日本とEUのEPAが発効しましたね。発効に伴い多くの品目で関税が即時撤廃になりました。今回は日本からEUへの輸出について考えてみようと思います。EUの関税率を調べるにはTARICのサイトを使います。EUに輸入される際、関税がかかる品目があります。しかし、そもそも一般の輸入関税が無税の品目もあるわけです。|EUの関税率を調べるならTARICを使おう!

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公開日:2019.04.12

EUの関税率を調べるならTARICを使おう!

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日本とEUのEPAが発効しましたね。発効に伴い、多くの品目で関税が即時撤廃になりました。

今回はEUから日本への輸入ではなく、逆パターン、輸出について考えてみようと思います。

EUに輸入される際、関税がかかる品目があります。しかし、そもそも一般の輸入関税が無税の品目もあるわけです。

事前にEPA特恵税率と一般税率を比べてEPA特恵税率の方が優位であれば、EPAを適用するための書類作成を行います。

EPA税率適用には原産地規則を満たす必要があり、証明書類など事前の用意が必要で、手間もかかります。EPAを適用してもしなくても変わらないなら、手間は省きたいですよね。

EUの関税率を調べるにはTARICのサイトを使います。

「Goods code」に品目コードを、「County of origin/destination」にJapanを選択します。ここで、品目コードがわからない、という方は、日本の実行関税率表を見てください。

品目コードは6桁までは世界共通です。日本の関税分類を参考に6桁まで品目コードを調べることができたら、TARICに入力。あとは細則部分を確認しながらクリックし、8桁まで表示されたところで検索ボタンを押します。結果では、関税率だけでなく、規制なども確認できます。

「ERGA OMNES」とはすべての当事者という意味で、WTO加盟国からの輸入に一般的に適用される税率、「実行最恵国(MFN)税率」が確認できます。指定した国及び地域はその下に表示されますので、Japanのところを確認します。

国及び地域を指定していなくても、検索結果にはMFN税率と、国ごとのEPA特恵税率が表示されます。

当然ですが、英語です。Google翻訳などを使えば、それほど英語が得意でなくてもなんとかたどり着けます。ただし、不確実な場合は現地輸入者や通関業者に再確認しましょう。

また、ジェトロとFedexが日本居住者向けに提供しているデータベース(ワールドタリフ)でも、品目コード及び関税率を確認することができます。登録が必要ですが、日本の居住者ならだれでも無料で利用でき、世界各国の関税率を見ることができます。

EUだけでなく、世界約175か国のHSコードと税率が検索できるので、何となく見ているだけでも面白いです。

EUでは日本で言うところの事前教示制度もあります。商品がどの税番なのか、あらかじめお伺いを立てて当局から保証してもらう仕組みです。拘束的関税分類情報(BTI:Binding Tariff Information)といい、BTIデータベースに登録されると、EU諸国全てに適用が可能になります。有効期間は原則3年間です。

現時点では有税品目でも、将来的に減税または免税になる場合があります。それらについては、スケジュール(譲許表)で確認することができます。

EU統合関税率TARIC(Integrated Tariff of the European Communities)
https://ec.europa.eu/taxation_customs/dds2/taric/taric_consultation.jsp?Lang=en

WorldTariffオンライン登録
https://ftn.fedex.com/wtonline/Registration/RegFrame.jsp?nageName=Jetro/JetroReg.jsp

BTIデータベース
https://ec.europa.eu/taxation_customs/dds2/ebti/ebti_home.jsp?Lang=en

EU側譲許表
http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2018/august/tradoc_157229.pdf#page=5

2019/04/12

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