コロナ禍の丸3年目の2022年が明けました。年末年始から世界中がオミクロン株に感染するなど、まだまだ油断を許さない感染症との共生生活が続いています。
そんな中、フィンランドでは年明けからあらゆる分野における価格が上昇しています。今回は一般的な日常生活における物価やサービス事情について紹介します。
2022年から値上がりの影響が最も大きいのは、食費です。
経済研究グループの予測によると、生産コストの上昇と不作の年により、食料価格は1.8%上昇するという調査結果が出ています。「フィンランドの食品価格の上昇は、2021年には約0.3%と緩やかだったが、年末に向けて指数関数的に上昇し始めるだろう」とし、この上昇は、消費者物価全体の上昇予測値よりも多いと予測しています。
背景には、不作と生産コストの上昇があるとし、特に石油、ガス、電力を必要とする、肥料、飼料、建設などのコスト高が要因と考えられています。またコロナ禍で物流コストにも負荷がかかり始めていることも要因であるとしています。
食費の他には、電気自動車の課税が変更になりました。
新車の電気自動車の場合は、購入時の自動車税が廃止されました。代わりに年間の自動車税として65ユーロが増税されることになりました。実際には、最初の課税査定日が2021年10月1日以降の車にすでに適用されています。嗜好品であるタバコにも増税されています。平均価格が11%上昇し、一箱の平均価格は10ユーロ強となっています。今年7月にはさらに増税され、2023年にはさらなる引き上げが行われる予定です。
逆に価格が値下がりしたものもあります。
パスポート発行費用を、警察署で申請する場合は、58ユーロから50ユーロに下がりました。電子申請の場合は44ユーロで変更なしです。
さらにはサービスがよくなったものもあります。
フィンランド国民が無料でがん検診を受けられるようになりました。60-68歳を対象に腸がん検診が、30−65歳を対象に子宮頸がん検診が受けられるようになりました。
また借地借家法が改正され、居住者が自分の所有地の運営について、より大きな発言力を持つことができるようになりました。フィンランドには、約5万戸の居住権付きの住宅があり、この制度は30年前から実施されています。
今後は、住宅所有者協会の理事会メンバーの40%が、その物件の居住者でなければならないという条件が付けられました。
こうして見てみると、世界中に影響を与えている食料価格の上昇が一番頭を悩ませています。現在の食料サプライチェーンが世界中に渡っていることも要因となって、フィンランドだけではなく日本でも、そして他国でも食料価格は上がる傾向にあります。
電気自動車の課税については、欧州の電気自動車政策の影響が大きいようです。2035年までにガソリン車とディーゼル車、さらには内燃機関とモーターを組み合わせたハイブリッド車も事実上、販売禁止という目標が背景にあります。
がん検診は、日本人からするとやや驚きの事実ですが、がん患者が世界中で一番多い日本と比べると、フィンランドにおけるがん検診がようやく始まったばかりと言えそうです。
今年中にはコロナが収束するという情報やデータがありますが、収束してもこの2年間の影響は計り知れず、私たちの生活における物価上昇の影響はこの先しばらく続きそうです。
参考記事:
YLE NEWS
https://yle.fi/news/3-12119278
YLE NEWS
https://yle.fi/news/3-12254046
欧州グリーンディール政策
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/331e9d95b330cf03/20200044_01.pdf
がん患者:がん早期発見推進協会
https://ecdpa.or.jp/world-cancer-died/
2022年コロナ収束?!:GateNotes(THE BLOG OF BILL GATES)
https://www.gatesnotes.com/About-Bill-Gates/Year-in-Review-2021
写真出典元:
https://yle.fi/uutiset/3-12245353
2022/1/31