この半年から1年くらいは、フォワーダーや海貨業者の方とお話をすると、世界中でコンテナ不足が起きているということを実感させられます。
フォワーダーから輸出入輸送の見積もりをいただいても、コンテナ不足により海上運賃が急激に変化しやすく先の見通しが立たないということで、見積もりの有効期限が短く設定されていることがほとんどです。
どうやら海上コンテナだけではなく航空機の貨物スペースもひっ迫しているようですが、こちらの理由は何となく想像できます。新型コロナウィルスの影響で世界的に旅行客、特に海外旅行客が大きく減少しており必然的に航空便のスケジュールも減便しているため、貨物の積載スペースも少なくなってしまうのでしょう。
それではなぜ、海上輸送のコンテナ不足が昨今で叫ばれているのでしょうか。
調べてみましたところ、海上コンテナの不足も新型コロナウィルスが大きく影響を与えていることがわかりました。感染拡大により在宅勤務や自宅時間が増えたことにより、いわゆる「巣ごもり需要」が増えたことが要因であると言われています。在宅勤務での仕事環境を整えるために、昨年はPC関連機器の販売数が伸びたことはニュースなどでも度々報道されていました。それらのPC関連機器の輸送のために通常より多くのコンテナが予約され、船に積載されました。
もちろんそれ以外にも、自宅時間を快適に過ごすための家具や、子どもたちを楽しませるための玩具などが、今まで以上に色々な国へ運ばれたことでしょう。特に北米へ向かう航路ではコンテナ船の物量が昨年度と比較して25%も増えた月もあったそうです。
それだけ多くの船が北米へ向かえば、今まで以上のパフォーマンスでコンテナの積み降ろしなどをしないとどんどん港に滞留されてしまいます。ところが、北米の港では、外出自粛やロックダウンなどの影響もあり、港湾労働者や長距離ドライバーの数が不足しているため、むしろコンテナの取扱い作業量は減ってしまっている状況のようです。
そのため、コンテナを船から降ろしてもらうために(そして新たに輸出されるコンテナを積んでもらうために)北米の港でたくさんの貨物船が行列を作って待っている状況が発生してしまっていたのです。
海上コンテナは一つの航路だけで使われているわけではなく、世界中の港で共通して使われています。北米の港を出た後にアジアを回る航路を組んでいる船も多いでしょう。ですので北米でコンテナが滞留してしまえば、それが他の国でのコンテナ不足にも繋がってしまいます。こうして、今の深刻な世界規模でのコンテナ不足の事態へと陥っていました。
コンテナ不足が続いてしまうと、輸送の遅れはもちろんですが、海上運賃の値上げも避けられません。私自身、ここ最近のフォワーダーからの見積もりを見ていますと、数年前と比べて本当に高くなったと感じることばかりです。海上運賃の値上げは商品価格の値上げに直結しますので、私たちの生活に与える影響は少なくありません。
コンテナ不足は輸出入に関わる方々だけの問題ではないのです。一朝一夕には解決できない難しい問題ではありますが、何とか解消する手立てはないのでしょうか。また別の機会に、考えてみたいと思います。
参照記事: NHKサクサク経済Q&A
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20210205.html
関連サイト:
海上輸送コンテナ不足が深刻に。その原因は?
https://www.rakuraku-boeki.jp/column/boueki_jitsumu_jirei/2021-05-16
2021/05/05
輸出入よもやま話一覧