6月末で期限満了となった北米西岸の港湾労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使交渉は、ストライキなどの強硬手段をとらずに表面的にはストなしとし平和的な労使交渉が続いていました。
ところが最近、労使の綱引きで緊張が高まっていると報道されています。
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■北米西岸港湾スト、労使交渉に変化か?
使用者(PMA)側の報道によると、10月末から北米西岸港湾のうち北部地区のタコマ港・シアトル港でスローダウン戦術が始まり両港での
コンテナ荷役が通常の 40~60%まで低下しているとのこと。
ストなしの平和交渉への合意を破ってスローダウンを行っている点について使用者(PMA)側は「約束に違反してスローダウン戦術を仕掛けている」と強く非難しています。
これに対し、北米西岸港湾労組側(ILWU)はメディアを使ったゆさぶりと強く反発して、双方の緊張が高まっているようです。使用者側によるメディア攻撃なのでしょうか?
米国の好景気の影響なのか、クリスマス需要の終わった11月になってもまだスパースが満船状態といわれています。
そのため北米西岸のうち南部地区のロサンゼルス港・ロングビーチ港から北部地区のタコマ港・シアトル港にシフトしている貨物も増えており、労組側としては、機材・人員的にキャパを超えていることが荷役スローダウンの原因と反論しているようです。
■北米西岸港湾スト、今後の見通し
現時点では北米西岸タコマ港・シアトル港での荷役スローダウンの影響がどこまで拡大するか、長期化するか定かでなく混乱収束の目処は
ついていないようです。
今後、タコマ港・シアトル港の事態の推移によっては北米西岸向けのコンテナ船のスケジュールにも遅れの影響が出始めてくると懸念されています。
コンテナ船には荷役のためのクレーンがついていません。
岸壁にあるコンテナ専用クレーンで荷役作業が行われます。
そのため岸壁側の作業が遅れればコンテナ船は海上で待っていなければならないのです。
このことによってコンテナ船がスケジュールどおりに運行できなくなります。
健保・年金などの待遇改善も含めた労使交渉のため着地点の探り合いが続いているようですが、コンテナ船の遅れにつながらないように望みたいものです。
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