今回は、このデバンニングレポートに書かれた文言のうちリマーク欄について解説していきたいと思います。
リマークとはいわば注意書き。リマーク欄はデバンした時の貨物の状態を示す大切な項目です。貨物の外装に破れや濡れなど損傷が何もなければ空欄です。しかし、大なり小なり何らかの損傷は起こります。リマーク欄が空欄のことはむしろ少ないのかもしれません。
事故の程度を表す言葉と事故内容で構成されており、英語で表記されていますが、文言は大体決まっています。
【事故の程度】
・SLIGHTLY(少々=貨物全体の概ね30%以下のもの)
・PARTLY(一部=貨物全体の概ね30%~80%未満のもの)
・ALL(全て=貨物全体の概ね80%以上のもの)
【事故内容】
・BANDS OFF:バンドル切れ
・BROKEN:破損
・BROKEN&REPAIRED CONT'S OK:破損したものを修理、中身異常なし
・BROKEN&REPAIRED :破損したものを修理
・BURST:破裂
・CASE BROKEN CONTENTS UNKNOWN:箱傷み中身不明
・CHAFED:こすれ
・CRUSHED:押しつぶれ
・COVER TORN:外装やぶれ、袋切れ
・DEAD:動物の死
・DEFORM:変形
・DENTED:へこみ
・DIRTY:汚れ
・EDGE CUT:端切れ
・EMPTY:中身が空
・HINMEI:品名違い
・MISSING:入り不足
・NO MARK:マークなし
・SCRATCHED:ひっかき傷
・STAINED:色付き又は汚れ
・WET:濡れ
上記は全てではありません。比較的よく見るリマークを抜粋しました。「SLIGHTLY BROKEN」や「SLIGHTLY COVER TORN」などはよくあることで、輸入者に確認はしますが、それほど大きな問題にはなりません。外装上だけの問題で、中身の貨物には問題がないことがほとんどだからです。
一方、「ALL WET」や「CRUSHED」といった重大事故の可能性のあるものは、通関もストップさせて貨物状態の確認を急ぎます。保険求償になったり、関税定率法10条の「変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等」を適用するかもしれないからです。状態によっては輸入通関をせず、積戻しにしたり、保税倉庫内で補修作業後、輸入通関することもあります。
品名違いや中身が空の場合、パッキングリストやインボイスとの整合性が取れないので、荷主に確認をします。内容点検後、貨物現物に合わせてパッキングリスト、インボイスを差し替えることもあります。まれに荷主がインボイスを送り間違えていた、ということもあります。
デバン作業は人の手による手作業が大部分のため、夏の時期は熱中症の危険と隣り合わせの過酷な仕事です。特に近年の酷暑!倒れる人も少なくないそうです。コンテナ内は換気も悪いため、熱気が溜まりやすい環境です。大型扇風機を使ってコンテナ内に風を送ったり、スポットクーラーと扇風機の併用をしたりと、工夫して対策を行っているそうです。暑い中作業されている方々には、本当に感謝の言葉しかありません。
いかがでしたでしょうか。リマークはデバンニングレポートだけでなく、BLやEIR(機器受渡証)でも使われています。同じような文言が使われていますので、ぜひ注意してみてください。
2020/09/28
simalu 元通関士の実践コラム