポイントです。

いかがでしたでしょうか?この3つのスキルはきっと日本でも違う状況で身につくものだと思います。

最後に、元外交官で作家の佐藤優氏の著書「交渉術」は、海外と関係のあるお仕事をされている方には、読み応えるある本となっています。プロの外交の交渉術の手の内も明かされていますので一読をお勧めします。

2018/03/18

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