外出自粛、リモートワークなどでお家で過ごす時間が増えた、という方も多いのではないでしょうか。
顧客の機密情報を扱う物流業界ではリモートワークが難しいのでは、と思われていましたが、徐々に在宅対応している会社も増えています。
実は、通関士は在宅勤務ができます。
2017年の通関業法改正で、
「通関業者の通関業務に従事する通関士その他の通関業務従業者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部又は一部において、自宅で業務に従事する勤務形態(以下「在宅勤務」という。)を導入する場合においては、当該勤務場所(自宅)を当該従業者の所属する営業所の一部とみなす」とあり、法律上は在宅勤務が可能です。
事前に関税局への申請が必要ですが、認定には柔軟に対応することも発表されています。
さて、自宅で過ごす時間が増えた今、せっかくなので資格の勉強などしてみてはいかがでしょうか。
貿易関係の資格といえば、
・「貿易実務検定」
・「通関士」
・「AIBA認定貿易アドバイザー」
・「国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)」
などがあります。
【貿易実務検定】
下位級から順にC級、B級、A級があります。
貿易業界で飛び交う様々な専門用語、銀行や保険会社との取引の流れ、貿易実務英語などが出題されます。C級は基礎知識レベル。A級は難易度が高く、実務経験と英語力がないと合格が難しいレベルです。
【通関士】
言わずと知れた?貿易関連唯一の国家資格。
輸出入をするうえで基本的な規則を網羅しています。合格率は10%前後と低いですが、貿易業界で働く人にとって付加価値の高い資格です。
【国際航空貨物取扱士(IATAディプロマ)】
航空貨物運送で必要な知識とスキルを認定する資格です。基礎(Ⅰ)コースと危険物(M2)コースがあり、危険物(M2)コースは2年ごと資格更新試験があります。全て英語で出題。受験料も5万円以上と高額ですが、世界で通用する国際資格です。
また、「TOEIC」や「日商ビジネス英語検定」など英語の資格も貿易実務に役立ちます。ビジネス英検は貿易実務に関する問題も出題されます。
今年新たに始まった資格が「EPAビジネス実務検定」です。
【EPAビジネス実務検定】
現在、ベーシック(C級)とアドバンスト(B級)の区分がありますが、今年2月に実施された第1回ではC級のみが開催されました。EPAに関する実務知識や周辺知識を問われます。第1回の合格率はなんと91.1%!!
実は私も次回6月7日に実施される試験を受けてみようと思い、テキストを入手しました。
EPAは締約国ごとにルールが微妙に違います。しかし、どのEPAも骨格は似ており、一つのEPAを理解していれば、それを基軸に相違点を考えると理解しやすくなります。
テキストでは、日EU・EPAをベースにして解説しています。譲許表、原産地規則、運送基準だけでなく、通関や関税実務についても問われるので、まったくの知識ゼロでは難しいかと思います。
普段実務をされている方向けに感じますが、かといって、ベーシックではEPAについて深く掘り下げている印象はありません。B級ではもう少し詳しい実務知識が必要と思われます。
普段は目の前の業務にのみ目が行きがちで、全体の流れについてはふわっとした知識でやり過ごしてしまいがちです。試験勉強すると、あいまいな事柄も体系立てて知ることができます。
通勤に時間を取られることがなくなり、飲み会もだらだらした会議もなくなった今、時間を有意義に使うなら自分をブラッシュアップ!「おうち時間」に資格試験勉強、おすすめですよ。
2020/04/16
simalu 元通関士の実践コラム