TiSAも登場、WTOと貿易自由化への3つの動き
最近気になる貿易自由化に関して3つの動きを整理してみました。
最近の新聞報道からすっかり姿を消しているWTO。
その代り、貿易自由化というとEPA、FTA、TPPなどの言葉が主役となっています。
■新サービス貿易協定TiSA(=Trade in Services Agreement)とは?
久々にWTOが活字になっています。でも少々意味合いが異なります。
WTOに加盟する有志の国がサービス貿易自由化に向けて動いています。
WTOのドーハ・ラウンド交渉は決裂寸前ですが、こっちには22か国以上も参加。
日本も負けずに参加しています。
サービス貿易自由化とは何のことでしょうか?
もともとWTOがスタートする以前はモノの貿易に関する関税協定しかありませんでした。
モノの貿易に関する関税協定GATTを発展的に解消してできたのがWTOです。
WTOではモノの貿易だけでなく、サービス貿易や知的財産権など新分野も取り込みました。
金融・海運・保険などのサービス貿易自由化も含まれたのです。
でも対象範囲が広く、WTOの取決めだけでは満足しない国が参加しているようです。
つまり先進国間での政府間調達が議論されているとか。
WTOドーハ・ラウンドの行方も気になりますが、新サービス貿易協定の動きも注目です。
■日中韓FTA交渉の動き
3か国でも意見の隔たりが大きい、「難航か」の見出しが躍っています。
中国が自由化率を40%と主張しているとか。
TPPでも自由化率は90%以上が議論されているのに、これでは難航どころか不可能と思えます。
貿易取引はGive & Takeが基本なのに、中国のTake & Takeの主張に驚きました。
これではTPPに対抗しての日中韓FTAもまだまだ先が見えませんね。
■WTOが停滞している
WTOのドーハ・ラウンド交渉は15年近くも交渉して妥結できない状態です。
そのため大勢での交渉をあきらめて各自が勝手にEPA、FTA、TPPなどに動き出しています。
「この指とまれ」では経済ブロック化が警戒されるとの新聞記事を読みました。
TPP, EPA, FTAなどは参加国だけが恩恵を受けるため保護主義の要素があると懸念する声も。
特に最近のウクライナをめぐる欧米とロシアの経済制裁も拍車をかけているとの見方もあるようです。
この記事はこう結んでいます。
「第二次大戦の背景にもなった保護主義、経済のブロック化の芽を摘み取るため日本はもちろん、各国政府は160ヶ国・地域が加盟するWTOの機能を再確認する必要があるのではないか。」
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2014/09/15