2015年の輸出貿易管理令(輸出令)の改正が公布されました。輸出コンプライアンスの観点から、輸出者が自らの責任と判断において輸出貿易管理を行うことが求められます。|輸出貿易管理令2015年の改正について

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2015年の輸出貿易管理令の改正について

国際情勢・経済の変化を鑑みながら、今年も輸出貿易管理令と外国為替令の改正が公布されました。大量破壊兵器の拡散防止及び通常兵器の
過剰な蓄積の防止、条約その他、国際輸出管理会合における合意を履行するためのものです。

■具体的なリスト規制の改定は以下のとおりで2015年10月1日から改正されます。
リスト規制・貨物輸出令別表第一
・【4の項(5)の改正及び(5の2)の新設】推進薬の制御装置に用いられるガスタービン、規制対象に追加
・【5の項(13)の改正】チタンほう化物又はセラミック半製品等について、規制対象内容を変更
・【7の項(12)の改正】信号発生器について、規制対象内容を変更
・【12の項(1)の改正】潜水艇等の船舶について、規制対象内容を変更
・【13の項(2の2)の新設】人工衛星制御のための装置で地上に設置されるものを規制対象に追加

リスト規制・役務(外為令別表)
・【5の項(3)の改正】セラミック等の設計等に係る技術の規制対象内容を変更
・【5の項(6)の削除】芳香族ポリアミド繊維の製造に係る技術

■輸出コンプライアンスの必然性
輸出には企業も個人も輸出コンプライアンスが求められています。
武器・大量破壊兵器等の拡散が引続き懸念される中、輸出者が自らの責任と判断において輸出貿易管理を行うことが輸出コンプライアンスの原則です。

そのために、輸出する際には輸出貿易管理令(輸出令)に則しているかの判定作業をする必要があります。

判定作業をして、該当している場合は事前に経産省で輸出許可承認を得てから税関に輸出申請します。

非該当・対象外の場合は、税関に非該当証明書を提出するだけで、輸出の申請ができます。

非該当証明書を作成する場合は、輸出令に非該当である理由を明確にすることが必要です。
つまり、輸出者としての輸出コンプライアンスに沿った理論武装が求めれているわけです。

海外旅行に行くのにパスポートが必要なように、貨物の場合でも「モノの身分」をルールにそった形で明らかにしておこう、ということです。

■項目別対比表とパラメータシート
非該当証明書を作成するための判定作業を行うには、項目別対比表またはパラメータシートを使用します。

項目別対比表とパラメータシートはどう違うのでしょうか?

項目別対比表は、書かれている文章が輸出令そのもの(法令)で読み解くのに苦労します。

それに対して、パラメータシートは輸出令を分かりやすく解説したものです。
どちらも税関提出資料として有効です。

どちらの書類にも輸出令改定時期が記載されていますが、前年度の資料では効力はありません。

今年の場合10月1日以降の輸出申告には、輸出令改定時期10月1日が記載された書類を準備する必要がありますのでご注意ください。

2015/8/5

サレンダーBLをうまく活用して貿易実務をスムーズに!

貿易では「貨物」と「書類」が別々に動きます。そのために特に海上輸送の場合は細心の注意をはらいながら実務をすすめる必要があります。

最近あった事例をとりあげてみましょう。
・CIFで輸入した貨物の船荷証券BLのオリジナルが見当たらない
・よって、貨物の引き取りができない
・その結果コンテナヤードで保留のまま、保管料が毎日課金されてしまう

■船荷証券は有価証券

航空輸送に使われるAWBは単なる送状であることはよく知られています。航空輸送では短期間での輸送が可能なために、書類を別に郵送している時間がありません。海上輸送と違って、貨物と書類が同時に動いています。

一方、海上輸送においては貨物と書類が別々に流れています。書類の中でも船荷証券は重要な書類で、国内取引で使われている手形と同じく、有価証券として取り扱われています。

銀行が介在し船荷証券を担保にLCでの貿易決済が行われる場合、有価証券として権利者が船荷証券に裏書することで貨物の引き渡しが行われるためです。

最近では、銀行を介在した貿易決済もほとんどが外貨送金で行われます。しかし、LCなどの貿易決済を利用しなくても船会社での書類の取り扱いは変わっていません。船会社から貨物を引き取る時には、依然としてLC決済と同じようにオリジナル書類が必要とされます。銀行決済の場合とまったく同じ条件で貿易実務が行われているのです。

■船荷証券を紛失してしまうとどうなるか

今回の事例ではオリジナル書類が出てきて最悪の事態を免れました。では、最悪の場合はどうなるのでしょうか?

運賃Prepaidの場合、荷主(輸出者)が船会社に運賃を支払い、船荷証券のオリジナル3通を受取ります。輸入者はオリジナル3通全部提示しなくても、1通だけでも貨物の引き取りができます。輸出者は、書類郵送中の紛失を想定して、輸入者にオリジナルを3通発行してもらい、1通ずつ分けて郵送し輸送途上での紛失を防止するのが貿易実務の基本です。

最悪のケースとして、貨物引取人が3人現れたケースが過去にあったそうです。そのようなことから、1通でも紛失すると有価証券の失効手続きが必要となります。手形を紛失した場合と同じく、裁判所への法的手続きをしたうえで、貨物の引取者が現れないことを確認し再発行の手続きとなります。

■サレンダーBLをうまく利用する

煩雑なLCを利用せずに外貨送金で決済しても、貨物を引き取るにはオリジナルの船荷証券が必要となります。船荷証券の紛失事故を防ぐ方法があります。サレンダーBLを利用しましょう。

サレンダーBLとは、オリジナル書類は3通発行されますが、荷主に渡さずに、船会社がその3通の書類を回収してしまう船荷証券のことです。サレンダーBLを使うことで、輸入者はオリジナル書類を提示することなく貨物の引取りができます。

銀行での貿易決済をせずにCIF取引をおこなった場合には、輸出者にサレンダーBLの発行を指示することを忘れないようにしましょう。

当然ですが、サレンダーBLは銀行が担保権を留保できないため、LC決済の場合には利用できません。

関連記事:
貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

2015/07/29

フォワーダーとインテグレーターの役割・責任範囲は?

輸出入を行う際に切っても切れない縁があるフォワーダー。
航空貨物では「フォワーダー」、海上貨物は「乙仲」といった区分けがされていた時代もありました。

とある輸入業者とフォワーダーの打ち合わせに同席したときの会話の一部が印象的でした。

「弊社は、フォワーダーではなくインテグレーターです。」

そもそも的な疑問がふっとわいてきました。
フォワーダーとインテグレーターはどのように違うのだろうか?
フォワーダーは通関業者のことではないのだろうか?

■インテグレーターとは
IT業界でもSI(=システムインテグレーター)という言葉が頻繁に使われています。

ソフトウェアシステムの設計・開発・導入といったソフトウェア領域を専門としたシステム開発業者。PCや端末機、心臓部となるコンピューターといったハードウェアを提供するハードウェア業者。ネットワークサービスの提供を専門としたネットワーク業者。

と、それぞれの専門領域で分業化され、それぞれプレーヤーが個別の領域で仕事を担っていた業界モデルに変化がおきました。

システムインテグレーションというコンセプトのもとに、ワンストップですべてのサービスを提供する事業モデルが台頭してきたのです。

インテグレーターはユーザーからみれば便利な業態といえましょう。

国際物流におけるインテグレーターに目を向けてみましょう。
DHLがはじまりといわれている国際宅配便業者はインテグレーターの代表格です。UPSのようにトラック輸送からスタートし航空機を所有することで国際宅急便事業に参入したケースもあります。

インテグレーターとは航空機を運行するキャリアとして一貫輸送サービスができることに加え、フォワーダーの機能を持った物流事業者ということになります。

インテグレーターとフォワーダーとの違いがここにあります。

■フォワーダーの役割と責任範囲は?
フォワーダーは多くの顔を持っています。
国際物流に必要な各書類を作成し通関実務を行うほか、輸送便の手配、混載化、保税倉庫での保管や梱包などの業務も代行しています。

しかし、多くのフォワーダーは自社で飛行機や船舶などの保有していません。
シッパーとキャリアの間に立って航空会社や海運会社の代理店として機能しながら、輸送経路や手段、キャリアの選択などの業務を担っています。

フォワーダーが非船舶運行業者(NVOCC=Non-Vessel Operating Common Carrier)とも称される意味がそこにあるわけです。

キャリアは貨物をA地点からB地点へ運ぶ責任はありますが、運送約款で事故への補償免責が決められています。フォワーダーはあくまでもキャリアの代理店である、ということからするとフォワーダーはキャリアの運送約款に準じた補償しかできないということになります。

一貫輸送サービスができるインテグレーターもまた運送約款の範囲内しか補償ができない点はフォワーダーの場合と同じです。

荷主として運送約款があることを再認識しておくべきでしょう。

関連記事:輸入貿易実務(航空編)その1 フォワーダー 2012/06/22

2015/06/09

輸出のリスクヘッジについて思うこと

船荷証券(B/L)が有価証券であることはよく知られています。
このB/Lが担保となり代金支払と引き換えに貨物の引き渡しが行われます。

輸出者は代金回収を確実にするために、銀行を介在させて(=LCを使って)、輸出書類を担保に輸出リスク回避を行います。

最近、とある商社からまったく違うケースの相談を受けました。

■輸出リスクを回避するため?
その相談の内容とは

「仕入先メーカーから輸出LCを担保に入れて欲しい」と言われているが、このようなLC開設を輸出者に依頼するにはどうしたよいか?

具体的には、メーカーへの支払金額分(輸出金額の一部分)をメーカー宛に譲渡することができるのか?

といった相談です。

つまり、仕入先メーカーから支払保証を求められているわけです。

譲渡可能信用状(Transferrable L/C)を利用する方法が考えられます。
今回のケースのようにL/C総額の一部分だけを譲渡し、L/Cを輸出者に開いてもらうことは可能かもしれません。

しかし、日本の銀行はこのようなイレギュラー(一部譲渡)なケースについては対応していないのが現実のようです。

結論として、全額を譲渡してメーカーから輸出商社のコミッションをあとで受け取る、という方法しかないようです。

これではメーカーに輸出取引の全貌を開示してしまうことになります。

■メーカーが強くなっている?
かつては、「商社金融」とか「前渡金」といった制度がありました。
商社がメーカーに対して仕入れ代金の一部または全部を、輸出取引の前に資金貸付として行っていたのです。

メーカーは商社を介在した間接輸出で輸出リスクを回避していました。

このような時代はすっかり変わってしまいました。
・メーカーの財務体質が強くなり商社金融に頼らなくてもよい
・商社自体が個別の売買取引から投資案件に軸足を移している

表裏一体の傾向になってきているようです。
そのためにメーカーの「直接輸出」モデルが増えてきているわけです。

商社経験の長い筆者としては、輸出商社からの輸出リスクヘッジについて、時代の変遷と今後の海外展開を考えさせられる相談でした。

輸出者にとって最大の輸出リスクは買主からの代金の回収にあると思います。
このリスクをメーカー自身で負担することをしたくないのでしょうか。

輸出リスクを負担したくないため、商社を介在した間接輸出を選び、さらに支払保証としてL/C担保を求めているように思えました。

2015/05/10

北米西海岸港湾ストの余波とコンテナ船の運航調整



北米西海岸港湾ストの労使交渉が合意に達してから2ヶ月あまり、正常化に向けてはまだ多くの課題が横たわっているようです。

最近の報道をまとめると以下のような点が浮き彫りになってきます。

・まだ沖待ちしているコンテナ船が多く、最大で3週間のスケジュールに遅れが出ている
・港湾機能が正常化するには3カ月以上かかる模様
・コンテナターミナルの混乱の影響は5月ごろまで残る見通し
・航空輸送へのシフトが増加し1-3月期は前年比30%増

港湾荷役オペレーションのスローダウン戦術による影響だけでなく、以前から指摘されていた米国内でのシャーシ不足の問題が、港湾作業の正常化への足かせになっているようです。

そのために海上輸送から航空輸送へのシフトが加速化しています。

コンテナ船会社は臨時船を投入して空コンテナの調整とスケジュール維持などの対応に追われています。

何故このような事態になるとコンテナ船の運航調整に多大な影響がでるのでしょうか。

■コンテナ船運航キャリアー、世界規模での取組み
コンテナの積み下ろし作業は陸上に設置されているコンテナ専用クレーンで行います。
コンテナ船は荷役クレーンを持っていないからです。

今回の北米西海岸港湾ストでは、貨物を積まずに空の20フィートコンテナを20万BOX以上もシフトしているようです。

通常のコンテナ船は20フィートコンテナ換算で10,000BOX強の積載量ですから、20万BOX以上もシフトするためには15-20隻
程度のコンテナ船が必要になるという計算になります。

決して今回の港湾ストで問題がクローズアップされたわけではなく、世界各地のコンテナが偏在してしまっていることへの対応が急務な
ため、世界規模で正常化への課題に取り組んでいます。

■LINERとTRAMPER
コンテナ船は貨物の有無にかかわらずスケジュールどおりに運航されます。
そのため、LINER(定期運航)といわれています。

一方、穀物やバラ積み貨物は需要に応じて用船契約をしたうえで運行されます。5万トン以上の貨物船をフルチャーターするため、RAMPER(不定期運航)と呼ばれています。

一般的に輸出入ビジネスで利用される貨物の物量はフルチャーターベースではありませんので、コンテナ船が利用されます。

現在、コンテナ船各社が臨時船を投入してまで空コンテナの調整とスケジュール維持などの対応をしているのは、定期運航を守るためです。

コンテナ船を利用した安定的なサプライチェインの裏側では、コンテナ船各社のこのようなサービスが根底にあることを痛感させられます。

関連記事:北米西海岸の港湾労使交渉が合意ストライキが解決

2015/04/08

北米西海岸の港湾労使交渉が合意ストライキが解決



新聞やインターネットなどで報道されているように長期化していた北米西海岸の港湾労使交渉が5年間の新労働協約で暫定合意しました。

コンテナ荷役の低下で米国企業の資材調達だけでなく、日本の輸入食品にまで影響がでていただけに朗報です。

港湾荷役のスローダウン戦術で、コンテナ荷役の量が大きく低下。
北米東海岸に迂回する回避策だけでなく、しかたなく航空輸送に変更するなど日米経済界に多大な影響をもたらしてきました。

ターミナル混雑、機材・人材不足による影響がでていた港湾機能は徐々に正常化に向かう見通しとのことです。

北米東海岸の港も混みだしてきただけに「港湾作業がフル稼働を再開」にほっとされている方も多いと思います。

■コンテナ化が招いたスローダウン戦術

港湾ストは、米国だけで発生する問題ではありません。
日本もかつては年中行事のように春闘の時期に港湾ストライキが行われていました。

1970年代にコンテナ化が導入されると港湾荷役が大幅に機械化されました。
それにより、港湾荷役労働者の人員整理、賃金カットが労使交渉の争点となったのです。

労働側は対抗手段としてコンテナヤードを封鎖する戦術をとるようになりました。
コンテナ船には貨物を積み下ろしするクレーンがついていません。
コンテナヤードにあるクレーンを利用して港湾荷役が行われます。

そのため
・コンテナヤード封鎖する
・クレーン作業をスローダウンさせる

その結果
・入港したコンテナ船が岸壁から出航できない
・コンテナ船のスケジュールが大幅に遅延する

など使用者側に圧力をかけてきました。

■貨物海上保険でのストライキ危険特約とは?

貨物保険には、オールリスクに戦争・ストライキ危険特約を付けるのが一般的です。

ここでいうストライキ危険特約とは、港湾ストを対象にしているのではありません。
内乱・紛争の結果、ストライキに参加する者によって生じる貨物の損害が対象です。

オールリスク保険はあらゆる危険をカバーしていますが
・船や飛行機の遅れ
・不完全な梱包
・品質変化による重量や容積の減少
これらは、保険でカバーできません。

今回のように港湾ストライキになった場合、自己リスクで対応することになります。
万一の場合に備えたサプライチェインを考えておくことが重要だと思います。

関連記事:北米西海岸港湾スト泥沼化で船混み割増料が発生

2015/2/23

書類の取り扱いで悩むことが多い貿易実務

インコタームズでは輸出者の義務として

「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに 速やかに書類・データの提供をすること」

と規定しています。

何故なのか?
そもそも国際貨物輸送の基本的なしくみから考えてみましょう。

実際に貿易をはじめた方々は書類の準備や取扱にいろいろ苦労されているようです。
「らくらく貿易」には以下の3つのお問合せをよくいただきます。

・書類は貨物に添付しなければいけないのですか?
・英語で書かないといけないのですか?
・梱包パッケージに書類を入れなくてはいけないのですか?

輸出も輸入も書類がないと税関申告も貨物の引き取りもできません。
国際取引では「モノと書類が別々に流れている」ことを再確認しておきましょう。

■ビジネスで使う国際貨物輸送は宅急便とは違う

日本国内は宅急便というきわめて便利なサービスがあります。
・送状だけ書いて荷物に貼り付ければ、多くの地域へ翌日には届きます
・時間指定もできます
・加えて受け取り場所まで指定できます

まさに「ほしいときに、ほしいところで」が体現できる日本独特のサービスです。
世界中の他国でもなかなか実現できません。

しかしこのサービスレベルに当たり前のように慣れてしまうと危険です。
国際貨物輸送も無意識に同じようなものだろうとの錯覚におちいることになります。

国境を超える国際取引には書類がないと貨物を送ることができません。
海上輸送でも航空輸送でも貨物(モノ)と書類は一緒には流れていません。

国際貨物輸送は日本国内の宅急便とはまったく違います。

■国際貨物輸送でモノと書類が別々に流れているのはなぜ?

その理由はシンプルです。

Commercial InvoiceやPacking Listなどの貿易に必要な書類が入った
貨物を紛失してしまうと、貨物を引き取ることができなくなってしまうからです。

そのためにモノと書類が別々に流れているのです。
ITの進んだ現代なのに意外と思われるかもしれませんね。

一般の海上貨物も航空貨物も複数の荷主の貨物が混載され、スペースを共有して輸送されています。
そのためにバーコード管理が難しいといわれています。
混載貨物のため、最終的にモノと書類の付け合わせ作業が必要なのです。

しかし国際宅急便やEMSは例外です。
小口輸送のため、1梱包ごとに送状がつけられバーコード管理ができるからです。
貨物に書類がアタッチされ同時に流すことが可能なのです。

■輸出者の義務とは?

輸入者がスムーズに貨物を引き取るためには多くの書類が必要となります。

・BL船荷証券 (海上貨物の場合)
・AWB 航空送状 (航空貨物の場合)
・Commercial Invoice
・Packing List
・各種貿易書類 (原産地証明書など)

輸出者は貨物を発送したら速やかに輸入者あてに書類を送る必要があります。

インコタームズが規定している輸出者の義務
「輸出者は船積が完了したら輸入者あてに、速やかに書類・データの 提供をすること」

は国際貨物輸送の特性を象徴しているとも言えるでしょう。

関連記事:貿易実務で使われている英語Form Aとは?

貿易実務において英語は、さまざまな表現や意味に使われることが多々あります。

たとえば、海外の取引先から「Form Aが欲しい」とメールを受けて、
・急いで原産地証明書の手続きをした
・せっかく送ったのに、相手先はEPA対応の特定原産地証明書が欲しかった
・など

アクションを取ったにもかかわらず、取引先の意に反してしまい戸惑ってしまうことがあります。

Form Aのもつ言葉の意味を正確に理解するのはなかなか難しいようです。

■なぜForm Aと呼ばれるのか?

Form Aは本来は特恵関税が適用できる「特定原産地証明書」のことを指します。

しかし書式がForm Aと呼ばれているため、多くの国でCertificate of Origin(原産地証明書)の意味として使われることがよくあります。

原産地証明書には2種類あります。

一般的な原産地証明書と特定原産地証明書です。

一般的な原産地証明書は、輸出インボイスを証拠に貨物が日本産であることを証明したものです。
輸入商品を再輸出する場合には、輸入したことの証明書類で外国産であることを証明できます。
日本発のすべての貨物に対して発行されます。

これに対して、特定原産地証明書はすべての貨物が対象ではありません。
EPAやFTAなど特恵協定で取り決められた商品に対してのみ発行される原産地証明書なのです。

輸入国で関税の割引が受けられるのは、一般的には特定原産地証明書です。

誰でも低い関税を期待します。そのために相手方から要請されたForm Aは、特定原産地証明書のことを意味する場合が多いということになります。

■実務的にはどうすればよいのか?

・一般の関税率(WTO協定)を調べる
・特恵関税(EPAやFTAなどの特恵協定)を調べる
・関税率の差があるかどうか判断する

どちらも同じ関税率の場合は、複雑な特定原産地証明書よりも、一般の原産地証明書を申請するほうが実務的には楽といえます。

ただし、相手先に関税率に変わりがないことを十分に説明する必要はあるでしょう。

特恵協定は十分な時間をかけて段階的に関税率の引き下げが行われます。
TPP交渉でもそうですが、5年から10年程度の経過期間がもうけられます。
そのため一般の関税率と特恵関税に違いがあるかどうか調べる必要があるのです。

意外にこの点を理解している輸入者は少ないように思えます。
Form Aであたふたしないように、まずは関税率を調べてから実務対応をしましょう。

蛇足ですが、Form Eという英語表現も貿易実務で使われています。
中国ASEAN自由貿易協定で使われる原産地証明書のことです。
Form Aと間違いやすいので気をつけましょう。

関連記事:千葉県館山湾でコンテナ船が座礁、共同海損か?

MOL商船三井が運行するコンテナ船が千葉県館山湾内で座礁しました。

米国西岸から東京港へ航海中、エンジン不具合で停泊中強風のため浅瀬に乗り上げました。

浸水や油の流出はないと報道されています。

■どのように救助するのか?共同海損となるのか?
通常は満潮を待ってタグボートで浅瀬からの引き出しが行われます。
今回もタグボート4隻で引き出しをしようとしていますが難航しているようです。

5万トンものコンテナ船の場合、喫水は約10メートルあまりになります。
そのために座礁した場所によっては貨物が満載状態で引き出しができない場合もあります。

このような場合、船長判断で一部の貨物を海中に投棄し船全体を軽くすることが行われます。

貨物保険の専門用語で
「共同海損(General Average)」を宣言するといいます。
一部の貨物を犠牲にすることで最悪の事態(沈没)を回避する措置です。

沈没の危険性がなくても長期間にわたって救助作業が続く場合にも、貨物投棄が行われる場合があります。
船長判断で全荷主にとって最善と考えられる救助策が決められます。

全荷主が定められた割合で救助費用を負担するため、共同海損という言葉が使われます。「自助・共助・公助の精神」です。

共同海損が宣言されると船会社から荷主全員に「共同海損宣言書」が送られてきます。

共同海損宣言書を受け取ったら、荷主は保険会社へ連絡し書類による手続を行うことになります。

・共同海損に同意する
・積荷の価額を申告する

これらの書類を提出すればあとは船会社と保険会社の間で全体の費用計算が行われます。

今回の場合は座礁で船底ダメージは受けていないようです。
沈没の危険性はないと思いますが、一刻もはやく浅瀬から脱出できることを願っています。

用語:
中国が一部製品の輸入税率を引き下げ



昨年末に中国財政省は一部の輸入税率の引き下げを発表し、今年1月より適用されました。

WTO最恵国税率よりも低い暫定輸入関税率を導入して、国内産業の継続的な発展を目指すものです。

暫定輸入関税率を適用して減税される主な対象商品は
・光通信機器
・先進型製造設備
・電気自動車用部品
・エチレン
・フェロニッケル
・石炭製品
などです。

一方で暫定輸入関税率を取り消したり、暫定税率を上げる製品もあり、輸入構造の改善をはかる狙いがうかがえます。

■暫定輸入税率とは何か?
世界各国の輸入関税のしくみは、1商品1税率ではありません。
輸入相手先国ごとに以下のような基準をもとに関税率が決められています。

・関税法で決められている基本関税
・WTO協定国で取り決めの最恵国待遇を対象とした関税
・期間限定で特定品目を対象とした暫定関税
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵関税
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国を対象としたEPA関税

中国の輸入関税制度も同じ考え方、しくみになっています。
今回の暫定輸入関税率の導入は、WTO協定国からの輸入商品を対象に期間限定の暫定税率を適用するとの意味です。

具体的な引き下げ税率は発表されていないので詳細は判明しませんが、少なくとも日中間の輸出取引では現行のWTO関税よりは下がることになります。

■原産国とは?
世界の関税制度は、世界全体の貿易振興をはかるため原産国ごとに関税率の特典を与えています。原料を輸入し第三国で加工を行うケースも
普及し、原産国の判定が難しくなりつつあります。

この機会に原産国についても触れてみたいと思います。

原産国を判定するには以下のいずれかの方法があります。

・HSコードで判定する方法
輸入原料と製造した商品のHSコードが違えば、製造した場所が原産国となります。
たとえば、小麦とバターを輸入してパンを製造した場合などが相当します

・輸入原料費と製造加工費の比率で判定する方法
(FOB価格-非原産材料の価額)/FOB価格×100=40%以上
つまり、輸入原材料と製造加工費のコスト比率の高いほう60%以上を原産国とする考え方です

原産国ごとに関税率は違ってきますので原産国を明確に判定することが重要になるわけです。

2015/01/05

逆石油ショックは貿易取引にプラスかマイナスか?



原油安がすすんでいる。
3か月前1バレル$100台だった原油価格があっという間に半額に近づいている。

原油相場の下落は世界経済にとってプラスのはずだが、
ロシア・ルーブル安
株価の乱高下
に連鎖し「逆石油ショック」の再来すら危惧されはじめている。

■オイルショックと貿易取引の因果関係
最近はほとんど聞かれなくなったOPEC。
1970年代に一気に急騰した原油価格は世界経済が大混乱をきたしました。
その時の主役がOPEC石油機構。現在の中近東の繁栄を築いた石油産油国機構のことです。

1970年代に2度も起きたいわゆる「オイルショック」。
ガソリン代の高騰はトラック運賃や国際輸送運賃を跳ね上げました。
石油化学分野だけに限らず、すべての製造業における製造コストも高騰し、買いダメに走る消費者の姿が見られるなど狂乱物価といわれた時代でした。

このオイルショック当時、貿易取引も原油相場に大きく左右されました。
・航空輸送も海上輸送も一方的な運賃値上げが日常化
・貨物の需要が増えれば運賃の安い貨物は積んでくれない
・輸送効率の悪い路線への配船はなくなる

国際運賃相場はたえず「需給バランス」で変動していますが、儲け優先主義を象徴するかのありさまでした。

■貿易取引に与える影響
リーマンショック後、右肩上がりと高止まりを維持してきた原油価格がここへきて急落。いわゆる「逆石油ショック」の影響を臭わせるような現象が起きはじめているようです。

貿易取引においてはいままでとは違う環境変化がおきるのでしょうか?

貨物を国際輸送する場合、燃料割増料が課金されています。
・航空貨物の場合、燃油割増料=Fuel Adjustment Factor
・海上輸送の場合、燃油割増料=Bunker Adjustment Factor

航空燃料と船舶燃料で英語表記が異なりますが、両方とも、燃油割増料のことです。

国際運賃は原油相場を基に毎月割増料の見直しが行われています。

たとえば国際宅配A社の場合
今年の10月までは原油相場1バレル$100台を反映して、20%程度の割増料が荷主様に請求されていました。11月からの急落で来年1月の
割増料は16.5%に下がります。

海外旅行ですっかり定着した「燃油サーチャージ」
航空運賃以外に必ず徴収される割増料、なかなか複雑で言われるがまま払わざるを得ない現状ですが、パッセンジャー用の「燃油サーチャージ」もほぼ半額になりつつあります。

原油安の影響が着実に現れ、燃油割増料が下がる傾向にあることは歓迎すべきことです。

国際運賃の設定では、航空輸送も海上輸送も共に基本運賃に割増料が加算されます。
割増料には、原油価格や為替の変動など予測不能な要因が含まれています。
基本運賃を極力据え置き、割増料という名目で全体の運賃を調整しているわけです。

逆石油ショックが火種となって基本運賃そのものの値上げにつながらないことを願っています。

用語:FAF (Fuel Adjustment Factor)またはFSC (Fuel Surcharge)
用語:BAF (Bunker Adjustment Factor)

2014/12/24

貿易実務は奥が深い、インコタームズだけではない



「毎日、貿易実務の現場で仕事をしていますがいろいろなケースがあって奥が深いな~、とつくづく思います。」

ワークショップに参加された方からのコメントです。

たしかに貿易のパターンは千差万別でなかなか均一化できません。
誰でも手軽に使えるアプリが登場しないのもこのためなのでしょうか。

メールを使って、
・いくらで販売するか
・支払条件をどうするか
・納期をいつにするか
といったようなことは、売主と買主という意識をあまり強くもたなくても進められます。
もちろん、FOBなどのインコタームズもすり合わせることができます。

そのため
契約書を作らないで貿易取引が行われているケースをよく見かけます。
契約書がないからといって輸出入ができないわけではありません。
メールで取り決めた条件をもとに取引をおこなうことは可能でしょう。

しかし実際は書類の準備などで苦労しているのが現実かと思います。

■インコタームズだけではない、法務的な条件だってある
FOB Japanで輸出する場合、売主は国際物流の手配をしないですみます。
輸出申告をするだけなので貿易実務の負担も少ないでしょう。

一方、CIF Singaporeで輸出する際には複雑になり負担も多くなります。
国際物流も保険もすべて売主側で手配する必要があるからです。

インコタームズは「売主と買主」の「費用とリスクの負担範囲」を決めているだけで、取引をおこなう上で必要な契約のすべてがカバーされているわけではありません。

貿易取引においては法務的な諸条件も含めて正式な契約の取り決めが行われることになります。

たとえば、不可抗力のケースで考えてみましょう。
・船が遅れる
・仕入先からの納期が遅れる
などは日常茶飯事におこるといっても過言ではないでしょう。

取引ですから相手先と取り決めた納期までに間に合にあうようアレンジするのは当然なのですが、船の遅延などは貿易実務の担当者がコントロールできるものではありません。

ところが営業部からはプレッシャーをかけられる。
契約書がない場合などにはとくにこの傾向が強いようです。

最悪の場合は納期に間に合わないから事前の許認可をとらずに輸出申告をせざるをえないなど、実務の現場はてんてこ舞いをすることになります。
無許可輸出となって摘発されたケースもあるくらいです。

どういう場合に不可抗力として免責にできるかを、契約書に明記しておけばこのようなことはないはずです。

貿易実務ではインコタームズだけではなく、このような法務的側面もしっかりグリップしなければなりません。

その上、売主と買主の間には多くのプレーヤーが介在しています。
・通関業者
・国際運送業者
・保険会社
・銀行
などなど。

それらプレーヤーの間を商品・書類・お金がバラバラに流れています。

契約書がなくても書類を担保に貨物の引き渡しが行われることもあるくらいです。

「貿易実務は奥が深い」といわれるゆえんなんでしょうか。

用語:インコタームズ いんこたーむず・インコタームズ
関連記事:貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

2014/12/08

北米西海岸港湾スト泥沼化で船混み割増料が発生



北米西岸の現場から港湾ストの最新情報が入ってきました。
貨物量が依然として好調であることに加えてスローダウン戦術がからみ混乱が続いていると報じられています。

■北米西岸港湾スト、最新情報
先日、北米西岸のうち北部地区のタコマ港・シアトル港での状況をお伝えしましたが、南部地区のロスアンゼルス港・ロングビーチ港にも影響が波及してきています。
北米西岸各港でのスローダウン戦術によるコンテナ荷役の低下は一段と深刻になってきています。

コンテナ船は専用のコンテナふ頭側のクレーンでしか積み下ろし作業ができません。
コンテナを運ぶための道具(コンテナシャーシ)を準備できないとコンテナヤードに搬入することができません。
貨物量が多くなっているため、このコンテナシャーシも不足しているようです。

またコンテナ自体は自力で陸上運送をすることはできません。
シャーシを運搬するためにはトラック部分(ヘッド)が必要ですが、このトラッカーも不足しているようです。

このような状況のため、ついにコンテナ船の運行各社は船混み割増料
Congestion Surchargeを発表する事態になってきています。

■Congestion Surchargeとは?
コンテナ船の運行会社は、船主に対して用船料を支払ってチャーターしています。
1時間でも遅れれば追加の用船料を支払うことになります。

北米西岸各港のコンテナヤード側での受け入れキャパが不足すると、予定の時間でコンテナ船の運行ができなくなります。
輸出入港が混みあい追加の用船料が発生するため、コンテナ船の運行会社は荷主対して費用負担を求め、船混み割増料Congestion Surchargeを請求しだしています。

航海日数の短縮、コストダウンを求めてコンテナ化が導入されました。
しかし、コンテナ物流は受け皿のコンテナヤード側での受け入れキャパが条件となります。
いままでオイルショックや地域紛争などにより海上輸送が大きく影響を受けたこともありました。
都度、荷主各社は費用負担をして国際海上輸送体制を維持してきました。

北米西岸各港のコンテナヤードだけでなく、内陸地点でのヤードも混乱しているとの報道もあります。
少なくとも年内一杯はこの状態が続き、年明け後も中国正月前の輸出需要があり2月頃にならないと収まらないとする予想もあるようです。

ターミナル混雑、機材・人材不足による影響が早くに解消することを願っています。

関連記事:
北米西岸港湾スト、労使交渉が泥沼化か?

2014/11/25

北米西岸港湾スト、労使交渉が泥沼化か?



6月末で期限満了となった北米西岸の港湾労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使交渉は、ストライキなどの強硬手段をとらずに表面的にはストなしとし平和的な労使交渉が続いていました。
ところが最近、労使の綱引きで緊張が高まっていると報道されています。
最新情報をお届けいたします。

■北米西岸港湾スト、労使交渉に変化か?
使用者(PMA)側の報道によると、10月末から北米西岸港湾のうち北部地区のタコマ港・シアトル港でスローダウン戦術が始まり両港での
コンテナ荷役が通常の 40~60%まで低下しているとのこと。

ストなしの平和交渉への合意を破ってスローダウンを行っている点について使用者(PMA)側は「約束に違反してスローダウン戦術を仕掛けている」と強く非難しています。

これに対し、北米西岸港湾労組側(ILWU)はメディアを使ったゆさぶりと強く反発して、双方の緊張が高まっているようです。使用者側によるメディア攻撃なのでしょうか?

米国の好景気の影響なのか、クリスマス需要の終わった11月になってもまだスパースが満船状態といわれています。
そのため北米西岸のうち南部地区のロサンゼルス港・ロングビーチ港から北部地区のタコマ港・シアトル港にシフトしている貨物も増えており、労組側としては、機材・人員的にキャパを超えていることが荷役スローダウンの原因と反論しているようです。

■北米西岸港湾スト、今後の見通し
現時点では北米西岸タコマ港・シアトル港での荷役スローダウンの影響がどこまで拡大するか、長期化するか定かでなく混乱収束の目処は
ついていないようです。
今後、タコマ港・シアトル港の事態の推移によっては北米西岸向けのコンテナ船のスケジュールにも遅れの影響が出始めてくると懸念されています。

コンテナ船には荷役のためのクレーンがついていません。
岸壁にあるコンテナ専用クレーンで荷役作業が行われます。
そのため岸壁側の作業が遅れればコンテナ船は海上で待っていなければならないのです。
このことによってコンテナ船がスケジュールどおりに運行できなくなります。
健保・年金などの待遇改善も含めた労使交渉のため着地点の探り合いが続いているようですが、コンテナ船の遅れにつながらないように望みたいものです。

関連記事:
北米西岸港湾スト、労使交渉継続するも先行き懸念

2014/11/14

輸出コンプライアンス、リスト・キャッチオール規制が9月に改正



外為法輸出貿易管理令が改正されました。
毎年、輸出コンプライアンスの見直しが行われています。
貨物と技術の見直しが行われており、追加・削除・改正が行われます。
今年は9月15日から改正されています。

■リスト規制での改正
輸出コンプライアンスの必須項目であるリスト規制も多くの項番で改正が行われています。
別表1~15項の中からおもな改正をピックアップしてみました。
・2の項(原子力関連)- 追加
 ・雷管の部分品
 ・レ二ウム
 ・防爆構造容器
・3の2項(化学・生物兵器関連)– 追加、発酵槽の部分品
・7の項(エレクトロニクス関連)– 削除、デジタル方式のビデオ磁気テープ記録装置等
・7の項(エレクトロニクス関連)– 追加、サンプリングオシロスコープ
・9の項(通信関連)- 追加、インターネットを利用した通信監視装置
・11の項(航法関連)- 削除、慣性航法装置の部分品

その他、各項番で規定の改正が行われています。
2014年9月15日版パラメータシート(項目別対比表)での確認が必要です。

■キャッチオール規制での改正
ダブルチェックを求められている輸出コンプライアンス・キャッチオール規制で追加があります。
中央アフリカが国連武器禁輸国に追加されました。(別表3の2)
・アフガニスタン
・コンゴ民主共和国
・コートジボワール
・エリトリア
・イラク
・レバノン
・リベリア
・リビア
・北朝鮮
・ソマリア
・スーダン
中央アフリカが追加され、国連武器禁輸国は12か国となります。

■リスト規制・キャッチオール規制とは?
輸出取引は原則自由ですが、一部商品は外為法で事前の許可・承認が求められる輸出コンプライアンス管理が行われています。
輸出貿易管理令別表第一の1-15項(リスト規制)で貨物と技術のスペック管理が行われています。
16項(キャッチオール規制)で誰がどこでなんのために使うのかの需要者・用途の輸出コンプライアンス管理が行われています。

輸出申告の際に税関に該非判定書とパラメータシート(項目別対比表)の提出が必要です。
2014年9月15日版の書式にて提出する必要があります。
昨年度版での申告はできませんので最新版に差し替えることが大事です。

関連記事:
輸出コンプライアンスが小説に登場!

2014/10/14 

貿易実務に大いに影響、WCOが2017年からHSコード見直し



世界税関機構WCOは2017年1月からHSコード分類を変更すると発表しています。
定期的にHSコード(関税率品目分類)の見直しが行われており約5年ぶりの見直しになります。
今回のWCOの見直しは、
1.魚類・同製品
2.林産品
3.危険化学品
4.薬品
5.化成品
6.科学技術製品
を対象に234分類におよぶと報道されています。

■HSコードとは?
HSコードの英語原文はHarmonized Commodity Description and Coding Systemですが長いためHS(エイチエス)と短く省略しています。
また、この言葉はかなり専門的なため英語ではTariff Codeと表現されるのが一般的です。

貨物を輸出入する場合、税関長に輸出入申告(通関手続き)が必要となります。
その申告に使われるのが世界税関機構WCOが決めたHSコードなのです。

このHSコードは世界共通に使われており、すべての商品を成分・材質ごと・用途ごとに細かく分類されており、輸入関税率が設定されています。

■原産地証明書もHSコードが基準
原産地証明書もHSコードに関連があります。
原産地証明書には一般の原産地証明書と特定原産地証明書の2種類があります。

一般の原産地証明書は輸出Invoiceなどの典拠資料が証拠となり発行されます。
どのような商品でも一般の原産地証明書を申請することができます。

一方、EPAやFTAなどの場合に限り発行されるのが特定原産地証明書です。
HSコードで特定した商品に対してのみ発行されるから「特定」という言葉がついています。

■なぜHSコードで特定した商品に対してのみなのか?
EPAやFTAでは自国の産業を保護するため一部の商品を例外とする場合があります。
TPPでも日米交渉で米などの農産品を例外にするなどの交渉が行われています。
例外があるから取り決めた商品をHSコードで特定しているのです。

輸出InvoiceにHSコードの記載が求められる場合も増えてきています。
輸入での貿易実務だけでなく、輸出の貿易実務でも専門の通関士に任せることなく、ご自身で自社製品のHSコードを把握しておくことが大事になってきています。

世界税関機構WCOのHSコード見直しがこの先注目されます。

関連記事:
もう一つの通商交渉、関税分類の取り決めも重要 2013/4/30

2014/09/22

貿易実務で忘れてはならないLC信用状のしくみ

LC信用状を使わずに海外取引ができる時代になっています。
たしかにB2CだけでなくB2BでもPayPalなどのネット決済や銀行送金で取引が行われています。

簡単に決済ができる便利な時代ですが、それだけで海外取引リスクが解決したわけではありません。
貿易実務の基本であったLC信用状のしくみを理解することで海外取引リスクについて考えてみましょう。

■海外取引リスクとは?
外国との取引にはさまざまな海外取引リスクがあるとよくいわれています。
輸送に時間が掛かる、商習慣が違うなど国内取引と比べれば確かにリスクがあるかもしれません。

このようなリスクを少なくするため貿易実務でリスクヘッジが行われています。

輸送に時間が掛かる、つまり輸送中に貨物が損害を受たり紛失することがあります。
このような保険事故に対して貨物保険をかけることで損害を補てんすることができます。

ドルやユーロなどの外国通貨での取引の場合は為替差損が問題となります。
自国通貨で取引できればいいですがなかなかそうはいかない場合があると思います。
銀行で為替予約をすることで為替差損を防ぐことができます。

売買当事者が直接会って商談をすることがなかなかできない海外取引。
輸出者にとって最大の海外取引リスクはやはり信用リスク、つまり代金回収にあると言えます。
そのため銀行を介在させて取引を行うことで代金回収リスクを補てんすることができます。
つまり買主側の銀行が万一の場合の支払保証をしているのがLC信用状なのです。

LC信用状は貿易実務の基本
外国との取引は、モノの流れ・書類の流れ・カネの流れに時間差があります。
輸出地から輸入地までに介在するプレーヤーの間をモノ・書類・カネがバラバラに流れているのです。

貿易実務には、フォワーダー・通関業者だけでなく、梱包業者、倉庫業者、国際運送業者など多くのプレーヤーの間で書類を担保にモノを引き渡す、書類提示を条件に代金支払が行われています。

買主に対して銀行が支払保証をしているLC信用状にはモノの流れ・書類の流れ・カネの流れの必要条件が細かく決められています。
LC信用状を使わなくても貿易実務でフォワーダーから提示を求められる書類はLC信用状で規定されている書類と同じものが要求されます。
たとえば、船荷証券BLのオリジナル書類の提示がないと船会社から貨物の引取ができないなど。

LC信用状の場合とまったく同じ条件で貿易実務が行われているのです。
簡易決済を利用したからといって貿易実務まで簡素化されるわけではないことをよく理解しておきましょう。

関連記事:
LC以外の国際決済方法

2014/09/01

ますます厳しくなる航空貨物のセキュリティ検査

7月1日からEUに到着する航空貨物のセキュリティ検査が強化されています。

■発地国の保安レベルで検査基準が決められている
発地国の保安レベルによってセキュリティ検査の基準が決められているとのことです。

・グリーン:セキュリティ検査の適用除外となる国
・ホワイト:EU認定の監査人による監査が必要となる国
・レッド :EUが認めた3種類のセキュリティ検査のうち2種類のセキュリティ検査が必要となる国

幸いにも日本は「グリーン」(セキュリティ検査の適用除外)に指定されています。
日本発EU向けの貨物はこのセキュリティ検査が行われないということです。

いままでのセキュリティ検査とは?
いままでは国際物流に携わるメーカー、輸出入者、通関業者、運送業者、倉庫業者の安全度のランク付けがされていました。
一定要件を満たせばあらかじめセキュリティ検査の簡素化を認定する制度です。

発地国の保安レベルはどのようにランク付けされているのでしょうか。
判断基準がいま一つ理解しがたいところです。

日本発EU向けの貨物は対象外ですが、日本発でも経由便を利用した場合は違うようです。
経由地の保安レベルによりランクが変わることもあるとのこと。
コストの高いダイレクト便を利用するかどうか思案のしどころですね。

2014/08/07

三国間貿易がなぜこれから主流になるのか?

日本の貿易スタイルが変わってきていると言われています。
これまでは原料を外国から輸入、加工した製品を輸出する「加工貿易」が主流でした。
最近は生産拠点の最適化を求め、海外でのモノの流れが始まっています。

■三国間貿易の取引スタイルが増える?
この傾向は「ASEAN経済共同体」結成が2015年に控えているためとも言われています。
アセアンの国々との貿易拡大が期待されているためでしょう。

中国とインドの巨大市場に挟まれたASEAN10か国は、6億人を超える人口を抱える消費市場として注目を集めるだけでなく、生産拠点としても注目を集めています。

「ASEAN経済共同体」で貿易が自由化されれば、カネの流れには日本が介在するが、モノの流れは海外間で行われる三国間貿易が増えると期待されています。

「ASEAN経済共同体の成立でひとつの巨大市場が出来上がるわけではない」
第一生命経済研究所・西濱徹主任エコノミスト著の「ASEANは日本経済をどう変えるのか」(NHK出版)より

ASEAN各国はそれぞれに特異性をもっており、チャンスとリスクを見極める必要があると提言しており、一読に値するものと思います。

8月6日(水)のらくらく貿易主催第9回ワークショップ「三国間貿易の実務を深める」ではこれから増える三国間貿易を正しく理解し実務に利用することを考えてみたいと思います。

2014/07/14

北米西岸港湾スト、労使交渉継続するも先行き懸念

北米西岸港湾労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使協約が6月末で期限満了となりました。
労使交渉の先行きに懸念を示している港湾関係者の声も多く、最新情報をお届けいたします。

■労使交渉、継続中
北米西岸港湾の労使双方は「7月1日以降も労使交渉継続中」と声明を発表しています。
さらに北米西岸29港すべてで通常通りの港湾作業が継続されていると報じられています。

幸いにも即スト突入とならずになによりですが、今後2-3週間の交渉に注目でしょう。
フルーツ輸出組合はこの数週間で労使交渉が妥結できないとスト突入ではないかと懸念しています。
July 4th独立記念日休暇明けからの本格的な労使交渉が注目されます。

■労使交渉の争点とは?
北米西岸港湾労組(ILWU)に加盟している組合員は20,000名ほどが働いています。
米国発着の50%以上の貨物が北米西岸の港湾を利用していると言われています。

しかし、コンテナ物流にも変化がみられ、北米西岸の競争力が問題になってきています。
アジア発Gulf、米東岸向け貨物の多くはパナマ運河経由で運べる時代だからです。

そのため北米西岸経由のモノの流れが減少してきているのは事実でしょう。
そのため使用者(PMA)としては経営合理化に努める必要に迫られてきていました。
以外にも北米西岸の港湾作業は人海戦術の作業が多く残っていたとも言えるでしょう。

今回だけに限らず毎回の労使交渉でコスト競争力(=人員合理化)が議論されてきました。

2002年にはブッシュ大統領がタフトハートレー法を出動、強制的に港湾封鎖ストを封じ込めました。
2008年の改定時にはコンテナヤード作業へのバーコード導入など自動化に踏み切りました。

一方の労組(ILWU)としては労賃だけでなく健保・年金など待遇改善を求め続けています。
労使双方が妥協できる余地が少ない状況と言えますが話し合いでの解決を望みたいものです。

関連記事:
北米港湾ストか?北米西岸の港湾労使交渉
北米港湾ストと中国版24時間ルールで海上輸送に影響

2014/07/07

危険品貨物のリチウム金属電池が航空輸送できなくなる!

危険品貨物のリチウム金属電池(Lithium Metal Batteries)の旅客機への搭載禁止が正式に決議されたと報道されています。

2015 年 1 月 1 日からの実施予定:
・Class9のUN3090(リチウム金属電池)単体の場合、旅客機への搭載禁止
・機器に同梱されたリチウム金属電池(UN3091)は対象外

■危険品貨物とは?
引火性貨物、可燃性貨物、放射性貨物などは、危険品貨物となります。
国連および国際原子力機関が定めた航空輸送細則に準じた航空法(国土交通省令)の条件を満たした場合に限り航空貨物として輸送することができます。

■危険品貨物を輸送するには・・・
輸送中の安全を確保するため、危険品申告書の提出を求められます。
輸送する商品の危険度に準じて梱包容器やラベルなどの輸送手段が取り決められており、運送会社の事前認可を得ることが必須となります。

2014/05/19

TPPの輸入関税率から輸出入ビジネスを考える

TPP交渉もいよいよ大詰めです。
特にオバマ大統領訪日の際のマスコミの反応はさまざまでした。
最初は「大筋合意ならず」、徐々に「前進・実質合意」でしょうか。

世界主要国の輸入関税率データに注目です。
輸入関税を「農産品」と「非農産品」にわけたデータでいろいろと考えさせられます。
(日本経済新聞 2014-04-28 グローバルデータマップ)

■「非農産品」の輸入関税率
工業製品などの「非農産品」の数値をみてみましょう。
・TPPに参加の欧米の主流は、2%台前半
・中国、韓国などのアジア各国は3%台後半
・これに対して、日本の輸入関税率は1.2%と約半分以下

つまり、日本の「非農産品」の輸入関税率が世界で一番低い、ということになります。
日本の工業製品の多くはすでにゼロ関税となっており、高くても2.5%~5%程度だからでしょう。

■TPP参加のメリットとは?
日本にとってTPP参加のメリットとは?を考えさせられる数値ですね。
この数字だけを見るとTPPでメリットあるのは輸出ビジネスのように思えます。

でも、まだ10%以上の輸入関税率の商品も残っています。
商品ごとに洗い出してみると輸出入ビジネスでターゲットとする商品が見えてくるでしょう。

関連記事:
EPA経済協定と原産国の考え方

2014/05/12

輸入関税だけでなく輸入消費税も即現金払い?

「輸入が許可になりました!
でも貨物の配達は、輸入関税の支払い後となります。」

輸入手続きで委託のフォワーダーから言われて慌てたことないでしょうか。
輸入者に代わってフォワーダーが輸入関税を立替えてくれているからです。

貨物を迅速に引き取れて輸入者にとって便利な制度もあります。

■輸入関税の延納制度
輸入関税の支払いを一定期間猶予できるのが延納制度です。
正式には「納期限延長制度」と言います。

事前に担保を提供することで最大3か月後の支払いとすることができます。
預託金担保以外に、土地や建物なども担保対象にできます。
3か月間の猶予期間があれば、資金繰りも大いに楽になりますね。

■輸入関税のリアルタイム口座支払制度
自分の指定した銀行口座から輸入関税の引き落としができる制度もあります。
専用の引き落とし口座を用意する必要なく、経理管理も便利だと好評のようです。

NACCS処理で通関と支払が一元処理されますので迅速な貨物引取ができます。
フォワーダーにとっても立替えをする必要もなく、みなハッピーなようです。

いずれの制度も輸入関税だけでなく、輸入消費税の支払いにも利用できます。
TPPをはじめEPAなどで輸入関税は撤廃の方向ですが、消費税は増税の方向です。
特に4月から8%になった輸入消費税、検討する価値大いにありだと思います。

5月14日(水)のらくらく貿易主催8回ワークショップ「TPP締結にむけ輸入関税を総ざらいする」では、輸入関税をいろいろの角度から考えてみたいと思います。

関連記事:
消費税率アップで輸入消費税はどうかわる?

2014/04/21

北米港湾ストか?北米西岸の港湾労使交渉

北米西岸の港湾労使交渉の行方が注目されています。
労組(ILWU)と使用者(PMA)の労使協約が6月末で期限切れとなります。

5月から始まる改定交渉、早くも緊張が高まっています。

米国発着の50%以上の貨物が西岸の港湾を利用していると言われています。
港湾ストになった場合、貿易実務への影響が懸念されます。

■いままでもたくさんあった北米港湾スト
1980年代には、港湾ストが毎年必ずありました。
西岸だけなく、東岸もストになったことも。さらに日本の春闘と重なったことも(最悪!)

2000年代に入ってからは複数年契約になりましたので一歩前進でしょうか。
今回は、6年ぶりの契約更改となります。

■港湾ストは、不可抗力の対象
契約書の「不可抗力条項」、この条項には港湾ストが対象となっています。

つまり、港湾ストになった場合、納期遅延を起こしても売主の責任はないのです。
逆に、買主(輸入者)にとっては最大のリスク要因となります。
湾ストで物流網が寸断されてしまい、調達ができなくなっても自己責任なのです。

■早めの港湾スト対策が必要
航空輸送に切り替えられる貨物はいいですが、海上輸送貨物は大変。

・早めに在庫の積み増しをする
・カナダ経由などの迂回輸送を利用する
選択肢が限定されるだけに皆が殺到することが予想されます。

労使交渉は突然妥結する場合もあれば、突然交渉亀裂といったことも。
貿易実務に支障がないように早めの港湾スト対策をする動きも出ている模様です。

2014/04/17

インドネシアからFOBで輸入できなくなる?

「輸出申告方法をCIFに変更、1年以内には必須」
インドネシアからの報道です。
(The Daily Jakarta Shimbun 2014-03-04)

FOB契約が圧倒的(80%)なインドネシアです。
契約条件をCIFにすることで貿易収支改善をめざしているとか。

国際競争力に劣っている現地物流業界へのテコ入れでしょうか。
でも輸出業者からは「輸出競争力がなくなる」との声もあるようです。

FOBCIFどちらがメリットあるのか?
よくあるご質問です。
FOBのほうがメリットあるとかCIFはデメリットということではありません。

FOBの場合は、買主が輸入地で国際運賃と保険料を支払い
CIFの場合は、逆に買主が輸出地で支払い、売値にオンして輸出

FOBCIFFを決める判断基準とは?
取引条件は売主と買主の交渉で決められるものです。
FOBCIFのコスト比較をしていずれかで契約が取り決められます。

「いかに安く、いかに早く」貿易実務の永遠の課題ですが、両立はしませんね。
コスト比較だけでなく時間軸・サービスレベルといった判断基準も大事です。

国際運賃は需給バランスに左右します。
荷動きが活発な上海発より南アジア発のほうが安いということもあります。
決して距離に連動していないことを考慮に入れて判断すべきでしょう。

いずれにしても
官が民に貿易実務のあり方まで介入するのはいかがなものでしょうか。

関連記事:
効率的な国際物流の3つのポイント(輸入編) 2012/2/27

2014/04/14

インコタームズのFCAとFOBどちらが実務的?

Facebookにインコタームズからの質問が出ていました。
「FCAの言葉の意味と、どのような輸送方法に適している条件なのか?」

この質問に対してさまざまな答えが投稿されています。
言葉の意味はFCA=Free Carrier=運送人渡しと正解ですが、輸送方法についてはいろいろ。

・どのような輸送方法でも使える
・コンテナ貨物でのみ使える
・指定場所で貨物を引き渡し運賃は到着地払い などなど

答えは、買主が指定した運送人に売主の所在地または運送人の指定場所で貨物を引き渡す。

FCAFOBはどう違うの?
FCAは、コンテナ輸送のためにFOBと区分けして設定されたインコタームズでした。
コンテナヤード(CY・CFS)での保険リスク負担を明確にするためでした。

FOBでの保険開始は本船への積み込み完了からです。
つまり、FOBの場合コンテナヤード内の貨物は保険対象外ということになります。

まだ積み込み前の貨物が保管されているコンテナヤードは、「運送人」の管理下にあります。
「運送人」を明確にする目的からもFOBと異なる解釈のFCAが設定されたと思われます。

■FCAのCarrier (運送人)とは誰のこと?
「運送人」とは、船会社・エアラインなど実際の運行者または輸送を請け負うフォワーダーも含まれます。
フォワーダーは、輸出通関代理だけでなく、B/Lを発行する「運送人」でもあるからです。

コンテナ貨物をコンテナヤードに持ち込むだけでなく、工場でバンニングする場合もFCAが適用できます。
空港内の貨物ターミナルも同じ、フォワーダーに貨物を引き渡した時点がFCAということになります。

しかし、商習慣でまだFOBが使われているケースが多いのではないでしょうか。
FCAの使用比率が極度に低いのは「あえて変更する理由がないから」といったご意見も多いようです。

貿易実務でインコタームズのFCAをもっと使いこなすようにしましょう。

関連コラム:
インコタームズ2010(その2) 2010/12/8

2014/03/31

24時間ルールをインコタームズから考える

テロなどの保安対策として積荷情報を報告する制度「24時間ルール」が各国で導入されています。
日本も3月からスタートしています。

・輸出地を出港する24時間前までに貨物の保安情報を報告する
・輸出地の船会社またはフォワーダー(NVOCC)が報告する

間接的に海外の物流業者に任せておいて大丈夫でしょうか。
的確に情報提供が行われているかどうか心配になることもあるでしょう。

直接売主に事前確認しておけば安心ではないでしょうか。
インコタームズは売主と買主の権利義務も規定しているからです。

INCOTERMS2010規則では、保安情報の提供も売主の義務として明確化されています。
「売主は買主が必要とするあらゆる情報を提供、助力を与えなければならない」

買主から依頼があった場合、このような情報提供は売主の義務となっています。

関連コラム:
日本版「24時間ルール」、3月スタート

2014/03/27

消費税率アップで輸入消費税はどうかわる?

4月から消費税がアップ、8%になります。
輸入貨物に課税されている輸入消費税も4月1日申告分からアップとなります。

輸入消費税は、厳密には国税部分と地方消費税に分かれており、今までは4+1=5%でした。
4月以降は、端数の数字(6.3+1.7 = 8%)になります。

・国税部分の消費税は、4%から6.3%へ
・地方消費税部分は、消費税*25/100 = 1% から消費税*17/63 = 1.7%へ

具体的に計算してみましょう。

【輸入金額 Euro1,500*レート¥145.00=申告価格(CIF)¥217,500、関税ゼロのケース】

3月まで(消費税5%)
■輸入消費税(1):申告価格(CIF)¥217,500=¥217,000*4%=¥8,680=¥8,600
■地方消費税(2):輸入消費税(1)¥8,600*25/100=¥2,150=¥2,100
■(1)+(2)=¥10,700

4月(消費税8%)になると・・・¥6,500もアップになります!(¥10,700→¥17,200)
■輸入消費税(1):申告価格(CIF)¥217,500=¥217,000*6.3%=¥13,671=¥13,600
■地方消費税(2):輸入消費税(1)¥13,600*17/63=¥3,672=¥3,600
■(1)+(2)=¥17,200

輸入消費税は商業輸入だけでなく、個人輸入やサンプル輸入にも課税されます。

よくある質問です。
「関税がかからない商品でも消費税を払わなければいけないのですか? 」
関税が無税だから連動して消費税が掛からないということはありません。

関連コラム:
輸入関税率 2011/10/25

2014/03/10

輸入ビジネスで考えるべき仕入先の供給能力は?

輸入ビジネスをする場合、できるだけ代理店契約を結びたいと考えるのが一般的ですね。
それも独占的な販売権がある包括代理店契約のほうが営業的にベターであることは間違いありません。

しかし、包括代理店契約以外にも考えておくもうひとつの経営判断ポイントがあります。
「買いの与信」ということを考えてみてはいかがでしょうか。
つまり、海外の仕入先にはどれだけの供給能力があるのか契約前に調査・確認しておくことです。

海外から仕入れて国内の需要者に安定的に供給するのが輸入商社の役割だからです。
また自分で使うために輸入する場合も供給の安定は最大課題となるでしょう。

輸入購買契約には必ず「不可抗力条項」が含まれています。
一般的には天変地異での納期遅れなどの契約不履行は売主責任でないことを規定しますが、一部の不可抗力条項には売主の下請けからの納期遅延も含まれている場合があります。

売主としてのリスク回避からだと思われますが、輸入する側にとっては安定供給の面で不安要因を抱えることになります。

このようなことがないように仕入先の供給能力の実態を知っておくこと。
もうひとつの経営判断ポイントになろうかと思います。

2014/03/03

物流用語「ノーティファイ:Notify」を考えてみる

問合せ:https://www.rakuraku-boeki.jp/publishing

物流用語「ノーティファイ」って誰のことでしょうか?
BLAWBに記載されているNotify Party(貨物到着案内の連絡を受ける人)のことです。

輸入者(コンサイニー)=貨物受取人の通常輸出のケース。
この場合はNotify Party=輸入者ということになります。

輸入者と貨物受取人が異なる場合はどうでしょうか。
輸入者はSingapore、貨物はJakarta、Indonesiaに運ぶというようなケース。
この場合、Notify Party =Jakartaの貨物受取人となります。

輸入者と貨物受取人が同じでも三国間取引の場合を考えてみましょう。
輸出者は日本、貨物はSingaporeからJakartaに輸出されるケース。
この場合、Notify Party=Jakartaの貨物受取人ですが、日本の輸出者にも知らせてもらえば貨物が確かに到着したことを知ることができますので日本の輸出者にしておくこともあります。

輸入貨物を迅速に通関したい場合にも使えます。
この場合、Notify Party =通関委託先フォワーダーとしておけば貨物到着後すぐに手続きをすることができます。

ノーティファイ Notify Party = 誰にでも指定できる、ということですね。

2014/02/24

日本酒が海外展開で勝つには?

「酒サムライ・コーディネーター」、何だろうと思って記事を読んでみました。
(2月9日読売新聞ワールドビュー「英が日本酒を育てる日」)

ワインの教育機関WSETが「日本酒の伝道師」を育てるとの記事でした。
世界62ヶ国で年間5万人ほどのソムリエ人材を育成しているWSETがロンドン本校で「日本酒コース」を今年の夏から始めるそうです。

日本酒のソムリエが世界で活躍する日も近いことでしょう。期待しています!

この記事に関連して、日本酒を海外で展開するのが結構難しいことをご紹介したいと思います。

特に、醸造酒は「味を保つ」のが非常に難しい商品なのです。
輸送ルートにもよりますが、一般のコンテナは内部が50-60℃になるからです。
夏場を避けて輸出するのも一案ですね。 でも、営業的にはちょっと、ですね。

冷凍コンテナを利用して、定温輸送する方法があります。
品質管理面では最適な方法ですが、コストが高い。
小口ロットへの対応ができていないからです。
一部路線で小口混載サービスがありますが、まだ多くの路線で冷凍コンテナはフルコンテナ単位です。

航空貨物であれば小ロットでも定温管理はできますが、これも運賃がさらに高いですね。

比較的コストを安くする方法として、遮蔽シートで梱包を包んでしまう。
それでも、35-40℃程度でしょうか。

日本酒の海外展開を考えるうえで、「味を保つ」を事前に考えておくことが勝負の分かれ目のように思えます。

2014/02/13

日本版「24時間ルール」、3月スタート

日本版「24時間ルール」がいよいよ3月からスタートです。
日本に到着する海上コンテナ貨物の積み荷情報を事前に税関に申告することになります。

すでに実施されている「出港前報告制度」米国版AMS準じたセキュリティー対策です。
そのため、日本版「24時間ルール」と言われています。

・報告すべき積み荷情報とはなにか?
荷受人・荷送人の住所、電話だけでなく、品目分類番号(HS番号)や貨物の経由国などです。

・誰が報告をしなければならないのか?
Master B/Lを発行する運送契約の当事者(船会社)またはHouse B/Lを発行する利用運送事業者(NVOCC)と規定されています。つまり、「海外の事業者」です。

・いつまでに報告しなければならないのか?
海外の輸出地を出港する24時間前までに積荷情報を報告することが求められます。
韓国や中国等日本に近い国の場合、出港の24時間前でなく、「出港時」の報告となります。

海外の事業者の処理遅れや理解不足によるトラブルを心配している向きもあります。
輸入貨物が到着遅れとならないように、輸出者に早めに確認相談しておくことをお勧めします。

2014/02/03

「物流用語」は輸出入実務の基本です

最近のお問い合わせです・・・「Vanning」という物流用語は世界で通じますか?
あるネット辞書に「Vanningは和製英語」と記載されているからの問い合わせとか。

日本にはたくさんのカタカナ日本語が氾濫していますね。
輸出入関連の物流業界もそうです。

コンテナに荷物を積み込むことを「バン詰め」といいます。
Van=貨物をコンテナに積み込むというちゃんとした英語です。

でも、日常会話ではほとんど使われない特殊用語ですね。
LoadingとかStuffingのほうが一般的かもしれません。

逆に積み下ろすことはDevanningといいます。
このDevanningは、日本の物流業界では「デバン」と省略されています。
「デバン」はカタカナ日本語だから、Vanningも和製英語と思ったのでしょうか。

このお問い合わせを頂いて、正直言って物流で使われている用語の難しさを感じました。

2月19日(水)のらくらく貿易主催第7回ワークショップ一字一句違ってはだめ?LC決済での書類の書き方

銀行に提出した輸出書類のスペルが違っていたため、すぐに現金化できない。
銀行を介在しての
LC決済取引でよくあることです。

銀行に提出する書類は、LCに書いてあるのと「まったく同じ」でないとだめ。
一字一句同じでないとだめ。
LCの書き方が間違っていたから、正しいスペルに直してもだめなのです。

このような経験をされた方がたくさんおられると思います。
LCに原産地証明書の提出が求められているケースは少々厄介です。

受け取ったLCの商品名称に余計なことが書いてある場合があります。
例えば、「ABC Products as per Proforma Invoice #12345」
ABC Products だけならよいのですが、as per以下が余計なのです。

LCに書いてあるのと「まったく同じ」表記で原産地証明書を準備することができないのです。
原産地証明書を発行する商工会議所では、as per 以下は商品名称でないと考えているためです。

・商品名称は、「ABC Products」のみを記載する
・「as per Proforma Invoice #12345」については商品名称と違う
・「Proforma Invoice #12345」のみであればRemark欄に記載できる

「LC記載と違う」書類だと銀行でリジェクトされてしまうと心配になりますよね。
でも、異なる表記の原産地証明書でも、銀行手続きはできます。
原産地証明書LCと矛盾しない名称」であればよいことになっているからです。

ご参考までに、Invoiceは一字一句違っては、だめです!

2013/12/15

税関は融通が利かない?!

輸入取引でよくあるケースです。
輸出者側のミスで注文した数量が不足していた。
貨物検査もなく輸入許可となり、実際の貨物を開けてみて数量不足に気づいた。

この場合、当然ですが後から不足分が送られてきます。
注文した数量がそろって「よかった」ですが、ちょっと問題もあります。

輸入関税をダブルで支払う羽目になることもあるのです。
当初輸入した時は、注文した数量どおりのインボイス数量で関税支払いとなります。
後から送られてきた不足分のリプレース品に対しても通常の関税がかかります。
つまり、関税を2回支払っているのです。

当然、関税の還付を求めますが、これがむずかしい。
積み忘れたことを売主が認めていても、数量不足の事実を第三者に証明することができないためです。
当事者同士で口裏を合わせていると考えられてしまうのでしょうか。

2013/12/02

EPA経済協定と原産国の考え方

「原産国」とは、どうやって決めるのですか?
EPA特定原産地証明書を検討されている方からよくある質問です。

EPA経済協定は、締結国どうしの経済協定です。
当然ですが、締結関係にない第三国には適用されません。

第三国で作られた製品をEPA締結国経由で取引すれば、第三国は労せずしてEPA税率の恩恵を受けられてしまいます。
このような迂回貿易ができないように「原産国」の特定が行われるのです。

たとえば、米韓EPAを利用する目的で日本から韓国経由で米国へ輸出しても、この税率が適用されることはありません。

海外からパーツを輸入、製造加工・組立、そして再輸出するグローバル化の時代です。
原産地が複数の国にまたがっている場合など「原産国」をどこにすべきか迷うことがあります。
この考え方が品目ごとに、「原産資格割合」として取り決められています。

(FOB価格-非原産材料の価額)/FOB価格×100のことで、概ね40%以上となっています。
つまり、製造加工・組立コスト60%以上が「原産国」の必要要件ということです。

この「原産資格割合」を満たすことがEPA税率利用の条件となります。

関連コラム:
輸入関税率は1商品1税率ではありません 2013/03//19

2013/11/11

「食の安全の番人」厚生省検疫所で感じること

東日本大震災以来、多くの国で日本からの食品輸入に対して監視が強化されています。
一部に規制が解除された国もありますが、依然として多くの国で輸入規制が続いています。
世界が厳しすぎるのでしょうか?

いや、日本もかなり厳しく、BSE問題で10年以上も牛肉輸入を禁止してきた国です。
厚生省検疫所が「食の安全の番人」として目を光らせていることでも有名です。

検疫所への書類手続きで感じたことを挙げてみましょう。

お役所への申請書ですので、申請書に印を押すことは常識ですが、それだけではないのです。

参考資料として商品写真を添付した時のことです。
補足説明書にも印がないと受け付けてもらえないことがありました。
それも、社印(角印)と社長印(丸印)の両方がないとだめ。
検疫所ごとに多少の温度差がありますが、社長の個人印(チャチハタ印)を要求されたこともありました。

届出書には材質の提示はもちろんですが、海外メーカーの製造工程表も求められます。挙げるそれも英語の説明書です。

書類手続きが済んでもまだ関門があります。
コーヒーメーカーなどの調理器具の場合、お湯が注がれてコーヒーが出てくるまでに接触するすべてのパーツの分析検査が行われます。
たとえば、パイプやパッキングなどに重金属類が含まれていないかどうかの検査がされます。

食器として使われる陶磁器の場合でも同じです。
お皿の模様や柄に使われている顔料までチェックしているのです。

検査に合格しないとどうなるか?
当然、輸入することはできません。

シッパーに返送するか、国内で廃棄処分のいずれかの処置をしなければなりません。
高額な検査料だけでなく、返送運賃や廃棄料までが輸入者の負担となるのです。

「食の安全」は大事ですが、貿易自由化への流れの中、もう少し弾力的な運用ができないものでしょうか。

関連コラム:
日本の食品検疫体制-オイスター輸入の思い出 2012/12/26

2013/10/15

輸出貿易管理令改定で思うこと、日本語はむずかしい

来週10月15日から輸出貿易管理令が改定になります。
毎年、対象となる貨物と技術の見直しが行われており、今年も経済産業省の省令という法律で、対象項目の追加と削除が公布されました。

輸出するときには、この法律に該当するかどうかの判定は必須です。
「自社の輸出商品は軍事用ではないから関係ない」と思うこともあるでしょう。
でも、この法律は民生品でも軍事用に転用されないようにするために輸出者に判定を求めているのです。

対象となる貨物と技術ごとに、「該当」、「非該当」、「対象外」の判定を求めていますが、最終判定としては「該当」か「非該当」にチェックするようになっています。

「該当」か「非該当」は理解できますが、「非該当」と「対象外」の違いはなんなのでしょうか?
どうして最終判定に「対象外」はないのでしょうか?
言葉の意味を理解するのに苦労しますね。

しかし、判定ツールに書いてあることを読みこなすのも苦労します。

省令そのものの法律文が書かれている「項目別対比表」よりも、多少わかりやすい文章になっている「パラメータシート」のほうが理解しやすいかと思います。

まず、自分が輸出しようとしている商品がどの対象法令なのかを探し出すことになります。
例えば、「ベアリング」は「軸受」として法令に書かれています。
「軸受」の言葉を知っていればいいのですが、知らないと対象法令を見過ごしてしまうかもしれないのです。

この法律は世界各国が批准しているワッセナーアレンジメントに準じていますので、アメリカの輸出貿易管理令(EAR)」を英語で読んだほうがわかりやすいかも知れません。
英語では、BearingはBearingですから。

いずれにしてももう少しわかりやすい日本語で法律文を書けないものなのでしょうか。

関連コラム:
ワッセナーアレンジメントで見直し 2013/01/23

2013/10/11

TPPだけでは解決できない?

TPP交渉がいよいよ大詰めになってきました。

メディアの関心は農産品の関税率ばかりですが、このTPPでは税関での輸入手続きの簡素化も交渉の対象になっています。
これは大いに結構なことなのですが、輸入手続きには関門がたくさんあります。

「食の安全」に厳しいわが国で食品を輸入する場合を考えて見ましょう。
貨物が到着すると、まず動植物検疫の手続き。
さらに検疫所で食品届けの手続き。
書類審査だけでなく、検査分析手続きが必要な場合もあります。
この検査に合格して、やっと税関での通関手続きができるのです。

TPPで話し合われているのは、「税関での通関手続き」だけです。
貨物によっては、税関にたどり着くまでに時間と手間がかかっています。
「税関以外での手続き」の簡素化についても大いに検討してもらいたいものです。

関連コラム:
輸入手続きをスムーズにする方法 2013/02/25

2013/10/07

海上コンテナが年間10,000個も海へ落下している

今年の夏にインド洋で日本のコンテナ船が真っ二つに割れて沈没したことも記憶に新しいところですが、この調査報告を読んで改めて海上輸送のリスクを認識しました。

「海上コンテナが年間10,000個も海へ落下している」
計算をすると、1時間に1個落下していることにびっくりしました。(10,000個/365日=27個)
これだけの頻度ということは、それだけ世界の海の気象条件が厳しいということだと思います。

コンテナが荒天遭遇などで流されてしまうのは、デッキの上に積み上げられているコンテナだけです。
デッキの下にあるコンテナはこのようなリスクは全くありません。

荷主の立場としてできればデッキの下に積んで欲しいところですが、積みつけ場所を指定することはできません。
コンテナの行き先・重量などの要素から船長が最適な積み付け場所を指定しているからです。

デッキの上でもデッキの下でも運賃は同じなのに積みつけ場所を指定できない、挙句の果てに国際運送約款の免責条項があるため船会社からの補償はほとんどない、荷主として納得できない状況ですね。

貨物海上保険がこのようなリスクをカバーしていることに注目する必要があると思います。
コスト削減から貨物海上保険をかけない方が多い昨今ですが、再考をされてはいかがでしょうか。

関連コラム:
貿易の基本3:運送会社には賠償責任がない?2012/02/27

2013/10/03

海外取引をサポートしている2種類の保険

「貿易保険の補償拡大」との新聞記事が目に留まりました。
経済産業省が貿易保険の仕組みを見直す方針と報道されています。
今年アルジェリアでおきた日揮のテロ事件がきっかけのようです。

貿易保険では事業継続ができない場合のみに補償適用されています。
今回のように即撤退でなく、一時中断の際にも適用できるよう法改正するとのことです。

海外取引に使われる保険には2種類あります。

輸出入でよく使われる保険は、「貨物海上保険Marine Insurance」です。
航海中の危険(沈没、水濡れ、盗難、火災など)を損害保険会社が補償しています。

企業の海外進出リスクを減らすため、政府機関が後押ししている保険もあります。
カントリーリスク(非常危険や信用危険)を補償する「貿易保険Trade Insurance」です。

関連コラム:
中国・反日デモと貨物海上保険 2012/10/08

2013/09/24

貨物のパスポート「ATAカルネ」最新情報

貨物のパスポート「ATAカルネ」にインドネシアが来年1月から参加することになります。

展示会出品物や商業サンプルなどを外国に持ち込む場合、入国・出国のたびに通関手続きをするのは大変です。このような一時的な物品持ち込みのための通関手帳がATAカルネです。
70カ国以上がATA条約に参加しています。

【めんどうな通関手続きがいらない】
ATAカルネは関税が免税となる支払保証書ですので、いちいち正規の輸入通関をしないで済みます。

【1つのATAカルネが数カ国で使える】
数か国での展示会に出展する場合など全ての税関で免税扱いの一時輸入通関ができます。

関連コラム:
輸出コンプライアンス・ケーススタディーその2 2012/11/05

2013/09/11

LC以外の国際決済方法



初めての輸出取引、「代金回収は大丈夫か?」最大の心配ごとだと思います。
最近あったお問い合わせです。
LCで取引をすれば万全でしょうか?」

かつて為替管理が厳しかった時代には、国際決済は銀行を通さないとできなかった、それも特定の銀行だけでしか国際業務ができませんでした。

輸出取引の場合は、海外から受け取ったLCを割り引いて資金繰りに利用するなど、まさに輸出企業にとってLCは国際手形の役割を果たしていました。

でも、最近はネット通販などEコマース全盛の時代です。
一度もLCを利用したことがないという企業も多いのではないでしょうか。
手続きが簡単な外貨送金を利用している企業が増えていると実感しています。

2013/08/26

原産地証明書は2種類あります

EPA締結国に輸出した方から問い合わせがありました。
「EPA特定原産地証明書の手続きをしてくれますか?」

原産地証明書には2種類あります。
通常の原産地証明書は、輸出インボイスに記載されているすべての商品の
原産地を商工会議所が証明しています。

一方、EPAやFTAなどの場合は「特定原産地証明書」といい、ちょっと違います。
すべての商品が対象ではありません。
TPPでもそうですがお互いの交渉で、対象となる商品がHSコードで特定されているためです。

HSコードに該当する商品かどうかチェックをしたうえで、特定原産地証明書が発行されます。
この手続きがややこしく時間もかかる。
そのためにお問い合わせがあったのでした。

・輸入者から特定原産地証明書の提出を指定されているのか?
・通常の原産地証明書でもいいのか?

確認していただいた結果、特に指定はない。
通常の原産地証明書で無事輸出されました。

関連コラム:
特定原産地証明書 2011/11/24

2013/06/10

日本食輸出をサポートする国としての戦略に注目 

日本食ブームを追い風に日本の伝統食材を輸出しようと中小企業の挑戦が始まっています。

寿司、刺身、焼き鳥、天ぷらといった定番だけでなく、最近ではラーメンやカレーライスが好きという人も多く、欧米やアジア主要都市で日本食を好きと答えた人が第1位というアンケート調査もあります。(「外食で食べる好きな外国料理」アンケートJETRO調査)

しかしアメリカに食材を輸出する場合、大きなハードルがあると報じられています。
「米国食品安全強化法」で、海外製造メーカーは、製造工程管理基準(HACCP)を求められます。

このHACCPを導入している中小企業は、まだ3割以下といわれています。
そのため、国としてもHACCP導入への支援策を検討しているそうです。

TPPに関連して農産品輸出をサポートする官民での連携・国としての戦略に注目です。

2013/05/27

海外ビジネスワークブック 

東京商工会議所が海外ビジネスへのガイドブック「海外ビジネスワークブック」を配布(無料)しています。
このガイドブックの副題は「自社の英文書類作成や各種貿易手続き簡単ツール」となっており、海外展開を目指す中小企業の実務者にとっては便利な内容となっています。

契約法務に関連した商流、国際輸送に関連した物流、輸出入実務など貿易ビジネスのあらゆる局面をカバーしており、実務者だけでなく、経営レベルにとっても役立つと思います。

さらにミプロ監修のページもあり、小口輸入に関して便利なコンテンツも含まれております。

このガイドブックの申し込み・お問合せ:東京商工会議所・中小企業相談センター 03-3283-7700

2013/05/16

輸出入手続きの国際標準化 

最近、TPPの陰に隠れてしまっているWTOドーハ・ラウンドですが、輸出入手続きの国際標準化も議論されています。

手続きのデータ化はだいぶ進んできましたが、書類はまだ各国バラバラ。
国際標準化により世界全体で4兆円近くもコスト削減との試算もあります。

日本も輸出入書類の国際標準化が大幅に遅れていると指摘されています。

お役所体制がまだまだ残っているよくあるケースです。
「申請書類にハンコがない」で手続きがストップ。 
それも、会社印だけではだめ、代表者印も必要・・・
その結果、納期が遅れた、挙句の果てに超過保管料も請求された。

こんなことにならないように国際標準化の議論が進むことを願っています。

関連コラム:
ドーハ・ラウンド 2011/8/1

2013/05/06

食品衛生法改正6月から適用

輸入食品用容器・包装器具の試験方法が6月29日から改正となります。
合成樹脂製(ポリスチレン)やシリコンゴム製の容器・包装器具の場合は新しい試験法で検査が行われます。

輸入販売されるすべての食品容器や器具は、食品衛生法で有害物質が含まれていないことの確認検査を義務づけ、「食の安全」を守っています。

なお、6月28日までに製造・輸入されたものについては、現行の試験方法での検査となります。詳しくは専門の検査会社にご相談ください。

関連コラム:
輸入手続きをスムーズにする方法 2013/02/25

2013/4/20

インド向け輸出の際には十分にご注意ください 

輸入書類に記載の重量が実際重量と違うと罰金。
インド・チェンナイ港でのお話しです。

今年3月からコンテナの重量検査を実施、どれくらいの差があるか確認を始めており、罰金を科していると報じられています。

書類上の重量と実際の重量に差があるようです。
ターミナル料金をセーブするために過少申告するのでしょうか。

今後、インドの全ての港で重量検査を行うとのことです。

関税を安く抑えるために輸入金額を過少申告する(つまり、脱税)のは聞いたことがありますが、コンテナ重量を過少申告するのは初めて聞きました。

2013/04/15

2013 © Pro Eyes Corporation

欧州発航空貨物のセキュリティー検査強化 

欧州発の航空貨物の搭載前の爆発物検査などのセキュリティー検査が義務付けられます。
2010年から施行されている新保安法が今月 4 月 29 日から完全施行となるためです。

事前登録されていない不特定荷主からの貨物については、70%以上の貨物がセキュリティー検査(24時間前申告、X線検査、梱包を開けての貨物検査)の対象になると予想されております。
貨物の到着遅れやセキュリティー検査費用など追加経費も懸念されます。

欧州からの輸入貨物は、早めの出荷手配が必要となるだけでなく、「特定フォワーダーを利用できるか?」「特定荷主の事前登録はしているか?」などを検討しておくことが大事になるでしょう。

関連コラム:
航空貨物のセキュリティー強化 2005/12/5

2013/04/01

輸出入貨物保険のプロからのアドバイス その3 

貨物海上保険の特約について

貨物海上保険は協会貨物約款(ICC)をベースとしていますが、ICCでカバーできない損害は、特約を付帯してカバーすることになります。この特約は保険会社がカスタマイズして提供していますので、ICCでカバーされない損害が想定される場合は、保険会社にそのような補償を特約として付帯することが可能か相談することをお勧めします。

ご参考までに一般的な特約をいくつかご紹介します。

■Before loading clause
例えば、貨物を山形の工場から未梱包の状態で横浜の梱包倉庫に輸送し、梱包した貨物を横浜のCYに搬入して本船に積み込み輸出する場合は、工場から梱包倉庫までの輸送期間と梱包倉庫での保管期間中及び梱包作業中は、ICCの保険条件だけでは保険対象外ですが、この特約を付帯することで、山形の工場出荷時から想定されるリスクを含めてカバーすることが可能になります。

■Special transit clause
例えば、産業機械を中国に輸出した場合、中国の最終仕向地の指定倉庫にすぐに納品せず、輸入港(上海)の倉庫に一旦保管してから買主の指定倉庫に納品する場合は、港の倉庫に搬入した時点で保険期間は終了しますが、この特約を付帯することで、港の倉庫の保管中及び指定倉庫への納品完了までのリスクをカバーすることが可能になります。
また、Installation clauseを付帯することで、機械据付作業中の事故による損害もカバーできます。

■Debris Removal clause
貨物が破損した後の破損貨物の取片付け費用は、保険対象外ですが、この特約の付帯により、取片付け費用、廃棄処分費用を保険対象とすることができます。
通常は、保険金限度額(50万円まで等)が設定されます。

■Special repacking clause
貨物の梱包は、貨物の一部とはみなされないため、保険対象外ですが、この特約を付帯することで、梱包材料費とその取寄せ運賃及び再梱包作業費をカバーすることが可能になります。

■Duty clause
貨物が損傷した場合、納付した関税は、輸入通関して保税地域から貨物を搬出した後では通常は還付されません。その場合の関税の損害をカバーします。
Duty clauseは、食品、衣類、靴などの高い関税率が課される貨物に有効です。

注)これらの特約は、保険会社のリスク判断により付帯できない場合もあります。

2013 © 神作亮二・損害保険コンサルタント

2013/03/11

同じ意味でも異なる略語表記 

貿易実務に使われている用語には多くの略語が使われています。

船や飛行機のスケジュール確認をする時によく使う略語の「ETD」。
「ETD(出港予定日)いつですか?」

この略語「ETD」ですが、最近は「ETS」というケースをよく見かけます。
ETS=Estimated Time of Shipment/Sailingの略です。

ETD(Estimated Time of Departure)と同じ意味ですね。
貿易用語も時代を反映して変わってきているようです。

関連コラム:
貿易通信で使われている略語 2009/12/25

2013/03/05

輸入手続きをスムーズにする方法 

「輸入手続きをスムーズにするにはどうしたらいいですか?」 
よくあるお問い合わせです。

海外旅行から帰ってきた時を思い出して見ましょう。
ターミナルに着くと、検疫所を通り、パスポートを提示して入国審査。
そしてバッゲージを受け取る。
食品や生花などを持ち返った時は、検疫所で許可を受ける。
そして、税関で貨物審査・関税支払い。

航空貨物の世界も、まったく同じです。
輸入手続きは「税関だけ」では済まないのです。
税関以外の役所で「輸入許可手続き」が必要な場合があります。

食器の場合、厚生労働省で食品検疫の手続きが必要です。
食品類の場合、農林水産省での植物検疫が必要になる場合もあります。

「輸入許可手続き」の許可を得ないと税関申告ができません。
税関以外の役所での許可が必要かどうか事前にチェックしておきましょう。

関連コラム:
輸入食品の検疫とリジェクション特約保険 2013/02/04

2013/02/25

輸出入貨物保険のプロからのアドバイス その2 

あまり知られていない貨物海上保険の掛け方(Non Policy方式)について

輸出における貨物海上保険の掛け方は、保険証券(Certificate又はPolicy)を発券する方式が一般的ですが、売買契約においてNon Policy方式の採用が可能な場合は、証券を省略することが可能になります。

1. L/C決済でない
2. L/C決済でも、銀行の承諾も得てL/C条件で保険証券を必要書類に指定していない
3. 輸入国・地域の税関・通関制度で輸入申告の際に保険証券の提出が不要である
4. 輸出入者間の売買契約の中で保険証券の発券が求められていない

上記、1から4を満たす場合は、Non Policy方式が可能となり、保険会社にもよりますが基本的には下記のメリットが得られます。

1. 保険申込の簡略化(例:インボイスNo.と金額のみの情報入力で付保可能)
2. その月の輸出分を月末にまとめて付保可能
3. 最低保険料(3,000円)が発生しない
4. 保険証券の輸入者への裏書発送の業務が不要になる

以上の通り、貨物海上保険の業務の合理化とコストダウンにつながりますので、月間の輸出件数が多くNon Policy方式が可能な場合は、この方式を一考されてもよいかもしれません。

2013 © 神作亮二・損害保険コンサルタント

2013/02/18

輸出入貨物保険のプロからのアドバイス その1 

貨物海上保険と三国間貿易の貿易取引条件について

年々円高対策や海外への生産・調達拠点の移転により三国間貿易(仲介貿易)が増えておりますが、三国間貿易の取引において注意すべき貿易取引条件(建値)の取り決めについて考察したいと思います。

例えば、韓国の輸出者(仕入先)と日本の仲介者と米国の輸入者(販売先)という三国間の建値を考えた場合、基本的に仲介者と輸入者の建値は、CIF(CIP)、またはDDU、DDPに、また仲介者と輸出者の建値は、EWXかFOB(FCA)にする必要があります。

つまり仲介者と輸出者の貿易取引条件には、貨物海上保険を含めず、また基本的に仲介者が日本サイドでフォワーダーを指定し確実に船積書類を仲介者がコントロールできるようにする為に、建値はFREIGHTを含まない条件にする必要があります。

その理由は、下記の通りですが、例えば、もし仲介者と輸出者の建値をCIFとした場合は、下記の問題が起こり得ることになりますので、注意が必要です。

1. 輸出者(仕入先)が貨物海上保険を掛けることになり、その結果、万一事故が発生した場合、仕入金額ベースの保険金額が支払われることになる為、販売金額ベースの保険金額でカバーされず100%の補償が得られないことになります。
2. 保険証券(Certificate)に保険金額(CIFx110%)が記載されている為、輸入者(販売先)に仕入価格が知られてしまうことになります。
3. 保険証券に輸出者名が記載されている為、輸入者に仕入先が知られたくない場合も知られてしまうことになります。
4. 輸入国・地域によっては、通関制度により適切な保険料(仲介者から輸入者への販売金額ベースの適切な保険金額による保険料)でなければ、輸入通関の許可が下りないかもしれません。
5. また、インボイスの問題としては、輸出者がフォワーダーを指定した場合は、仲介者サイドで船積書類のハンドリング・コントロールができず輸出者のインボイスが輸入者に送付されてしまい、輸入者に仕入価格が知られてしまう可能性があります。

以上のとおり、三国間貿易において貨物海上保険の手配を輸出者が行った場合は、トラブルの原因になりますので、貿易取引条件(建値)の取り決めには十分に注意して下さい。

2013 © 神作亮二・損害保険コンサルタント

2013/02/08

輸入食品の検疫とリジェクション特約保険 

「食の安全」を司っているのが、輸入時の食品検疫体制です。
検疫検査手続きで基準値をクリアーしない場合、輸入できません。

いろいろのケースが報告されています。
A社のケース:食品に含有されている残留分が基準値オーバーで、積戻しとなった。
B社のケース:陶製食器の顔料成分が規制対象のため、廃棄処分となった。

このような場合、通常の損害保険ではカバーされません。
最近、輸入食品の安全性が大きな問題となり、関心が高まっている保険があります。

「リジェクション特約」という特別な保険があります。
割増保険料を払うことで、このような予期しない費用または損害が補償されます。

関連コラム:
輸入貿易実務(航空編)その2 税関手続き 2012/07/20

2013/02/04

日本の食品検疫体制-オイスター輸入の思い出 

日本の食品検疫体制は、「食の安全を守る」として厳しいことで有名。

輸入で苦労したオイスターの思い出。
ニューヨーク在住の日系二世が東京都内某ホテルでパーティーをすることに
なった。それも、ニューヨーク本場のオイスターを、「生で」ゲストの皆さまに味わって頂きたい。

輸入食品検疫手続きで、「輸入したオイスターが獲れた場所の海水を提出せよ」
まだ、フレッシュ・オイスターが輸入されていない30年以上も前の出来事でした。

なんとか許可を得て、パーティーで皆さまに堪能頂き、ほんとうに「ほっと」しました。

ワンポイント:
オイスターとニューヨークの歴史の書籍が紹介されている。

宮城県気仙沼で牡蠣の養殖をしている畠山重篤さん。
書評の評論家でもあり、畠山さんが選んだ「今年の3冊」から。

「牡蠣と紐育」(マーク・カーランスキー著、扶桑社)

関連コラム:
輸入貿易実務(航空編)その2 税関手続き 2012/07/20

2012/12/26

貿易の基本6:B2BとB2C の貿易 

EC・WEBショップを運営している方からよくある質問です。
「B2BとB2C の貿易はどう違うのですか?」

B2Cは、電子媒体を通じた電子商取引、つまり、消費者の視点で、商品開発を行い、最適地で生産をした商品を最適コストで調達する。

消費者を顧客に置きかえれば、B2Bでも、全く同じ考え方ですね。
ですから、B2Cだからといって、特別な貿易形態ではないのです。
B2BもB2Cも、同じなのです。

貿易とは、当たり前ですが、国内取引ではありません。
異なる国の間で行われる売買取引です。

当然、言葉が異なる、商慣習・法制度も異なる国同士での取引となります。
そのために、国内取引と比較すると、より多くのリスクがあります。

国内取引でもそうですが、売主と買主の利害は反しています。
ですから、当事者間のトラブルはつきものなのです。
これも、どの形態の貿易にも当てはまると思います。

B2Cだからといって、特別な貿易形態ではないのです。
B2BもB2Cも、同じようにリスクはあるのです。

まとめ:
・B2C貿易は特別な貿易ではない
・B2B貿易と同じルール=貿易の基本は同じ

でも、売主と買主の利害は反する

そのために、3ポイントをたえずチェックしましょう。
・売買当事者の責任範囲と免責範囲を明確にする
・最悪を想定した契約管理を行なう
・自らクレームリスクを招かないようにする

2012/12/10

MORE OR LESS

エルヴィス・プレスリーの映画「ブルー・ハワイ」の中で歌われた「クウイポ(Hawaiian Sweetheart)」

KU-U-I-PO I love you more today /More today than yesterday/
But I love you less today/Less than I will tomorrow ♪♪

高まる愛情も視点を変えれば、More than がLess than に変わる。
英語ではごく普通の表現だが、日本語では先ずあり得ない言い方の典型として紹介されていた。

英語と日本語についてのコラム「日本語と英語 その違いを楽しむ」(片岡義男著 NHK出版新書)より。

ワンポイント:
このコラムを読んで、More or Less という貿易用語を思いだした。

2012/11/22

税関記念日(11月28日)にちなんで

税関というと、「関税」という言葉を連想しませんか。

貿易取引される商品に対して政府が取り立てる税金=「関税」ですが、英語では「Tariff」という言葉が使われます。関税(法)、関税率、関税表などに使われる英語です。

ワンポイント:
日本の物流業界では、ちょっと違う意味で「タリフ」が使われています。

Freight Tariff=運賃料金表のことを省略して、「タリフ」。
カタカナ日本語には、注意が必要ですね。

関連コラム:
税関記念日 2005/12/5

2012/11/12

税関申告が許可される時間は 

船や飛行機が空港や港に到着してから、税関申告が許可になるまでどのくらいの時間がかかるかご存知ですか?

・海上貨物 60時間
・航空貨物 13時間 
今年3月の調査結果です。

意外と時間がかかると思われるかもしれません。
この調査は一般貨物ですので、検疫などが必要な貨物はさらに時間がかかりますので、早めの準備をしておきましょう。

2012/10/23

中国・反日デモと貨物海上保険 

あまり関係がないようなタイトルですが、大いに関係ありです!

「反日デモの暴動による工場や店舗の損害を補償する保険契約の新規引き受けを停止している」と報道されています。

一般の火災保険に特約を付け、暴動などの危険をカバーしていますが、デモ以来、この特約(SRCC)の引き受けを停止しています。
SRCCとは、Strike(ストライキ)・Riots(暴動)・Civil Commotion(一揆)の略です。

輸出入貨物の海上保険でも、同じ特約をつけるのが一般的です。
ストライキや戦争による危険は、貨物海上保険約款では免責となっているためです。
このため、SRCCWar特約で、万一のための補償をしています。

関連コラム:
輸出入取引の貨物保険 2008/10/7

2012/10/07

原産地証明書の手続き 

原産地証明書は、インボイスを証拠書類として発給されます。
インボイスの記載内容が間違っていると、原産地証明書を入手できません。

よくある間違いインボイス:
・買主の住所がなく、送り先しか記載されていない
・署名が最下段にされていない
などなど 

詳しくは、東京商工会議所のサイトを参照ください。

2012/08/14

貿易の基本5:国際ビジネスで紛争の解決方法「仲裁」

紛争の解決には、当然ですが、当事者同士の話し合いによる解決が望ましいです。
でも、言葉が違う、商習慣が違うなど、なかなか解決はできないのが現実です。

裁判だと敷居が高い、さらに時間が掛かりすぎる。
そこで、「仲裁」が解決方法によく使われています。

「けんかを仲直りさせる」ではありませんが、第三者(仲裁人)の判断にゆだね、何が問題なのかを見極めてもらい、その判断(仲裁判断)に従う合意(仲裁合意)に従って紛争を解決できる手続きです。

仲裁は、裁判と違い、一般に公開されないため、どのような手順で行われるのか知っている方はごく少ないでしょう。
先日、日本仲裁人協会他主催で国際仲裁の模擬裁判が都内で行われました。

・案件に精通した専門家を仲裁人として選べるので、迅速な審理ができる
・当事者どうしの合意で紛争を解決する方法なので、手続き方法などを自由に選べる
・上訴できる裁判と違い、仲裁は一審性なので早くに結論が得られる

書類・Eメールなどの証拠書類を普段からのちゃんと取っておくことの重要性を再認識しました。
また、競合先同士が当事者となる場合も多く、企業秘密を開示すべきかも考えさせられました。

いずれにしても、「仲裁」について、国際取引をされる際に理解しておく必要があるでしょう。

2012/06/11

貿易の基本4:輸入通関に必要な書類とは?

輸出入取引では、輸出者が契約内容に沿って、発送手配完了後に、関連書類を輸入者に提出します。通常は、4点セットが必須書類となります。
 ・商業送り状 (インボイス)
 ・梱包明細書(パッキングリスト)
 ・船荷証券 (B/L,またはAWB)
 ・保険証券 (Insurance Policy)

インボイスは、輸出者fが作成した輸入者宛ての出荷案内書と価格計算書(請求書)を兼ねた書類です。

パッキングリストも輸出者fが作成した梱包明細書です。数量、正味重量、総重量、容積などが記載されます。

船荷証券は、船会社が発行する書類です。貨物を受取ったことの証明と、目的地までの運送・正当な所有者へ貨物を引渡すことを約束した有価証券です。
航空貨物の場合には、航空貨物運送送状(AWB)がB/Lの代用として発行されますが、有価証券ではなく、貨物の受取証(送り状)にすぎません。

保険証券は、CIF契約の場合に限り、輸出者が準備すべき書類となります。
CIF契約以外の場合には、輸入者側で保険契約をしますので、輸出者としては不要となります。

契約によっては、4点セットのほかに、以下のような書類を要求されることもあります。
 ・原産地証明書 
 ・重量容積証明書 
 ・検査証明書 
など

貨物が着いてから書類が足りない、などのことがないように、早めに準備を進めておくことが、輸入通関をスムーズに行うポイントです。

2012/06/07

円建て契約で為替リスクを少なく

ジャーナリスト・池上彰のインタビュー記事を読みました。
文芸春秋2012年5月号 「危機を乗り切る戦後不況史入門」

円高・空洞化など先行き不透明な今こそ、過去の経験から教訓を学びたいとの趣旨で、政財界の大先輩7名へのインタビュー、読み応えありです。

特に、元大蔵省・大場智満氏とのインタビュー記事に注目しました。
戦後の円相場をカジ取りしてきた国際金融の専門家の鋭い見方です。

・今は、円が高いけれど、そう長くは続かないだろう
・中長期的には、たぶん3~5年後には、円安となるだろう

・日本は、貿易立国として、「輸出」を伸ばすしか生けてゆく道がない
・しかし、為替変動リスクは、最小限に抑える必要がある
・そのために、「円建て契約」を増やすようにしたほうがいい

ワンポイント:
まだまだ、ドル契約が圧倒的で、円建ては、4割程度だそうです。

2012/05/02

輸入貨物用の新特約保険 

定期的に海外から輸入調達をされている輸入者の方にとって、検討の価値ある、貨物海上保険特約。「輸送の時間」に対する保険という新しい概念に注目です。

予定していた船が遅れて到着、在庫が足りなくなり、急遽、緊急輸入をエアーで行わざるを得ない、こんなご経験があるのではないでしょうか。

貨物海上保険では、このようなスケジュール遅れによる損害は免責となっており、保険支払の対象となっていません。

今回、AIU保険がはじめた「コンテナ船輸入遅延特約」は、このような損害の一部をカバーできる特約保険です。

貨物海上保険本体とセットでの契約である点(特約のみでの契約は不可)や、海上輸送に限定している点など引受条件が細かく設定されています。
ご案件ごとに物量・積地等を勘案の上、料率等引受条件の見積りとなります。

ワンポイント:
貨物海上保険では、下記の損害補償はされませんので、注意が必要です。
・航海遅延による損害(船舶、航空機のスケジュール遅れ)
・貨物固有の瑕疵または性質による損害(品質劣化など)
・梱包不完全による損害
・重量または容積の自然消耗

関連コラム:
貨物海上保険の役割 2011/6/20

2012/04/05

EU向け貿易実務「原産地証明書」

EU向けに繊維製品を輸出する時は、必ず輸入者から原産地証明書の提示を求められていました。昨年10 月、EU規定の変更が行われ、原産地証明書が不要となりました。

しかし、輸入者側 の事情により、原産地証明書を求められるケースもあります。
このような場合、商工会議所でこれまで通り、証明書を発給しています。

EU向けに繊維製品を輸出される方は、事前に輸入者に証明書が必要かどうか確認をされることをお勧めします。

関連コラム:
特定原産地証明書 2011/11/24

2012/2/1

中国向け危険品貨物

1月22日から28日までの7日間、春節(旧正月)の連休となります。
これに伴って、1月12日-28日まで、輸入貨物、特に危険品貨物
が取扱い禁止になると報道されています。

中国北部各港・南部の海南・雲南・珠江デルタ諸港などでは取扱い禁止、黄埔・広州・東莞・塩田・蛇口・赤湾など一部港では、通常通り輸入可能と報道されています。
詳細につきましては、現地にご確認されますようお願い致します。

関連コラム:
危険品貨物 2009/11/2

2012/01/10

ネット通販で輸入が人気 

超円高のメリットで、海外通販が安く買えると人気になっています。

個人輸入の場合でも、少額輸入(10万円以下)として、輸入関税(簡易税率)を支払う必要がありますので、注意が必要です。
海外旅行に行ったときのお土産も一定額以上は課税対象となるのと同じです。
国際郵便でも同じです。

ワンポイント:日本の関税制度
関税制度(国定税率=National Tariff)は、1商品1税率ではありません。

・基本税率(=General)
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵税率(=Preferential)
・期間限定で特定品目を対象とした暫定税率(=Temporary)
・WTO加盟国からの輸入に適用される協定税率(=Agreement Tariff)
・少額輸入に適用される簡易税率(=Simplified Tariff Rate)
などに細分化されています。

関連コラム:
関税定率法改正案、衆議院通過 2011/3/28
輸入関税率 2011/10/25

2012/1/5

「海外ビジネスガイドブック」 

海外展開を検討している中小企業にとって、便利な冊子が東京商工会議所から発行されています。
知っておくべき基本的なことから、海外戦略のヒント、多くの事例などわかりやすくまとめられています。

「海外ビジネスガイドブック」
ご一読をお勧めします。無料配布です!

関連サイト:
中小企業国際展開アドバイザー

2011/11/28

特定原産地証明書 

EPAを締結すると、特別に割引された輸入関税が適用され、日本発の輸出商品の競争力が高くなります。

EPAのみに使われる「特定原産地証明書」をご存知でしょうか?
MADE IN JAPANであることを証明しているのは、一般の原産地証明書と同じですが、手続きや、日本発すべての商品が対象でないなど、注意点もあります。

詳しくはこちらから。

2011/11/24

輸入関税率

TPPに関連して、コメの輸入関税(778%)に焦点をあてた報道が盛んにされていますが、日本の輸入関税が相当に高いとの誤解を与えているのではないでしょうか。

確かにコメは、農業政策から高い関税率となっていますが、農産品以外の貨物は、ゼロまたは、5-10%程度が一般的です。

TPP輸入関税がゼロとなっても、輸入消費税は依然として課税されます。
輸入契約の経営判断をする際には、輸入消費税を忘れないように気をつけましょう。

関連コラム:
輸入関税 2011/2/23
輸入関税率 2010/3/15
関税率品目分類の変更 2007/4/3
関税引き下げ 2006/8/11

2011/10/25

貿易関係証明書のトラブル

東京商工会議所で発行された証明書類が国際取引で不正取引に悪用された、とのニュースがあります。

日本法人証明書をデータ送信した際に、何者かにより、データがハッキング、証明内容を改ざんされ、海外7カ国にわたる被害となったようです。

東京商工会議所からは、、原産地証明書などの貿易関係証明書をデータ化して保存・データ送信することをできるだけ避けるように、との注意喚起がなされています。
皆さま、十分に気をつけましょう。

2011/9/20

超円高 

史上初75円台の超円高、依然として円高基調の為替動向が報じられています。
ちょうど40年前当時と似ているような気がしています。
40年前の1971年(昭和46年)8月、金本位制からの脱却を米国が宣言した”ニクソンショック”が起こりました。

1ドル=360円に固定されていた円相場は、一気に306円に切り上げられ、さらに、2年後には、変動相場制に移行といった、急激な変動の時代の始まりでした。
円相場の変動幅も15%以上と、当時の経済界は大混乱でしたが、先人たちの智恵とたゆまぬ努力の結果、現在の発展を遂げることができました。

早急に、3次補正予算が編成され、具体的な円高対策が実行されることを願っています。

2011/9/1

円安?

1ドル\78台といった急激な円高(ドル安)が連日のように報道されています。
対ドルレートだけで見ると、かなりの円高(95年4月は\83台、今年7月は\78台)となっていますが、総合的な価値判断指数(実質実効為替レート)では、円安という見方もあります。

2005年を100とした実質実効為替レート指数からみると、95年4月指数は151に対して、今年7月指数は102、 30%以上の円安ということになるそうです。
日本は物価上昇率が低い=デフレのため、総合的な価値判断指数から見ると、円安になっていると言われています。
あまり実感はありませんが、経済学的にはこのような見方もあることをご紹介しました。

ワンポイント:実質実効為替レートとは
世界58カ国の主要通貨を物価変動の影響を除外した指数(=実質為替レート)、更に各国の貿易取引額を加味した指数(=実効為替レート)の双方を加味すると、グローバル市場全体での対外的な競争力が計れ、円がドルに対して円高といった一面的な見方だけでなく、対外競争力を適切に表すことができる。(日銀の説明文から抜粋)

関連コラム:
超円高 2011/9/1
ドル安(円高)為替相場激変 2009/12/2

2011/8/8

国際輸送での損害賠償責任 

国際輸送をする際に、船会社や航空会社には輸送中のあらゆる事故に対して、損害賠償責任があると思っている方が多いと思います。

よくあるケースですが、事故発生となったが、クレーム金額の一部分しか求償されなかったというご相談を受けることがあります。
国際輸送を受託した船会社や航空会社には、貨物を目的地まで安全に輸送し引渡す義務はありますが、全ての損害について運送人の賠償責任ではありません。

関連コラム:
貨物海上保険の役割 2011/6/20
保険はなぜ必要? 2009/9/22
輸出入取引の貨物保険 2008/10/7

2011/6/20

貨物海上保険の役割 

国際輸送での運送約款には、免責がある点を認識しておく必要があります。
そのため、貨物海上保険を契約することで、運送約款の賠償責任限度額に係りなく、輸送中の貨物損害の補償を受けることができるのです。

関連コラム:
輸出入取引の貨物保険 2008/10/7

2011/6/20

貿易は難しい? 

「貿易は難しい」、「海外取引はリスクがある」と思い込んでいる方が多いようですが、 貿易のしくみ・ルールなど基本的なことを理解しておけば、決してそんなことはありません。

貿易とは、異なる国の間で行われる売買取引です。
当然、言葉が異なる、商慣習・法制度も異なる国同士の取引です。
さらに、物・金・書類が異なる流れをします。
また、売手、買手だけでなく、貿易に携わる関係者の利害は異なっています。

輸出入取引の最大の基本は、当事者の義務とリスク負担を明確にした契約を前提としています。
この契約に則って、貿易取引をスムーズに、お互いのリスクを回避することができるのです。

2011/6/13

航空貨物のセキュリティー強化 

平成17年10月1日より、すべての貨物の搭乗前、X検査・爆発物検査を義務つけた「航空保安対策基準(特定荷主及び特定フォワーダー制度)」が国交省から発表されました。

9.11同時多発テロ以来、すべての航空貨物は、搭載前24時間留置措置がとられ、テロ攻撃に対するセキュリティーを維持してきましたが、航空貨物を迅速、円滑に輸送することが課題となっていました。

貨物を迅速に、円滑な輸送を実現するために、 適切な保安措置を講じた運送事業者(航空代理店・フォワーダー)を「特定フォワーダー」として認定、さらに、貨物の安全と法令遵守に該当する荷主(輸出当事者)を「特定荷主」として認定して、 X線検査・爆発物検査を免除することになります。
保安強化をする一方で、特定荷主については、検査等で輸出手続きにかかわる時間短縮をすることにあります。スポット輸出など、特定荷主に認定されない場合は、24時間留置措置・X線検査・貨物検査が行われることになりますので、注意が必要です

現在、24時間留置措置は実施されておりません。

2020/09/15 更新

輸出規制、強化へ 

北朝鮮への経済制裁強化の動きに関連して、輸出規制強化の動きが報道されております。
外為法輸出貿易管理令の「少額特例」を本年度内に廃止、2007年1月より施行すると発表されました。

輸出貿易管理令では、大量破壊兵器を製造している可能性のある「懸念国(北朝鮮、イラン、イラク、リビアの4カ国)」に対して、キャッチオール規制管理として経済産業省に輸出承認許可が義務づけられています。ただし、輸出商品価格が5万円以下の場合は、この許可申請が不要でありましたが、この少額特例が撤廃されることになりました。

同時に、大量破壊兵器の製造に転用の恐れがある製品の貿易取引の仲介などへの取締り強化も盛り込まれると報道されています。
民生用途で一般的に使用されている商品でも、大量破壊兵器製造に転用の恐れがある製品として外為法の管理下にありますので、事前調査を十分にされることが肝要となっております。

2006/11/30

貿易コンプライアンスとは? 

今年は、違法輸出で大手企業幹部が刑事罰を受けるなどのニュースが多い年でした。

コンプライアンス(Compliance)=「規則や要求に従うこと、(規則などの)順守、(規則などに対する)服従、準拠、従順、整合性」を意味します。対象範囲が非常に広く、個人情報保護法もこの一部になります。貿易業界で使用する場合は、輸出入規制を遵守するという意味でトレードコンプライアンス(=貿易コンプライアンス)と限定した言い方をしております。

日本では、輸出入取引は、「原則自由」で運用されていますが、貨物の輸出入契約とソフトウエアや技術提供となる役務契約は、外国為替及び外国貿易法(略して、外為法、ガイタメホウ)に準拠しており、安全保障貿易などの管理が行われています。

核兵器や通常兵器などの開発で国際情勢の不安定化、ひいては私達の生活を直接脅かすことがないように、個人・企業の利益に優先し、安全保障貿易管理を国際的に行うことが必要なための管理です。兵器産業だけの規制と思われがちですが、比較的身近な民生用品であっても規制対象となっていますので、事前調査が必須です。

「輸出管理対象とは知らなかった」、「輸出管理は自社製品とは関係が無いと思っていた」などというコメントをよく伺うことがあります。違反の場合には、刑事罰(罰金、懲役)や行政処分(貨物輸出・技術提供の禁止)が科されますので、細心の注意が必要です。

2006/12/29

契約違反トラブル

海外との輸出入取引をする際には、最悪の事態を想定して、お互いに契約書を締結してから取引実行となります。それでも、代金の不払いなど契約条件どおりに義務を履行されないケースがよく起こります。

一方の契約者が契約義務を履行しない場合、契約違反として紛争トラブルとなります。
品質トラブルであれば、書面でのクレーム通知(損害賠償請求)することを条件とした契約が必要となります。また、不可抗力(=Force Majeure)など免責条件がどのように規定されているかも重要となります。

蛇足ですが、不可抗力のことは一般的な英語表現では、Act of Godといいますが、貿易契約書に記載する際には、フランス語のForce Majeureを使用します。
契約書条項の内容を十分にチェックしてから、取引開始することが大事となります。

2007/2/27

木材梱包材の消毒処理 

2007年4月1日から日本でも木材梱包材の消毒処理が施行されます。

海外からの輸入貨物の木材梱包材から有害な動植物が侵入する恐れがあり、世界各国で国際植物防疫条約が採択されており、EC、アメリカ、中国、韓国などでは既に実施されています。

木箱などの梱包容器やパレットなどの貨物搬送用道具も対象となります。カートン容器に梱包されている貨物の場合でも、パレット梱包して輸送するケースが多いため、念のため、海外調達先に注意を喚起されることをお勧めいたします。

関連コラム:
豪州向け合板梱包材 2009/7/24
木製梱包材規制 2008/7/25
木材梱包材の消毒処理 2007/3/15

2007/3/15

関税率品目分類の変更 

HS条約加盟国がWCO(世界税関機構)で協議した結果、2007年1月、5年ぶりに関税率品目分類(=HS番号)の変更が決定され、 4月以降の輸出入申告に適用となっています。

国際取引されている商品は、技術革新により新商品が登場するなど年々変化しています。そのため、世界規模で定期的に関税率品目分類の見直しが行われています。
・技術革新によりコピー、スキャン、ファックス等多機能器機が登場してきたことへの対応として、品目分類の新設・変更
・水銀、アスベスト等の有害化学物質の国際的な移動を監視するロッテルダム条約対象商品をモニターできるように、品目分類の新設
・くろまぐろなど環境保護対象商品をモニターできるように、品目分類の細分化
・貿易額が少額になった品目分類の統廃合
などが主な改正点となります。

品目分類変更により、輸入関税率が一部変更となっておりますので、事前にご確認することをお勧めいたします。

2007/4/3

国際標準梱包 

安全・確実な国際輸送を確保するために、「国際標準梱包」が必須と売買契約書にも記載しますが、この「国際標準梱包」とは、どのような梱包条件なのでしょうか?

簡単には、「国際輸送に耐えうる梱包」という意味ですが、通常の貨物取扱い状況下で安全輸送が出来る梱包、さらに通常の運送で起こりうるあらゆる事象に耐えうる梱包をすることが必須条件となります。つまり、貨物の性質・形態に最も適した梱包、ということになります。
しかし、これが実は大変に難しく、強度不足、形状不適当など、梱包が壊れてしまう事故は、日常茶飯事のように発生しています。

安全輸送の観点からも大事ですが、事故原因調査で「梱包の不完全による損害事故」と特定された場合、この損害は貨物海上保険の免責となり、クレーム対象にはなりませんので、注意が必要です。

2007/9/7

カルネ 

商品見本や展示会への出品物などを海外に発送・持参する場合、一時的に免税扱いにできる制度のことを「カルネ」といいます。 ATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に基いた支払保証の制度です。

カルネとは、フランス語で「手帳」と言う意味です。
貨物のパスポートですので、数カ国にまたがって商品見本などを持参しなければならない時など、到着地でいちいち正規の通関申告をすることなく、大変に便利な制度です。
ただし、1年以内に全量を持ち帰ることが必須条件ですので、展示会などでサンプル配布する場合には適用されませんので、ご注意が必要です。
詳細は、日本商事仲裁協会サイトをご参照ください。

2007/10/16

木製梱包材規制 

台湾も木製梱包材の輸入規制を実施との報道がされています。
国際輸送に使用される木製梱包材の検疫規則(ISPM No.15に基づく輸入規制)が2009年1月1日より適用されます。

木箱以外にパレットも対象となり、合板、ベニヤ以外の木材梱包材は、すべて消毒処理が必要になりますので、台湾向け輸出の際にはご注意を。

海外からの輸入貨物の木材梱包材から有害な動植物が侵入する恐れがあり、世界各国で国際植物防疫条約が採択されています。 既に、日本、EC、アメリカ、中国、韓国などでは実施されています。

関連コラム:
豪州向け合板梱包材 2009/7/24
木材梱包材の消毒処理 2007/3/15

2008/7/25

輸出入取引の貨物保険 

貿易取引で貨物を海上輸送または航空輸送、陸上輸送している間に起こりうる危険から生じる損害(ロスやダメージ)を補償するのが貨物海上保険で、貿易取引が無事に完結するためになくてはならないものです。

船会社、航空会社などは、貨物受け取りから引渡しまで安全に輸送する義務を負っていますが、すべての損害について賠償責任を負っているわけではありません。
運送約款には、運送人の免責条項・責任限度額が細かく規定されており、荷主が運送人から損害補償をすべて受けられない場合もよくあります。 そのため、貨物保険を掛けることにより、荷主は運送約款に係りなく、貨物損害の補償を受けることができるのです。

一般的には、海上・航空輸送により生じる可能性のあるすべての危険を填補する「全危険担保条件(All Risks)」に、特約条件として、War Clause(=戦争・革命・反乱・だ捕などによる危険をカバーする特約)SRCC. Clause(=ストライキ・暴動・一揆などによる危険をカバーする特約)をつけます。

貨物保険では、下記の損害補償はされませんので、注意が必要です。
・航海遅延による損害(船舶、航空機のスケジュール遅れ)
・貨物固有の瑕疵または性質による損害(品質劣化など)
・梱包不完全による損害
・重量または容積の自然消耗

関連コラム:
貨物海上保険の役割 2011/6/20

2008/10/7

混載ですか?フルコンですか? 

コンテナ運賃見積りを依頼するとよく聞かれます。
混載ですか?フルコンですか?」
20フィートコンテナでも40フィートコンテナでも、コンテナ1本を満たす量か小口貨物かで運賃形態が異なるためです。

2009/2/18

サーベイかけますか? 

輸入貨物が到着すると、運送会社(船会社や航空会社)から通関業者に貨物引渡しが行われます。
その時点で、到着数量と貨物状況のチェックが行われ、書類と差異がある場合に、通関業者が荷主に確認します。

2009/3/10

ウエイト勝ちですか?メジャー勝ちですか? 

海上輸送でも、航空輸送でも、運賃の計算単位は、貨物の大きさ・重量によって異なります。
運搬する貨物には、容積は小さくても重量の重いもの、あるいは、重量は軽いのに容積が大きいものなどさまざまです。
しかし、運搬できる容積は一定です。このため、重量または容積、いずれか大きいほうを運賃計算の基礎にする運賃制度になっています。

運賃見積りをする場合に貨物の重量・容積(貨物の縦X横X高を重量換算した単位)などの情報が必要となるのは、このためです。

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2009/3/24

貨物保険は必要か?

貨物保険は、貿易取引が無事に完結するためになくてはならないものです。
船会社や航空会社は、貨物受取りから引渡しまで安全に輸送する義務を負っています。

しかし、運送約款には、運送人の免責条項・責任限度額が細かく規定されています。
すべての損害について賠償責任を負っているわけではありません。
運送人の過失による貨物損害は、運送人が賠償責任を負いますが、賠償責任の限度額以上は免責とされています。

また、火災・天災・不可抗力・戦争危険など運送人の過失によらない貨物損害は運送契約上、運送人の免責と認められています。
そのため、貨物保険を掛けることにより、運送約款にある責任の限度額に係りなく、貨物損害の補償を受けることができるのです。

関連コラム:
保険はなぜ必要? 2009/9/22

2009/4/24

国際輸送貨物の検疫 

連日、新型インフルエンザの検疫強化の水際対応が報道されていますが、国際貨物は、通常的に検疫体制が行われていることをご存知でしょうか。

貨物を輸送するための木箱梱包やパレットなどの木製梱包材から有害なマツクイムシなどの病害虫が侵入する恐れがあります。日本を始め、EU、米国、豪州、中国、韓国など多くの国で、農業や自然環境保護を目的とした国際植物保護条約により、植物検疫規制が実施されています。

2009/5/1

豪州向け合板梱包材 

8月1日現地通関分から豪州向け合板・ベニヤ板製のパレットなど梱包材、ダンネージ材の規制強化が発表されています。

豪州政府は、国際的な木材梱包材の検疫規制の基準(ISPM)による輸入規制を実施するとともに、独自の植物検疫も行ってきています。
今までは、合板作製日などを届け出る書類手続きのみで輸入可能でしたが、今後は、豪州政府独自の植物検疫手続きに従った厳しい規制措置となった模様です。

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木材梱包材の消毒処理 2007/3/15

2009/7/24

貨物保険の英語 

現在使用されている保険証券は、200年以上前に作られた英国ロイズ保険証券が元になっています。ロンドン保険業者協会が制定した約款に基づいているので、英文が古めかしく、難解であることで有名です。
最近、わかりやすい表現に改められています。

例えば、
Insurance Policy(保険証券) → Contract of Insurance(保険契約書)
Underwriter(保険引受人) → Insurers(保険者)

このように「2009年改定約款」は、現在の市場の状況に合った一般的な表現に改定されています。

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貿易通信で使われている略語 2009/12/25

2009/9/22

保険はなぜ必要? 

運送人(船会社、航空会社など)は、貨物受け取りから引渡しまで安全に輸送する義務を負っていますが、運送約款には、運送人の免責条項・責任限度額が細かく規定されており、すべての損害について賠償責任を負っているわけではありません。

賠償責任の限度額以上は免責とされています。
そのため、貨物保険を掛けることにより、荷主は運送約款に係りなく、貨物損害の補償を受けることができるのです。貿易取引が無事に完結するためになくてはならないものです。

関連コラム:
貨物保険は必要か? 2009/4/24

2009/9/22

危険品貨物 

危険品貨物を無申告で輸送したとのことで、監督官庁が行政指導を行ったとの報道がありました。
中古発電機を日本国内で航空輸送したケースですが、ガソリンが残留している可能性があるため危険品輸送の対象となるにも係わらず、危険品申告が行われなかったためでした。
国際輸送でも、航空輸送・海上輸送ともに危険品申告は必要です。

ワンポイント:危険品貨物とは?
引火性貨物、可燃性貨物、放射性貨物などは、危険物となります。
国連および国際原子力機関が定めた航空輸送細則に準じた航空法(国土交通省令)の条件を満たした場合に限り、航空貨物として輸送することができます。
そのため、輸送中の安全を確保するため、輸出インボイス以外に、国際航空運送協会(IATA)が定めた危険物申告書の提出を求められます。

輸送する商品の危険度に準じて、梱包容器やラベルなどの輸送手段が取り決められており、詳細を危険物申告書に記載し、運送会社の事前認可を得ることが必須となります。
海上輸送の場合も同様の輸送細則があります。

2009/11/2

貿易通信で使われている略語

現代は、メールでいつでも誰とでも簡単に連絡ができますが、以前は、電信暗号を使った商用電報のみしか通信手段がない時代がありました。それもたった40年ほど前のことです。

その当時よく使われていた電信暗号(ASAPやFYIなど)が現代でも頻繁に使われているのです。
電報は、字数あたりで課金される料金体系のため、コスト節減のため,世界共通の電信暗号が一般的に使用されていました。

ワンポイント:
ASAP = As soon as possible 「できるだけ早くに」

FYI = For your information 「ご参考までに」

これらの略語は、「ネット用語の略語」として紹介されているケースもありますが、実は、昔から貿易通信で使われていた略語が一般的な英語で使用されているのです。

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2009/12/25

輸入関税率

輸入関税率は、1商品1税率ではありません。
世界各国の輸入関税は、輸入貨物の製造された原産国により異なる場合があるためです。 HS番号ごと、輸入相手国ごとに税率が決められています。

世界全体の貿易振興を目的とし、開発途上国、特定2国(又は地域)間の優遇税制制度があるためです。

・基本税率(=General)
・期間限定で特定品目を対象とした暫定税率(=Temporary)
・WTO協定国よりの輸入税率(=WTO)
・開発途上国からの産品にのみ適用される特恵税率(=GSP)
・特定2国(又は地域)間経済協定締結国よりの輸入税率(=EPA)
に細分化されています。

たとえば、HS#6601.91.000折りたたみ傘の日本の税率
・基本税率 6.4% 
・WTO協定国税率 4.3% 
・特恵税率、EPA税率 無税 

2010/3/15