「齢八一にしてこの今も太陽の季節を生きている」、書評につられて読んでみました。
石原慎太郎が最近上梓した短編ばかりをまとめた新刊「やや暴力的に」(文藝春秋刊)
表題作「やや暴力的に」の中に興味を引くくだりがあります。
2000年頃に米政府が日本政府に対して輸出コンプライアンスを求めてきたことが書かれています。
海の見える屋敷で男たちが何やら政治談議をしているところを抜粋引用してみましょう。
「日本ではごく当たり前,日常の用途のために使われている技術に、実は軍事目的に転用すれば極めて有効なものがある」
「2000年の初め頃にSONYが発売した子供用のゲーム機器に搭載されているマイクロチップの機能が当時としては世界最高の128ビットあった」
「当時のアメリカの宇宙船の搭載機器に使われていたチップの容量は大方が32ビットないし64ビットでしたから連中は腰を抜かしましたな。」
「能天気な日本人にそれをそのまま北朝鮮や中国に輸出されたらかなわないということで、(中略)当時の政府に要望というか、秘密裏に禁止の命令を携えて押しつけてきました」
(文學界2013年10月号初出「やや暴力的に」)
自分が輸出している商品は軍事用途とは関係ないと思いがちです。
意外と輸出コンプライアンスの対象であるケースが多く、法令改正も不定期的に行われています。
輸出する際には必ずコンプライアンスチェックをするようにしましょう。
文中で作家・石原慎太郎が政治家・石原慎太郎に語らせているような文章に思えます。
日本の高度技術の輸出コンプライアンスがこのようにして水面下で政府間交渉されているのでしょうか。
輸出コンプライアンスとは?を考えるうえでここに登場してくる会話が何かの参考になればと思います。
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