どんな職業にも職業病というか、これ日常でやってしまうよね、という職業別「あるある」が存在します。
そこで今回は私が思う、「通関士あるある」を紹介します。私自身は通関業者を離れて長いですが、それでも染みついた癖・・・。
きっと現役通関士の方は大いにうなずいてくれるのではないでしょうか。
◆買い物に行くとついついHS番号を考えてしまう
まずはタグをチェックし原材料確認から。洋服なら織物(62類)なのか、編物(61類)なのか、刺繍の有無や用途などから考えて、番号を絞り込みます。バッグは大きさでハンドバッグなのかその他のバッグか気になりますし、革製品なら関税率高いなーと思いながら見ます。
イマドキのおしゃれ用語もHSで考えるので、材質や用途でばっさり品目分類。
新商品を見たときなど、もはやイメージトレーニングです。実際に通関することを想定して商品を観察してしまいます。
他法令許可もぬかりなく。昨今マスクのニュースでにぎわっていますが、マスクは薬機法に抵触しません。
同業の友達と買い物に行ってHS談義しはじめると、買い物どころではなくなってしまいます。
◆原産地が気になる
とにかくタグは絶対にチェック。Made in ○○が気になります。原産地によっては、EPA制度を使って輸入したのだろうか、特恵適用国であるか、などと考えてしまいます。原産地にもトレンドがあって、経済発展中の国を感じられます。
また、マイナーな国からの輸入品ですと、商流を思い浮かべたり。結構楽しいです。
◆取引のある業者の商品を見つけるとなんかテンションが上がる
さらに自分が通関したことのある商品だと、買う予定はなくても商品を手に取って観察します。普段書類でしかお目にかからないので、現物を見ると手に取りたくなるのです。周りの人間は何を熱くなっているのかと、ぽかんとしています。
◆仕事内容を一般に理解されにくい
通関士はメジャーな仕事ではありません。せいぜい「税関の人?」くらいのリアクションです。ちょっと違うよなーと思いながら、「貿易関係です」というと、「英語できるの?すごい」と言われたりしますが、通関士は国内手続きをする人なので英語は話せません。
語学に関して言えば、特に必要もありません。インボイスやBLなどの書類は英語で書かれていますが、文言はほぼ決まっていて、それを覚えれば事足ります。たださすがに、全然できません、は困ります。英語なら義務教育レベルくらいは必要でしょうか。
ちなみに、似て非なる貿易事務の方は語学が必須。また、フォワーダーの営業部門や駐在員も語学が求められます。あくまで通関部門は語学ができなくても問題ない、という話です。
◆3桁のローマ字(大文字)が並んでいると空港コードや都市コードに見える
重症でしょうか・・・。3桁や4桁のローマ字はもはやNACCSコードです。
◆街中でコンテナを見ると、どこの船社のコンテナなのかチェックしてしまう
港湾地区に行くとテンションがあがります。コンテナトレーラーに当然目が行きます。カラフルなコンテナ満載の船も好きです。ガントリークレーンもかっこいいですよね!空港では子供並みに貨物の牽引車を観察します。
いかがでしたでしょうか?
個人的な見解ですが、思い当たる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
通関士の方は勉強熱心で、なんだかんだ文句を言いながらも仕事に愛のある方が多いように感じます。だから普段の生活でもついつい仕事目線で見てしまうのかもしれません。
この仕事でなければ感じられなかった、と思うと「職業病」も悪くないですよ。
2020/05/29
simalu 元通関士の実践コラム