新聞やインターネットなどで報道されているように長期化していた北米西海岸の港湾労使交渉が5年間の新労働協約で暫定合意しました。
コンテナ荷役の低下で米国企業の資材調達だけでなく、日本の輸入食品にまで影響がでていただけに朗報です。
港湾荷役のスローダウン戦術で、コンテナ荷役の量が大きく低下。
北米東海岸に迂回する回避策だけでなく、しかたなく航空輸送に変更するなど日米経済界に多大な影響をもたらしてきました。
ターミナル混雑、機材・人材不足による影響がでていた港湾機能は徐々に正常化に向かう見通しとのことです。
北米東海岸の港も混みだしてきただけに「港湾作業がフル稼働を再開」にほっとされている方も多いと思います。
■コンテナ化が招いたスローダウン戦術
港湾ストは、米国だけで発生する問題ではありません。
日本もかつては年中行事のように春闘の時期に港湾ストライキが行われていました。
1970年代にコンテナ化が導入されると港湾荷役が大幅に機械化されました。
それにより、港湾荷役労働者の人員整理、賃金カットが労使交渉の争点となったのです。
労働側は対抗手段としてコンテナヤードを封鎖する戦術をとるようになりました。
コンテナ船には貨物を積み下ろしするクレーンがついていません。
コンテナヤードにあるクレーンを利用して港湾荷役が行われます。
そのため
・コンテナヤード封鎖する
・クレーン作業をスローダウンさせる
その結果
・入港したコンテナ船が岸壁から出航できない
・コンテナ船のスケジュールが大幅に遅延する
など使用者側に圧力をかけてきました。
■貨物海上保険でのストライキ危険特約とは?
貨物保険には、オールリスクに戦争・ストライキ危険特約を付けるのが一般的です。
ここでいうストライキ危険特約とは、港湾ストを対象にしているのではありません。
内乱・紛争の結果、ストライキに参加する者によって生じる貨物の損害が対象です。
オールリスク保険はあらゆる危険をカバーしていますが
・船や飛行機の遅れ
・不完全な梱包
・品質変化による重量や容積の減少
これらは、保険でカバーできません。
今回のように港湾ストライキになった場合、自己リスクで対応することになります。
万一の場合に備えたサプライチェインを考えておくことが重要だと思います。
2015/2/23