輸出入をされている方なら一度は言われたことがあるのが「こちらの貨物、申告しましたところ税関検査となってしまいました」というフォワーダーからのお知らせかと思います。
税関検査となったため、
・「納入がさらに1日遅れる」
・「船が一本後ろになってしまう」
・「検査料と立会い料で〇万円が追加で発生します」
など言われ、悲鳴を上げられたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
フォワーダーの立場として上記のようなことを輸出入者に伝えた際に時々言われるのが「税関検査になるかどうかって事前にわからないのですか?わかれば前もって日程に余裕を見ておけますし、料金の心構えもできるのですけど」ということです。結論から言えば事前に100%の確率でわかることはまずありません。その申告をした通関士も、実際に輸出(輸入)の申告を税関にかけてみて初めて、その結果が分かるのです。
どのように分かるのかというと、現在はほとんど全ての申告がNACCSにて行われていますので、NACCSから税関へ申告をかけると自動的に申告結果がフォワーダーのNACCSへ即時で返ってくるようになっています。そちらの結果が「区分1」となっており輸出(輸入)許可書が同時に届いていれば、書類審査も検査もなく許可が下りたということです。「区分2」となっていれば、税関職員による書類審査を受けなければならないので、NACCSを通して税関へ、申告に関連する書類(BLやインボイスなど)を提出することとなります。そして「区分3」となっていますと、税関検査になる可能性があるということです。
なぜ「検査になる可能性」なのかというと、この段階ではまだ100%で税関が検査をするということが決定していないのです。実はこの後に、取りやめになる可能性も十分にあります。ですので区分3となったらまずは区分2の書類審査と同様に、税関へ申告関連書類を提出します。そこから税関職員が書類内容をチェックし、必要であれば通関士や輸出入者へ聞き取り調査をし、やはり実物を見て検査をしなければならないと判断されると、そこで初めて税関検査となることが決定するのです。
逆に言えば、区分3となったとしても、書類をチェックした結果、税関検査の必要がないと認められれば検査は省略され、許可がおります。検査取り止め通知書と許可書がNACCSへと届けられます。これは通関業者にとっても喜ばしい瞬間です。
さらに逆を言えば、区分2となり書類審査のみで終わるはずだったのに、税関検査になってしまったということも往々にしてあります。書類審査の結果として税関検査が必要だと判断されれば区分2から区分3へと切り替わり、検査通知書が送付されてしまうのです。なので通関業者は区分2や区分3となった申告がある場合には、ずっと気がかりでモヤモヤとして、何度も何度もNACCSを確かめるという羽目に陥ることがしばしばあります。
税関検査とはこんな流れで税関より通知されるものですので、どの申告がどのタイミングで検査となるかは、通関業者には決して事前にわかることのないものだということがお分かりいただけたかと思います。
2021/09/26
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