海外では日本食ブームと言われています。日本食レストランが世界各地で急増中。それに伴い酒類の輸出も増えています。
2016年の酒類の輸出金額は約430億円。これは、10年前に比べて3倍以上の伸びです。
輸出先国はアメリカ、韓国、台湾が多く、中国やタイ、ヨーロッパでも人気です。
日本の酒類といえば日本酒で、輸出額も1位です。次いで、ウイスキー、ビールが輸出額2位3位となっています。
世界で注目される日本のお酒、輸出するにはまず日本の「輸出酒類卸売業免許」を取得します。この免許は、申請時点ですでに輸出相手候補との取引見込みがあることが条件です。ですので、国内外で開催される見本市や商談会で取引相手を探したり、貿易商社を介すなどして輸出相手を見つけます。
国税庁の行った酒類輸出企業へのヒアリング調査によると、取引相手との信頼関係を築くことが輸出継続のポイントでもあるようです。実際に現地に何度も足を運び、一緒にマーケティングや販促を行うという企業もあります。
続いて、輸出先国の規制や法律への準備に関して。
各国で違いますが、ほぼ共通してクリアしなければならないのがラベル表示規則です。例えばアメリカですと、TTB(酒類・たばこ税貿易管理局)からラベルの表示内容について承認を受けなければなりません。酒の種類によってそれぞれ規定があり、日本酒であれば、ワインと同じ規定が用いられます。
そのほか、
・容器・容量に関する規制
・農薬・抗生物質・食品添加物に関する規制
・食品の衛生上の安全を確保するための法律による規制
・福島原発事故に関連した輸入規制
・輸入ライセンス
などがあります。
東日本大震災以降、日本からの食品輸出に規制がかけられており、輸出したい商品が規制対象でないかの確認が必要となりました。規制対象である場合、輸出できる産地や安全を証明する書類の提出が必要です。しかし、徐々に規制解除になってきているので、最新情報を確認することをおすすめします。
食品の衛生上の安全を確保する法律とは、日本でいうところの「食品衛生法」にあたります。輸入時に検疫機関で検査を受けるほか、アメリカや中国など生産過程で関わる施設や企業の登録が必要な国もあります。台湾では日本国内での検査証明があれば、書類審査のみとなります。
また、通常、日本国内での酒類の流通には酒税が徴収されますが、輸出する場合、酒税の輸出免税が適用されます。
適用要件は
・製造者自らが輸出する場合(通関業者に通関手続きを委託する場合を含む)
・製造者が、許可を受けた輸出業者の蔵置場に移出して輸出される場合(国内の輸出商社は1社のみ経由)
上記の場合であって、法定の期限までに外国に輸出されたことの明細を記載した書類を税務署に提出して免税されます。
酒類の日本国内での需要は、健康志向などを背景に縮小し続けています。一方で、海外では健康志向からの日本食ブームで日本からの酒類輸出が増加傾向といわれます。同じ文脈で結果が全然違うのは興味深いですが、世界中で日本食や日本のお酒が受け入れられているのはうれしいことです。
国税庁HP酒類輸出支援の取り組み
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/01.htm#a03
日本酒輸出ハンドブック
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/handbook/index.htm
2018/01/19