台風や地震などで災害で貨物が被災し、変質・損傷した場合の減税額の計算方法と手続きです。算出方法は2パターン。一つはは価格の低下率を基準とする方法。もう一つは変質・損傷後の性質及び数量を基準とする方法です。減税や戻し税の手続きは、輸入申告書に「変質・損傷減税明細書(様式T-1010)」を添付して税関に提出します。|輸入貨物が被災した!減税額の計算方法は?

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公開日:2018.10.31

輸入貨物が被災した!減税額の計算方法は?

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前回は台風や地震など、災害で貨物が被災し、変質・損傷した場合の減税の適用時期についてお話ししました。

今回は、具体的な減税額の計算方法と手続きについてお話ししたいと思います。

まず、減税額の計算方法について。

算出方法は2パターンあります。

(1)価格の低下率を基準とする方法
変質・損傷により低下した価格分に対応する関税額を減税額とします。

例えば、課税価格が100万円、関税率5%の貨物が、変質・損傷で価値が下がり、課税価格が60万円になったとします。

100万円×5%=5万円(関税額)
100万円-60万円=40万円(価格の低下率40%)
低下した価格分だけ関税が減額されるので、5万円の40%が減税額となります。
5万円×40%=2万円(減税額)

(2)変質・損傷後の性質及び数量を基準とする方法
変質・損傷したことで貨物の性質が変わり、適用税率が変わる場合があります。この場合、税率変更後の関税額を控除した額が減税額となります。

例えば、課税価格が100万円、税率5%の貨物が、変質・損傷で課税価格60万円、適用税率が3%に変わったとします。

100万円×5%=5万円(当初関税額)
60万円×3%=1.8万円(変更後関税額)
差額の3.2万円が減税額となります
5万円-1.8万円=3.2万円(減税額)

以上の2つの計算方法から導き出された金額を比較し、多い方が減税額になります。上記の場合ですと、2万円<3.2万円なので、3.2万円が減税額になります。

変質・損傷で関税が無税になった場合は全額減税されます。また、税率の変更を伴わない場合は(1)の方法により計算します。

従量税品についても同様に計算しますが、変質・損傷が課税物件確定前に生じた場合、低下分を算出するための基礎となる価格は、関税定率法第4条から第4条4までに定める課税価格決定方法に基づいて算出した価格とします。ややこしい書き方ですが、普通に考えて入港時の当初CIF価格だと思ってください。

輸入許可後で、「引き続き輸入許可を受けた時の蔵置場に置かれている場合」に災害等により変質・損傷した場合、戻し税が適用されます。減税額の算出方法に準じます。滅失した場合は全額払い戻されます。

では、減税や戻し税の手続きは?
輸入申告書に、「変質・損傷減税明細書(様式T-1010)」を添付して税関に提出します。この明細書には、変質・損傷の原因や程度、減税計算の根拠を示します。

輸入申告後で許可前に変質・損傷した場合は「更正の請求」の手続きをとります。

輸入許可後、引き続き輸入許可を受けた時の蔵置場に置かれている場合に、災害等で変質・損傷した場合、災害等のやんだ後速やかに、滅失又は変質・損傷した貨物の記号、番号、品名や輸入許可番号などを記載した届出書を、輸入を許可した税関長に提出します。税関長は確認書を交付します。
関税の払い戻しを受けようとする者は、災害等のやんだ日から3か月以内に、払い戻しの申請書、上記の確認書、輸入許可所または税関の証明書を添付し、輸入を許可した税関長に提出します。

災害時には少しでも救済措置があるとありがたいですよね。このような制度があることを事前に知っておくことで対応も違ってくると思います。

また、通関士試験では減税適用のタイミングなどは出題が常連のようです。試験を受ける方はしっかり理解しておきましょう。

関連コラム:輸入貨物が被災した!関税は減税されるの?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/moto_tsuukanshi/2018-09-28

2018/10/31

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