インコタームズでは輸出者の義務として
「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに 速やかに書類・データの提供をすること」
と規定しています。
何故なのか?
そもそも国際貨物輸送の基本的なしくみから考えてみましょう。
実際に貿易をはじめた方々は書類の準備や取扱にいろいろ苦労されているようです。
「らくらく貿易」には以下の3つのお問合せをよくいただきます。
・書類は貨物に添付しなければいけないのですか?
・英語で書かないといけないのですか?
・梱包パッケージに書類を入れなくてはいけないのですか?
輸出も輸入も書類がないと税関申告も貨物の引き取りもできません。
国際取引では「モノと書類が別々に流れている」ことを再確認しておきましょう。
■ビジネスで使う国際貨物輸送は宅急便とは違う
日本国内は宅急便というきわめて便利なサービスがあります。
・送状だけ書いて荷物に貼り付ければ、多くの地域へ翌日には届きます
・時間指定もできます
・加えて受け取り場所まで指定できます
まさに「ほしいときに、ほしいところで」が体現できる日本独特のサービスです。
世界中の他国でもなかなか実現できません。
しかしこのサービスレベルに当たり前のように慣れてしまうと危険です。
国際貨物輸送も無意識に同じようなものだろうとの錯覚におちいることになります。
国境を超える国際取引には書類がないと貨物を送ることができません。
海上輸送でも航空輸送でも貨物(モノ)と書類は一緒には流れていません。
国際貨物輸送は日本国内の宅急便とはまったく違います。
■国際貨物輸送でモノと書類が別々に流れているのはなぜ?
その理由はシンプルです。
Commercial InvoiceやPacking Listなどの貿易に必要な書類が入った
貨物を紛失してしまうと、貨物を引き取ることができなくなってしまうからです。
そのためにモノと書類が別々に流れているのです。
ITの進んだ現代なのに意外と思われるかもしれませんね。
一般の海上貨物も航空貨物も複数の荷主の貨物が混載され、スペースを共有して輸送されています。
そのためにバーコード管理が難しいといわれています。
混載貨物のため、最終的にモノと書類の付け合わせ作業が必要なのです。
しかし国際宅急便やEMSは例外です。
小口輸送のため、1梱包ごとに送状がつけられバーコード管理ができるからです。
貨物に書類がアタッチされ同時に流すことが可能なのです。
■輸出者の義務とは?
輸入者がスムーズに貨物を引き取るためには多くの書類が必要となります。
・BL船荷証券 (海上貨物の場合)
・AWB 航空送状 (航空貨物の場合)
・Commercial Invoice
・Packing List
・各種貿易書類 (原産地証明書など)
輸出者は貨物を発送したら速やかに輸入者あてに書類を送る必要があります。
インコタームズが規定している輸出者の義務
「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに、速やかに書類・データの 提供をすること」
は国際貨物輸送の特性を象徴しているとも言えるでしょう。
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