HSコードは日本でも他の国々でも、私たちのくらしに必要なモノ、あるいはそのモノを作る為の原材料を輸出入するとき通関(税関へ申告し税関から許可を得ること)で必要になる最も重要でコードです。HSコードは世界共通の6桁からなる国際数字です。 |なくてはならない貿易のHSコード

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公開日:2022.05.18

貿易になくてはならないHSコード

貿易に必要なHSコード

日本でも他の国々でも、私たちのくらしに必要なモノあるいはそのモノを作る為の原材料を輸出入するときには、必ず通関(税関へ申告し税関から許可を得ること)が行われます。その通関に最も重要で不可欠なのが「HSコード」です。

HSはHarmonized Commodity Description and Coding System(国際統一商品分類システム)のHarmonizedとSystemの頭文字で、このシステムで使用するコードがHSコードになります。「関税協力理事会」略称CCC(Customs Co-operation CounCil)が開発し、1994年以降は「世界税関機構」略称WCO(World Customs Organization)という組織となって管理しています。

HSコードは1988年発効となった「商品の名称及び分類 についての統一システムに関する国際条約」(通称HS条約)のもとに締約国の間で定められ、できてからまだ歴史は浅く2022年現在で30年余りです。それはモノのコード化や管理等を行う手段であるコンピュータの登場、普及の歴史と重なります。日本はWCOへ1964年加盟、2021年4月現在で締約国は160ヵ国・地域になり、それらの国・地域を含めHSコードを適用しているのは212ヵ国・地域になります。

英語が世界共通の国際語であるように、HSコードは貿易で流通するモノを表す輸出入共通、世界共通の6桁の国際数字です。日本では、その数字の上2桁を類、上4桁を項、全6桁=HSコードを号と呼び、HSコードの後に細分番号と呼ぶ3桁の数字を続け、更にその後に「NACCS」というシステムで税関へ輸出入申告を行うためにNACCS用の数字(アルファベット)を10桁目に続け、合計9桁あるいは10桁で種々のモノを表し、税関への輸出入申告書へ数量と共に記載することにより、月間、年間でどこへ、どこからどんなものをどれだけ輸出入したか額・量を統計をとるためのコードでもあります。

類は大きいグループ分け、項、号、細分番号(NACCS用番号)を含めた9桁(10桁)と順に桁数が増えるにつれ、より細かく小さなグループ分けという構成になっています。HSコードの後に続ける、日本で細分番号と呼んでいる3桁の数字は、それぞれ各締約国で決めてよいことになっているため、例え全く同じモノであっても、日本と一致する数字配列にはなりません。

一見、HS条約付属書をもとに作られたコード表(日本では輸出:「輸出統計品目表」、輸入:「実行関税率表」)から輸出、輸入するモノをHSコード(あるいは細分番号、NACCS用数字を含めた9桁・10桁の数字)に当てはめることは容易に見えます。確かに、そのモノがズバリHSコードになっていることもあります。しかし、一つのモノに対して一つのHSコードが対応しているわけではなく、モノというのは日本だけでも、ましてや世界中を見渡せば、いろいろなモノが数限りなく数多に溢れています。

それを6桁あるいは9、10桁の数字に当てはめることは商品知識や専門的知識・経験を要し、至難の業です。それに輸入するモノについては、コードにより関税率も違い、そのコードを誤ってしまうと、関税率が違うばかりか、有税のモノを無税のモノのコードにしてしまうと加算税徴収ということにもなりかねません。だから輸入者から委託されて税関へ申告する通関士は、慎重にも慎重を重ねて、コードを検討し、「関税率表解説」という他の資料などで裏付け(確認)し申告を行います。

HSコードはWCOにて5年に一度見直されるのですが、通関現場に身をおく者としては、日進月歩で技術が進化する中で新しい素材、新しいモノが次々と生まれているのに5年に一度の見直しではHSコードは追いついてないというのが実感です。

通関士は、輸入を行う顧客から輸入しようとするモノに関するHSコードとその関税率の問い合せをよく受けます。問合せは日本での販売やその価格などを検討するためです。その問合せに対して回答を導き出す労作は無償サービスが習慣のようになっています。HSコードを決める事は税関へ提出する申告書において最も重要で、難しく、神経を使う作業です。その労作がそれ相応に適切な評価を受けられないのは、長年に渡り通関士をやっていて異様で、正当に評価される時代が来ることを望まずにはいられません。

2022/05/18
くらしと貿易と通関と
Kyō

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