「韓国のTPP交渉参加が濃厚」 最近、気になるニュースです。
韓国はすでにTPP交渉参加国の多くとすでにFTA・EPAを締結しており、TPPに参加するメリットは少ないと言われています。
それなのに、どうして大詰めになってから参加しようとしているのでしょうか?
貿易自由化の歴史を振り返ってみましょう。
1929年10月24日、米国での株価大暴落(いわゆるBlack Thursday)を契機に経済後退が始まり多くの銀行が倒産するなど世界各国に波及して、1930年代の世界大恐慌が起こりました。
英ポンド圏,米ドル圏を中心に先進国が自分の権益を守るために閉鎖的なブロック経済圏を形成したことにより、世界経済はさらに縮小しました。
1940年代の第二次世界大戦は、当時のブロック経済により引き起こされたといわれています。
第二次世界大戦後、この反省からGATT協定(関税と貿易に関する一般協定)が1948年に発足し、世界規模での貿易自由化が話し合われるようになりました。
そして、1995年にさらなる自由化を求めてWTO(世界貿易機関)という形に発展してきたのです。
貿易自由化は、南北問題で、発展途上国(南)と先進国(北)の綱引きでもありました。
徐々に参加国が増えたためと、先進国(北)のリーダーシップが失われてきたというか、発展途上国(南)の発言力が強くなり、WTOでの交渉でコンセンサスを得るのが難しくなってきています。
特に、2001年から始まったWTOドーハ・ラウンドは、10年以上も延々と交渉しても合意点を見つけられず、いまだに決着できない状態です。
その結果、世界各国はWTOでの交渉をあきらめて、コンセンサスを得やすい2国間やある程度地域を絞ったFTA・EPAでの貿易の自由化交渉が主流となって来ているのです。
アジア太平洋圏でのTPPだけでなく、中国が東アジア包括的経済連携(RCEP)を進めようとするなど、ヨーロッパ圏でのEU、米国圏でのNAFTAを含め、世界はまたブロック化に向かっているように感じます。
この流れを敏感にとらえて韓国はTPP参加にメリットありと考えているのだと思います。
WTOをすっかり忘れてしまったかのような動きですが、「世界はひとつ」をめざしているWTOが本来の機能を発揮できることが本筋なのではないでしょうか。
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