そんな中フィンランドは、オリンピック開催と同時にオープン予定だったMetsä Pavilion(メッツァ・パビリオン)を、東京都港区にあるフィンランド大使館の敷地内に2020年10月上旬にオープンしました。今回はこのパビリオンに関連した情報をお伝えします。
Metsä Pavilion(メッツァ・パビリオン)は、Metsäはフィンランド語の「森」で、森の展示会場をイメージとしたコンセプトの建物です。南サヴォ州プンカハルジュで伐採された木材を使用したこの建物は、フィンランドで製造された後、東京に輸送され組み立てられました。この建物は解体、移動、組み立てが最大7回可能なリユースに適した設計が施されています。
冒頭でお伝えした通り、当初の目的は東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて「フィンランドの存在感を世界中にアピールしたい」とのことでした。しかしオリンピックが延期になったことで、この延期期間中にフィンランドの企業をはじめとし、フィンランド共和国をまるごとプロモートする場として利用することを目的としています。
フィンランドと日本の貿易関係については、EUと日本間で自由貿易協定が結ばれたことで、ここ近年は非常に迅速に強化されつつあります。フィンランドの輸出国第10位で、アジア諸国の中では中国に次ぐ第2位の日本の潜在的な可能性は計り知れないと、ビジネス・フィンランドのペッカ・ライティネン氏は話しています。
特に今日本では判子やファックス文化の終焉やヘルステックなどを推進している背景から、フィンランドのビジネス界隈では「われわれはその分野の先駆者であることは間違いない」とアピールした上で日本のデジタル化に注目しています。パビリオン・オープンの当日は、ノキア社による最新5G技術を使った3Dホログラム*で、フィンランド開発協力・外国貿易大臣やビジネス・フィンランドの CEOが登場し、会場を興奮の渦に巻いたようです。
パビリオンの中はすべてMade in Finlandで作られ、1階はフィンランド企業ブース、2階は催事場として利用されます。パビリオンの運営は、2021年末までの約15ヶ月間。その間、東京オリンピック・パラリンピックの開催予定のほか、特に2階の催事場ではさまざまなイベントが行われる予定だそうです。
コロナ禍による世界経済の実質経済成長率は、OECDによるとマイナス4.5%になると言われています。両国ともにほぼ平均値が予測されていますが、2021年以降のコロナ感染状況によっては、思わぬ方向や結果になることもあります。そうした観点からも、各国の強みなどを用いて可能な範囲で経済活動を行うことが、今わたしたちにできることかもしれません。
*3Dホログラムとは、平面映像(2D)を立体(3D)で記録してデータ化し、3Dで映し出す技術のこと。角度を変えてみると、前・側面・背面まで見ることができ、まるで目の前に本人や物体があるように見えるのが特徴。3Dメガネも不要で肉眼で見えることができます。
画像出典元:
https://www.businessfinland.fi/ja-jp/tokyo2020finland
(c) Helin & Co Architects
2020/11/02