今年は、世界各地で台風・ハリケーン・地震などの自然災害が多いですが、昨年の新潟中越地震の時に瓦礫の山から土砂に埋もれた幼い男の子を無事救出した、あの感動的なシーン、その時に活躍された東京消防庁のハイパーレスキュー隊を覚えておられますでしょうか。
その時の隊長さんが「ゆうたちゃんを救い出すことができた喜びよりも、まゆちゃんとお母さんを助けられなかった無念のほうが大きい」と救出の時を振り返っておられます。
また、「自助・共助・公助の精神」が一番大事であるとも言われています。
余震の続く瓦礫の山で二次災害のこと、東京の家族のことなどが頭に浮かぶなか、「自助・共助・公助の精神」をかみしめ、繰り返し、山に入ったそうです。
この「自助・共助・公助の精神」は、貿易取引でも当てはまります。貨物保険の考え方は、まさにこのとおりです。
貿易取引に係る当事者は、お互いに利害が反しています。
売主と買主、荷主と運送会社など利害の反した当事者が運命共同体である本船に貨物を載せて輸送をしています。たとえば、海上事故で本船に被害が及ぶと判断された場合には、積荷の一部を海上投棄することもあります。船長判断で、全員のための最善の救助策を決めるのです。
貨物保険用語で「共同海損」といいますが、「自助・共助・公助の精神」で全員の安全を選択するのです。
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