突然ですが、CaaSという言葉を聞いたことはありますか?
これは”City as a Service”の略語で、ざっくり言うと「サービスとして構想された都市」です。
フィンランドの首都ヘルシンキ市では、世界初のCaaS都市として、テック人材向けにデモ・プロジェクトを立ち上げました。
今回はその内容についてお伝えします。
「サービスとして構想された都市」と聞いてもあまりピンと来ないかもしれません。
都市における交通機関や各種サービスなどの重要要素を包括的なサービスとして繋げている都市、というイメージでしょうか。昨今の”MaaS”(Mobility as a Service)を参考にしてみると、CaaSは、都市にあるあらゆるモノやサービス・手段などをITで統合した次世代のサービスといえるでしょう。
ちなみにこの”MaaS”についてもヘルシンキ市では、”Whim”(ウィム)というアプリサービスをすでに導入しています。
さて今回ヘルシンキにこのデモ・プロジェクトが立ち上がった背景には、フィンランドは「世界一幸せな国である」「世界一ワーク・ライフバランスがとれている国である」「世界一公共デジタルサービスが提供されている国である」・・・そうです「世界一」がいくつもあるからだそうです。
こうした外部からの評価に加え、人口や自然資源が少ない国土のため、新たな取り組みや実証実験を行うにはもってこいの国家サイズ。そして何よりも今ヨーロッパ各地では、プログラマーなどの技術系の人材が不足していることがあります。
では実際にどのようなデモ・プロジェクトなのか、内容をみていきましょう。
・無償教育を体験する
・健康的なワークライフバランスを体験する
・ヘルスケアシステムを体験する
・どこでもスムーズにいける公共交通機関を体験する
・サウナ文化を体験する
・機能的なスマートシティで時間を有効に使う
ここまでが無償のプロジェクトです。
有料プロジェクトでは、
・地元のテック人材と交流する
・スタートアップイベント「Slush」を見学する
などを予定しています。
テック人材を集める、という視点でいうと、私が住む南西部トゥルク市でもつい先日、”Talent Call Turku”というキャンペーンを実施していました。
ヘルシンキ市ほど大規模で”CaaS”とは謳っていませんが、世界各地の優秀なテック人材を募り、その家族を招いて地元の企業や観光スポットを中心に訪問する内容でした。
こうした都市のあり方を考えながら、そこにどんな人々が住み、集うのか。このような未来の都市国家の実践ができるのは、小国家ならではだとつくづく感じます。
2019/10/25