輸出入を行う際に切っても切れない縁があるフォワーダー。
航空貨物では「フォワーダー」、海上貨物は「乙仲」といった区分けがされていた時代もありました。
とある輸入業者とフォワーダーの打ち合わせに同席したときの会話の一部が印象的でした。
「弊社は、フォワーダーではなくインテグレーターです。」
そもそも的な疑問がふっとわいてきました。
フォワーダーとインテグレーターはどのように違うのだろうか?
フォワーダーは通関業者のことではないのだろうか?
■インテグレーターとは
IT業界でもSI(=システムインテグレーター)という言葉が頻繁に使われています。
ソフトウェアシステムの設計・開発・導入といったソフトウェア領域を専門としたシステム開発業者。PCや端末機、心臓部となるコンピューターといったハードウェアを提供するハードウェア業者。ネットワークサービスの提供を専門としたネットワーク業者。
と、それぞれの専門領域で分業化され、それぞれプレーヤーが個別の領域で仕事を担っていた業界モデルに変化がおきました。
システムインテグレーションというコンセプトのもとに、ワンストップですべてのサービスを提供する事業モデルが台頭してきたのです。
インテグレーターはユーザーからみれば便利な業態といえましょう。
国際物流におけるインテグレーターに目を向けてみましょう。
DHLがはじまりといわれている国際宅配便業者はインテグレーターの代表格です。UPSのようにトラック輸送からスタートし航空機を所有することで国際宅急便事業に参入したケースもあります。
インテグレーターとは航空機を運行するキャリアとして一貫輸送サービスができることに加え、フォワーダーの機能を持った物流事業者ということになります。
インテグレーターとフォワーダーとの違いがここにあります。
■フォワーダーの役割と責任範囲は?
フォワーダーは多くの顔を持っています。
国際物流に必要な各書類を作成し通関実務を行うほか、輸送便の手配、混載化、保税倉庫での保管や梱包などの業務も代行しています。
しかし、多くのフォワーダーは自社で飛行機や船舶などの保有していません。
シッパーとキャリアの間に立って航空会社や海運会社の代理店として機能しながら、輸送経路や手段、キャリアの選択などの業務を担っています。
フォワーダーが非船舶運行業者(NVOCC=Non-Vessel Operating Common Carrier)とも称される意味がそこにあるわけです。
キャリアは貨物をA地点からB地点へ運ぶ責任はありますが、運送約款で事故への補償免責が決められています。フォワーダーはあくまでもキャリアの代理店である、ということからするとフォワーダーはキャリアの運送約款に準じた補償しかできないということになります。
一貫輸送サービスができるインテグレーターもまた運送約款の範囲内しか補償ができない点はフォワーダーの場合と同じです。
荷主として運送約款があることを再認識しておくべきでしょう。
関連記事:輸入貿易実務(航空編)その1 フォワーダー 2012/06/22
2015/06/09