移住後のある日のこと。
夫「船便が届いたみたいだから、郵便局に取りに行こう」
私「え?自宅まで届けてくれないの?」
夫「そうだよ。フィンランドではEMS便以外の荷物は自分で取りに行くんだよ」
私「えーーっ?!40箱以上の荷物を毎回取りに行くのーー?!」
という会話が我が家で交わされたのを皮切りに、フィンランドの郵便にまつわる話は後を絶たないほど、郵便サービスは日本と異なります。
夫の返答の通りフィンランドに入ってくる郵便物は、EMSと封書サイズ以外は、「アライバル・ノーティス」が自宅ポストに投函され、それを持って郵便局へ荷物を引き取りに行きます。移住の際には40箱の段ボールを船便で送り、約3ヶ月かけてフィンランドに到着。順次アライバルノーティスが送られてくるたびに、トレーラーを牽引して郵便局まで引き取りに行きました。
■不景気で郵便サービスが低下
”Posti”と呼ばれるフィンランドの郵便局は、郵便局と大手スーパーやコンビニサイズの店舗のサービスカウンターが郵便サービスを担っています。フィンランドには日本のような宅配サービス業者がありませんので、すべてこのPostiのサービスを利用します。最近の不景気でPostiの従業員を大幅に解雇したこともあり、ここ数年の郵便サービスは低下しています。
昨年の11月ごろから年末にかけては、従業員が削減された原因で配達に手が回らず、主にSAL便の荷物が2-3ヶ月間空港に放置されるという事態が発生しました。今年に入ってからは、郵便局が次々と閉鎖され大手スーパーのサービスカウンターへ集約。また郵便料金も値上げされ、例えば日本までの料金はEMS便の2kg以下でなんと90ユーロ!およそ1万1千円!従業員もさることながら、われわれ利用者も不満が募っています。
■便利な自動預かり郵便ロッカー
とは言っても人口およそ550万人。もともと人的資源が少ないため、効率よく郵便物を受配達するために自動預かりロッカーサービスがあります。その名の通りロッカーに荷物を入れておくと、そこから荷物を引き取りに来て配達し、逆に荷物が到着するとロッカーに荷物を入れておいてくれるので引き取りに行きます。
荷物はすべてネットやスマホのアプリで追跡できるので、非常に便利です。今のところフィンランド国内とエストニア間のみのサービスですが、いつの日か利用してみたいと思います。
■手紙や荷物を出す楽しみ
インターネットが普及した現在でも、日本から遠く離れた国に住んでいると、手紙や荷物を送ったり届いたりするのは嬉しいものです。カードをはじめ荷物のパッケージのバリエーションが豊富なのは郵便サービスの目玉です。日本ほどではありませんが、季節や年によってデザインが変わるたびにそれを目当てに郵便局へ足を運んでいました。残念ながら最近では前述の通りサービスの低下でデザインの豊富さがなくなり、スーパーにサービスを集約されたところはそのような商品が一切なくなりました。
この季節のクリスマスは西欧文化にとっては一大イベント。クリスマスカードや切手の種類は例年通りに出揃いました。郵便料金が値上げされたり、デザインの豊富さがなくなっても、年中行事に参加するのはやはり楽しいものです。
そしてフィンランドといえば、サンタクロースですね。サンタさんへの手紙やサンタさんからのプレゼントは世界中の子どもたちへ無事に届けられているでしょうか。
さて今年も残すところあとわずか。毎月お読みいただきありがとうございました。来年2017年はフィンランドの独立100周年の年です。不景気から脱出するためにビジネスにおいては重要な年になりそうです。
それでは皆さま、よいお年を!
Hyvää joulua ja Onnellista uutta vuotta!
2016/12/25