MOL商船三井が運行するコンテナ船が千葉県館山湾内で座礁しました。
米国西岸から東京港へ航海中、エンジン不具合で停泊中強風のため浅瀬に乗り上げました。
浸水や油の流出はないと報道されています。
■どのように救助するのか?共同海損となるのか?
通常は満潮を待ってタグボートで浅瀬からの引き出しが行われます。
今回もタグボート4隻で引き出しをしようとしていますが難航しているようです。
5万トンものコンテナ船の場合、喫水は約10メートルあまりになります。
そのために座礁した場所によっては貨物が満載状態で引き出しができない場合もあります。
このような場合、船長判断で一部の貨物を海中に投棄し船全体を軽くすることが行われます。
貨物保険の専門用語で
「共同海損(General Average)」を宣言するといいます。
一部の貨物を犠牲にすることで最悪の事態(沈没)を回避する措置です。
沈没の危険性がなくても長期間にわたって救助作業が続く場合にも、貨物投棄が行われる場合があります。
船長判断で全荷主にとって最善と考えられる救助策が決められます。
全荷主が定められた割合で救助費用を負担するため、共同海損という言葉が使われます。「自助・共助・公助の精神」です。
共同海損が宣言されると船会社から荷主全員に「共同海損宣言書」が送られてきます。
共同海損宣言書を受け取ったら、荷主は保険会社へ連絡し書類による手続を行うことになります。
・共同海損に同意する
・積荷の価額を申告する
これらの書類を提出すればあとは船会社と保険会社の間で全体の費用計算が行われます。
今回の場合は座礁で船底ダメージは受けていないようです。
沈没の危険性はないと思いますが、一刻もはやく浅瀬から脱出できることを願っています。
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