• Twitter
  • facebook
  • LINE
検索
公開日:2023.09.14  / 最終更新日:2023.10.25

RORO船とは

問い合わせ先:https://www.rakuraku-boeki.jp/publishing

RORO(ローロ)は、"Roll-On/Roll-Off"の略で、船舶や貨物輸送において使用される特定の船舶タイプを指し自動車、トラック、建設機械、農業機械、バス、シャーシなどの自走式の貨物を船上に載せることができる船舶です。その特徴は、船舶に搭載されたランプやドアを使用して、貨物が自力で船に乗り込み(ロールオン)または船から下りる(ロールオフ)ことができることです。

船内に広い車両デッキを持ち、貨物を効率的に積み降ろしすることができます。また、船内の車両デッキは、必要に応じて仕切りを設置することができ、貨物をセグメント化することができます。これにより、異なる顧客や宛先の貨物を区別して運ぶことができます。また、船内には固定式のバラストタンクが設置されており、船の安定性を確保する役割を果たしています。

コンテナを積んだトラックやトレーラーをそのまま運べるため、着港後は目的地まで荷物やコンテナの積み降ろしがなく、ドア・ツー・ドアで届けることができます。高速フェリー船のRORO船など選択肢が増え、生鮮食品や小物、日用品の輸送にも活用されています。

RORO船の利点

効率的に作業が行え、時間と労力を節約することができます。

大型・重量貨物の輸送: RORO船は自走可能な大型貨物や重量物を輸送することに適した手段です。建設機械やトラックなどの重い貨物を簡単に船上に載せることができます。

簡便な輸送手続き: RORO船を利用する場合、通常はコンテナなどの荷役作業や詰め替え作業が不要であり、貨物の取り扱いが簡便です。

多目的な使用: RORO船は、平成12年10月の海上運送法の改正により、貨物輸送の他にも、旅客船やクルーズ船としても使用されることがあります。船舶内部の設備や施設が利用され、船舶を多目的に活用することができます。一部のRORO船は、旅客の乗船や船内での施設の提供が可能であり、貨物輸送だけでなく観光やレジャーなどの目的にも利用されます。

RORO船は、自動車輸送や商用車の輸送など、自走式の貨物を効率的かつ安全に海上で輸送するための船舶として広く利用されています。自動車メーカーや輸送業者、建設機械の製造業者など、さまざまな産業や業界で活用されています。

なお、自動車やトラックなどの自走式の貨物に特化しているため、コンテナや液体貨物の輸送には適していません。これらの貨物は、他の船舶タイプや輸送手段を使用することが一般的です。

RORO船を利用する際の注意点

貨物の保護: RORO船では貨物が露天で輸送されるため、気象条件や航海中の揺れなどによる貨物の損傷や汚れのリスクがあります。適切な貨物保護措置を講じることが重要であり、梱包や防水カバーの使用、固定装置の適切な使用などを行いましょう。

貨物のセキュリティ: RORO船では、貨物が船上で露天に晒されるため、盗難や不正なアクセスのリスクが存在します。貨物のセキュリティ対策を講じるために、貨物の監視や封印、セキュリティスタッフの配置などを考慮しましょう。

航海スケジュールの確認: RORO船は特定の航路やスケジュールに依存しており、船の出航時刻や到着予定時刻には変動が生じる場合があります。貨物の引き渡しや受け取りの計画を立てる際には、船舶のスケジュールを確認し、十分な余裕を持った日程を設定しましょう。

貨物の制限事項の確認: RORO船は貨物の形状や重量に制約があります。船舶の車両デッキの高さや重量制限を確認し、貨物の制限事項に合致しているかを確認しましょう。また、特殊な貨物や危険物の輸送については、船舶や関連規制の制約を把握し、必要な手続きを遵守しましょう。

RORO船は、貨物輸送の効率性と便利さを追求する際に重要な役割を果たしています。多くの港湾や海運業者がROROサービスを提供しており、需要がある場合には輸送オプションとして考慮する価値があります。

RORO船を利用する際のデメリット

依存度とスケジュール制約: RORO船は特定の航路やスケジュールに依存しているため、航路や出航スケジュールに制約がある場合があります。貨物の受け渡しや輸送の計画を立てる際に、この制約を考慮する必要があります。

露天運搬と気象条件: RORO船は、貨物が露天で輸送されるため、気象条件による影響を受ける可能性があります。悪天候や荒天時には、貨物の安全性や遅延のリスクが存在します。

貨物保護の課題: RORO船では、貨物が船上で露天に晒されるため、適切な貨物保護が重要です。自走式の貨物は風や水の影響を受ける可能性があり、塗装の傷や環境要因による損傷のリスクがあります。したがって、貨物の保護や梱包には注意が必要です。

航行制約と貨物容量: RORO船は、車両デッキ上のスペースを利用するため、高さや重量制限があります。大型貨物や特殊な形状の貨物に対して制約がある場合があります。また、船舶の貨物容量も限られているため、需要が高い場合には予約が困難な場合があります。

フォークリフトなどを使うコンテナ船に比べて早く、簡単、安全に荷役ができますがシャーシごと船に載せるため、積載効率の点ではコンテナ船に劣ります。

セキュリティと保険: RORO船では、貨物が露天で輸送されるため、盗難や損傷のリスクが存在します。貨物のセキュリティ対策や適切な保険の確保が重要です。

これらのメリットとデメリットを考慮し、貨物の性質や輸送ニーズに応じてRORO船の利用を検討することが重要です。他の輸送手段と比較し、貨物の特性や緊急性、コスト効率などを考慮して最適な選択肢を判断する必要があります。

くらしと貿易と通関との関連記事