仕事柄、会議やセミナーへよく足を運びます。フィンランドのビジネス会議事情として、フィンランドらしい点を二つほど発見したので、今回はそれをご紹介します。
■IT先進国の強み
フィンランドはノキアに代表されるIT先進国。比較的どこでも無料Wifiの環境が整っていることから、常時ノートパソコンなどのスマホ以外のデバイスを持ち歩く人を多く見かけます。
主要観光地をはじめ、図書館や博物館、また商業施設内でも無制限の無料Wifiに接続することができます。電車や長距離バス、さらにフェリーの駅やターミナル、そして車中でもフリー接続できます。
私がよく利用する高速バスには電源まで付いているので、ノートパソコン一式持参して、移動中の車内で仕事することがあります(機密情報などには配慮しています)。
こうした環境が整備されていることから、ビジネス会議でもフリー接続のところが多いです。
国際会議の開催数の多さが理由の一つだと思いますが、国内外の大小さまざまな会場には、必ずと言っていいほど無料Wifi環境が提供されています。受付の際にネットワーク名とパスワードが書かれたIDが渡されたり、会場内に両方が記載された案内板があるので、会場に到着したら必ずチェックすることが習慣となりました。
国際会議や街中の貸会議室はもちろんのこと、大学や企業のちょっとしたセミナーでもフリー接続が提供されます。地方の小さな会場でのWifi環境となると少し疑問符がつきますが、都心部の会場では問題なくスムーズに行えます。
■極夜対策で世界一の消費量
会議場のWifiと同じくほぼ提供されるのが、コーヒー。
フィンランド人は、実は世界の中でもコーヒの消費量が1、2位を争うほどのコーヒー党。もちろん紅茶党の人もいますが、国民一人あたりの年間消費量は12.2kg。日本は3.54kgで約4倍の消費量。1日あたり平均3〜5杯、これは4.5dlに相当し、この中に含まれるカフェインはおよそ400mg(1dlに平均90mgのカフェイン)。
1日で400mgのカフェインを摂取している理由は、気候。特に秋から冬にかけて太陽がほぼ昇らないこの時期に、カフェインなど刺激物を摂取して仕事や勉強に励む人が多いといいます。実際私の家族や仕事仲間もちょっとした息抜きには必ず「コーヒー飲む?」が合言葉です。
ビジネス界では「Kahvi Tauko」(Kahvi =コーヒー、Tauko=休憩)と呼ばれ、会議のアジェンダにはこの言葉があり、終日会議だと午前一回、午後一回の必ず1日二回設けられています。こちらも大学や企業のちょっとしたセミナーでもサイドテーブルにお茶菓子とともにコーヒーポットが用意されているので、時間がなく昼食を食べ損ねたりしてもこれで空腹が多少満たされ会議に集中できます。
フィンランドのビジネスアワーは、午前8時から午後4時まで。余程のことや管理職でない限り、残業とはほぼ無縁。そのためこの8時間に集中して仕事を片付けることが必須なため、みんなコーヒー片手にパソコンに向かっています。
ちなみにお茶菓子の他に、午前8時や9時開始の朝一会議では、簡単な朝食が用意されています。ホテル内ではなく、ビジネス会議場や貸会議室で、です。これには驚き、会議担当者へ会員限定や有料ではないかと何度も尋ねましたが、どこも無料で提供。本当にありがたいです。
Wifiとコーヒは今や世界中では当たり前の風景。フィンランドの一般的な会議でもこの2つが提供されているビジネス習慣に慣れ始め、どこの会議場のコーヒーや朝食が好評かしら、と会議に参加する楽しみが増えている今日この頃です。
2017/04/04