「フィンランド人のおよそ8割が高税を払うことに納得している」
先日、フィンランド税務局が実施した調査結果がニュースで報道されました。
調査結果によると、国民が教育や福祉などの公的サービスが受けられることを重要視しており、税金の使途が明文化されているため、多くの人々が高い税金を支払うことに理解を示していると分析しています。
■公的サービスの恩恵
この分析の通り、高率税金国家で知られるフィンランドでは、教育をはじめ医療や福祉分野においては、費用がほぼかからずに利用できます。実際私も移住してすぐに産休および育児制度を利用し、出産にかかった費用は入院費のみ。また手術などの大掛かりな治療の場合も入院費のみで利用できます。
医療と同じく費用がかからない教育制度。現在は2015年から義務化になったプレスクール(小学校に入学する前の一年間に通学する学校)から、小中高、大学、そして大学院まで費用がかかりません。未就学児童が通う保育園や幼稚園は、一世帯あたりの収入により月額費用が算定されます。
この他に、日本と異なり費用がかからない公的サービスとして、高速道路や大小さまざまな島を結ぶ各地のフェリーの利用料、国営放送の受信料などがあります。また街中から住宅街、集合住宅の至るところにある公園や運動器具の数の多さや質の良さ、そしてこれからの季節に大活躍する、夜間を含めた除雪作業などのサービスも充実しています。
■物品ごとに異なる付加価値税
このような公的サービスが受けられる基盤となる主な消費税をご紹介しましょう。フィンランドでは、物品ごとに税率が異なります。
・24%:一般消費税
・14%:食料品(ただし酒、タバコを除く)、飲食店
・10%:書籍、新聞や週刊誌などの購読料金、医薬品、宿泊施設、旅客輸送、映画館や遊園地などの入場料など
・0%: 輸出業
お酒は29.9%、タバコは81.3%の税率です。お酒は、アルコール度数4.7%を境に、それ以下であればスーパーや小規模な店舗でも扱っていますが、これ以上になるとお酒の専門店のみの販売となります。
この他に教会の信者の場合は、所得額の1-2%の教会税がかかります。
一方、税金免除の対象分野は、先に紹介した教育や医療、社会保障に関するサービスの他に、公的な葬祭業やアーティストの報酬などがあります。
■食品は安い。でも外食は高い?!
ではフィンランドの物価はどれぐらいでしょうか。主に普段の生活に必要な食品をみていきましょう。
・飲料水(ガス抜き、500ml)
1ユーロ
・その他のペットボトル飲料
2.5ユーロ前後から
・卵(1kg)
2.5~3.5ユーロ前後
・牛乳(1L)
0.5~1.2ユーロ前後
・ビール缶(500ml)
2.0~2.5ユーロ前後
・バナナ(1kg)
1.0~1.5ユーロ前後
・じゃがいも(1kg)
0.5~0.8ユーロ前後
・サラダ菜(1パック)
0.8~1.6ユーロ前後
・鶏、豚、牛肉(500g)
4.0~6.0ユーロ前後
*ペットボトル、瓶、缶はデポジット制なので、10~20セントのリサイクル還元金を含む値段です
外食になると、ファーストフードのミールセットで5~6ユーロ。中級レストランのランチで9~10ユーロ、夜は前菜だけで10ユーロ近くなるところが多いです。バーで飲むビールやワインはグラス1杯4.5~6ユーロぐらい。
以上の商品やサービスの金額表示は、税込み価格の額が表示されています。また飲食店でのサービス料やチップを上乗せするシステムはありません。
移住して暫くはこの高税率な生活に慣れなくやや不満を抱いていた私も、出産育児の費用や子どもの教育費がすべて無料の恩恵を受けて、ようやく納得できるレベルになってきました。
周りのフィンランド人たちが「税金?絶対に払うでしょ!」と嫌な顔一つせずに収めている姿も見て、冒頭の調査結果にも納得です。
*ユーロ換算:1ユーロ131円。換算率を含めここで紹介した金額は、すべて2017年11月現在のものです
*税金免除とされる教育や医療などの詳しい内容は、社会保険庁(KELA)にて確認できます
2017/12/18