日米貿易協定が2020年1月1日に発効しました。TPPの範囲内での関税撤廃、削減であるためか、二国間の協議の期間も国内での審議も短かったように感じます。日米貿易協定でも、輸入者による自己申告制度のみが採用されています。輸入者の代理人による作成は可能。輸出者・生産者による申告は不可、原産地証明書は不要です。|日米貿易協定が発効。どんな物品が対象?

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公開日:2020.01.21  / 最終更新日:2020.02.05

日米貿易協定が発効。どんな物品が対象?

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日米貿易協定が2020年1月1日に発効しました。いつの間にか発効していたという印象ですが、皆さんどう感じましたか。

TPPの範囲内での関税撤廃、削減であるためか、二国間の協議の期間も国内での審議も短かったように感じます。

この度の日米貿易協定は、以前の記事でもふれたように、現時点では物品部分だけに限られた協定です。TPP11や日豪EPAなどのように人の移動やサービス面を含めた経済連携協定(EPA)ではありません。

TAGって何?FTAとどう違う?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2018-11-12

これまでも多くの国とEPAを締結し、運用していますが、近年になって原産品を証明する方法は自己申告が主流になっています。

日米貿易協定でも、輸入者による自己申告制度のみが採用されています。輸入者の代理人による作成は可能。輸出者・生産者による申告は不可、原産地証明書は不要です。

*TPP11、日EU・EPAでは輸出者または生産者による申告も可。

具体的な原産品申告書等の作成方法は、こちら。
https://www.customs.go.jp/roo/procedure/riyou_us.pdf

輸入者が日本語又は英語により作成します。製造工程表や材料一覧表など、原産性を確認できる書類も同時に提出しなればなりません。
また、税関は輸入者に対し、輸入された産品の原産性を確認するため情報提供要請を行うことがあります。

もし、企業秘密保持などの理由から輸入者が輸出者から手に入れることができない情報がある場合は、輸入者を介さずに輸出者・生産者から情報を直接送付することも可能です。

関税の撤廃、削減範囲は、協定の附属書Ⅰ(日本国)と附属書Ⅱ(米国)に規定されています。附属書Ⅱは英文のみ。

では、どの物品が協定の対象品目なのか?

日米それぞれに譲許範囲が異なっており、

日本側:010121.290~382370.000
米国側:06023000~96121090

が対象です。HS2017を適用。
HSコードは前半が肉類や農水産品なので、日本側は多くが肉類や農水産品、米国側は農水産品から機械類まで幅広く対象であることが分かります。

ただし、機械類はそもそもほとんどが無税で日本に輸入できるので、日本側が少ないじゃないか、とはなりません。

輸入したい、輸出したい物品の6桁までのHSコードが分かれば、原産地規則を確認します。

税関の品目別原産地規則検索を使えば、品目別の原産地規則が分かります。
https://www.customs.go.jp/searchro/jrosv001.jsp

原産地規則とは、輸入貨物の原産国を決定するためのルールで、品目や各EPAによって異なります。原材料からすべて1か国で生産・加工された貨物であれば完全生産品として間違いなくA国原産の貨物ですが、たとえば原材料はB国、実質的な加工をして製品にしたのがA国となれば、A国が原産国となります。
しかし、EPAや品目によってはその原材料に関してEPA協定税率を適用できないルールが存在することがあります。

それを確認するのに便利なのが、上記の品目別原産地規則検索ページです。

小さな部品など複数国の原材料を使用している場合など、調べてみても分からない場合は、税関の事前教示制度を利用することも可能です。
また、過去の事前教示もとても参考になります。税関HPから照会できますので、利用してみてください。

2020/01/21

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