今回は少しFPらしいお話をしたいと思います。
今やほとんどの決済がキャッシュレスで可能となり、実際に現金に触れる機会が極端に少なくなりました。先日、ある情報番組で、今の小学生(低学年)にはおつりの概念がないらしいという話をしていました。確かに給料は銀行振込、支払いはクレジットカードやスマホで完結しますので、納得できるところもあります。
キャッシュレスには利便性を感じる反面、お金の実態が見えないだけに、子どものみならず大人も改めて考えてみる必要があると感じました。
スマホ決済やクレジットカード決済は、支払いが後払いという気安さもあり、ついつい使いすぎてしまい後々請求額を見て真っ青になった、という経験をしたことはありませんか。請求額が思いがけず多額となった時に、カード会社のサイトからリボ払いを勧められることがあります。そこで、キャッシュレス時代の今だからこそもう一度リボ払いの仕組みについて整理してみましょう。
そもそもリボ払いとは?
リボルビング払いの略称で、決済金額にかかわらず、毎月の返済額を平準化する返済方法です。返済金額は自分のお財布事情に応じて設定できますので、表面的には使いやすい返済方法として知られています。
しかし、本体代金に対して利息が発生する通常のクレジットの分割払いに対し、リボ払いは前月末の残高に対して利息が発生する仕組みです。
では、リボ払いの利息を具体的な例でシミュレーションしてみましょう。
(具体例)
Sさんは、4月に20万円で家電を購入し、5月には旅行費用として10万円を支払いました。決済にはクレジットカードを使用し、返済額は毎月2万円のリボ払い、5月から返済開始です。
(リボ払い 返済条件)
・年利15%
・毎月返済額 20,000円
返済月 | 4月 | 5月 | 6月 |
費目 | 家電 | 旅行 | - | 購入金額 | 200,000 | 100,000 | - |
リボ払い返済額 | - | 20,000 | 20,000 |
利息 | - | 2,500(a) | 3,531(e) |
元金 | - | 17,500(b) | 16,469(f) |
月末残高 | 200,000 | 282,500(c) | 266,031(g) |
(a)4月末20万円の残高に対しての利息を計算します。年利15%なので月の利息は1/12です。
200,000x0.15÷12=2,500円
(b)5月の返済額20,000円の内訳は、2,500円は利息なので、元金の返済額は
20,000-2,500=17,500円
この時点の残高は200,000ー17,500=182,500円
(c)5月末残高は、(b)に旅行代金10万円が加算されますので、
200,000-17,500+100,000=282,500円
(e)5月末残高282,500円に対して利息がかかります。
282,500x0.15÷12=3,531円
(f)6月の返済額20,000円の内訳は、3,531円は利息なので、元金の返済額は
20,000‐3,531=16,469円
(g)よって、6月末残高
282,500-16,469=266,031円
このように残高に対して利息がかかるために、残高が増え続けることで、元金がなかなか減らないという現象が起こります。結果、延々と返済が続くという魔のループになりかねません。
少し細かい話となってしまいましたが、リボ払いは取っ付きやすいわりに分かりにくい仕組みかと思い、今回解説させて頂きました。
現金派でもキャッシュレス派でも、家計管理の基本は同じです。予算を決めてその範囲でお金を使う。キャッシュレスの場合は請求ベースではなく、支払ベースでお金を管理すれば、遅れてきたカードの請求額に惑わされることもないでしょう。
もはや、キャッシュレスという便利なツールを使わない手はありませんが、使っていいお金の上限額などマイルールを決めて、スマートにキャッシュレス時代を生きていきたいものです。
2022/02/24
元通関士・現FPのあれこれ話
山﨑裕佳子