貿易は物流部分で天候に大きく左右されます。
世界各地それぞれ気象条件が違い、様々な影響が考えられますが、日本は台風の影響が大きいところではないでしょうか。
では、夏から秋にかけての台風シーズン、どのようなことに留意すべきでしょう?
海上、航空ともに天候の影響を受けます。特に海上輸送は船の延着だけでなく、台風ではコンテナヤードが閉まってしまうことがあります。ヤードクローズ・・・ともなると、輸入許可が下りても貨物を出庫できないので配送ができません。輸出の場合はコンテナ搬入ができません。配送トラックを手配していた場合は、キャンセル料もかかることがあります。
コンテナヤードの状況や動船(入港スケジュール)は本船の船会社やオペレーターに確認します。早めに情報を入手したいところですが、台風は進路が分かりづらく、ヤードの状況は当日朝にならなければわからない、ということもしばしばです。
さて、クローズしてしまったコンテナヤード内では、どのような台風対策がとられているか、ご存知でしょうか。通常、コンテナは5段に積み重ねて置かれています。しかし、強風による横転を防ぐため、積み上げる段数を減らします。また、コンテナ同士を金具でつないで固定します。
これらの作業は台風が接近してから始めたのでは遅いので、接近前から通常の荷役作業はせずに、台風対策のための作業を行います。そのため、早い段階からヤードクローズとなってしまうことも。また、台風対策解除のための作業も必要ですので、台風が去ってもすぐに荷役再開というわけにはいきません。
そして、無事荷役が再開されると、搬入や引き取りのトラックでヤードは混み合います。もちろん、周辺道路も混みあって大渋滞です。トラックの手配替えやスケジュール変更など、臨機応変な対応が求められます。
台風とはちょっと違いますが、輸出入先国の気候にも注意したいものです。例えば東南アジアや南アジアでは雨季があります。雨季シーズンには貨物の水濡れ対策が欠かせません。ビニールや防水素材を使用した梱包で貨物の水濡れを防ぎます。近年は日本でも集中豪雨のようにとんでもない雨量で貨物がダメージを受けることも考えられます。
台風シーズン以外の近距離海上輸送は比較的スケジュール通りです。しかし、ヨーロッパや米大陸など遠距離海上輸送は、入港スケジュールが1週間など大幅に遅れることもあります。
これは、天候による影響もありますが、本船に日本向け貨物だけを積んでいるわけではなく、いくつかの国に寄港して積み下ろしを行うため、寄港先で遅れが生じれば、積もり積もって大幅な遅れになるのです。
2017/09/22