日本通関業連合会では現在、「女性通関士支援事業」という取り組みが行われています。定期的に「全国女性通関士会議」という場が設けられています。全国から女性通関士が数十名参加し、通関業連合会の会長などと意見交換や討議が行われているそうです。|女性通関士支援事業って何?

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公開日:2021.07.25  / 最終更新日:2022.01.27

女性通関士支援事業って何?

PCを使って在宅勤務

日本通関業連合会では現在、「女性通関士支援事業」という取り組みが行われていることを前回のコラムでお話させていただきました。それでは、具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。

最近ではコロナ禍のために開催が見送られていることもあると思いますが、連合会では定期的に「全国女性通関士会議」という場が設けられています。全国から女性通関士が数十名参加し、通関業連合会の会長などと意見交換や討議が行われているそうです。私も現役通関士だったらぜひ参加してみたいものです。

その会議の中では例えば通関士の「働き方改革」について話合われています。人材不足や荷主ファースト主義、このコラムでも以前にお話しました慢性的なドレージ不足により長時間労働が通関業界でも発生してしまっており、これが女性通関士の活躍を妨げる要因の一つとなっています。

その是正に向けて、データをシステム化する、休みやすい状況を整える、フレックスタイム制や在宅勤務制度を整えるといった対策の意見交換を女性通関士同士でされています。

会議の終了後には、懇親会も開催されています。関税局の方も参加され、リラックスモードで関税局、通関業連合会、女性通関士の方々が懇親を深めているようです。同じ通関士と言っても他社の通関士とはなかなか交流を持つ機会もありません。

管理職になれば税関などを交えた保税地域での会議などに出席することもありますが前回述べましたように管理職をしている女性通関士はまだまだ少ないので、そういった会議に出席されている女性通関士も少ないことでしょう。ですのでこのような懇親の場が女性通関士の為に用意されているのはとても喜ばしいことだと思います。

そのような場での交流が刺激となり、最近では女性通関士のネットワークの構築や女性の会の設置が行われたり、連合会ではSNSが立ち上げられたりと、成果も出ているとのことです。男性目線だけでは浮かばなかったアイデアが女性通関士の活発な交流のおかげで生み出されたということでしょう。

会議の中で取り上げられたテーマとして、私が注目したいのは在宅勤務の導入についてです。在宅勤務が通関業界でもっと広まれば、家庭との両立も今以上に容易となり、女性通関士の活躍の場も増えることでしょう。申告まで在宅で行うとセキュリティの問題が出てくるといった課題や障害は山積みですが、まずは、申告までの業務を在宅でもできるように環境を整えることから始め、最終的には在宅勤務用に切り分けられた仕事をするのではなく会社でしているいつもの通関業務を在宅でできるようになれば理想的です。

実際、在宅によるリモートワーク専任の通関士を契約社員として採用を始めた会社もあると聞きます。このような動きが活発になれば、育児や介護などで一線を退いてしまった元女性通関士の人たちも、また以前のように登録通関士として輝けることができると思います。

いつの日か、名実ともに女性通関士が男性と同等に活躍している通関業界が実現される日を心から楽しみにしています。そのためにはこれからも、通関業連合会が主体となっての「女性通関士支援事業」をぜひとも継続していただきたいです。

参考記事:
http://www.tsukangyo.or.jp/files/NO154.pdf

関連記事:女性通関士、どれくらい活躍している?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/boueki_jitsumu_jirei/2021-06-29

2021/07/25
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