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今回は知識の整理を兼ねて、輸出手形保険をお勧めする理由をお話しします。既にこのコラムでも何回かお話ししたように、輸出手形保険はNEXI(日本貿易保険:政府全額出資法人)が取り扱う貿易保険の一つになります。
他の貿易保険はほぼほぼ銀行は関係ないのですが、輸出手形保険はどっぷりと銀行と関係があります。では早速概要から見てみたいと思います。
1.被保険者は実は「銀行」
一般に保険と言えば保険料を支払って保険契約する人が、被保険者という位置付けになります。しかしこの保険で被保険者は、当該輸出為替の買取銀行なのです。この銀行が被保険者と言うのは結構重い意味を持ちます。万一保険事故が発生したとき銀行自身が当事者となります。輸出者にしてみれば銀行が自分のために動いてくれるのです。
2.「非常危険」だけでなく「信用危険」もカバーしてくれる。
「非常危険」とは為替取引制限・禁止や戦争・内乱・革命、自然災害、当事者の責めによらない事態のことです。「信用危険」は「非常危険」以外の事由による物です。このカバー範囲の広さによって、輸出者自身の責任でなければ、殆ど全ての保険事故に対してカバーしてくれる事になります。これは心強い話と言えます。
3.付保率(カバー率)が95%ある。
100%面倒を見てくれないのかと声が上がりそうですが、輸出者が振り出した荷為替手形金額の95%ですから、コスト、諸経費、儲け込み込みに対する95%です。それなりに評価できる水準と言えるのではないでしょうか。
4.付保付輸出為替は銀行に取って担保付与信
銀行によって少し対応が違うのですが、輸出手形保険付は無付保(輸出手形保険なし)の買取に比べ、与信判定上有利な扱いを受けることになります。多くの場合手形金額全体が担保付与信と判定されるようです。更に5%部分を預金で担保提供すると、更にそのステイタスが上がる。こんな銀行もありました。これは無信用状(D/P・D/A)に限らず信用状付でも可能な話です。
5.保険事故発生!でもサービサー制度を頼める
不幸にして保険事故が発生したときには、買取銀行がNEXIに対して損失発生通知書を提出します。その後NEXIから保険金が支払われるのですが、そこで一件落着とはなりません。買取銀行(輸出者も含む)には代金回収義務が残っています。つまり輸入者から輸出代金を回収しなければならないのです。じつはこれが大変な面倒でサービサー制度が出来るまでは、買取銀行は半年に一度現状報告をしなければなりませんでした。
勿論銀行だけでは駄目なので輸出者にも動いて貰います。現状を把握して回収の可能性。これを報告していました。これが終了認定をおりるまで続く事になります。転勤で引き継ぎを受ける時、この手の引き継ぎが一番厄介でした。本当に面倒で今までの経緯を一読するだけでげっそりしてました。
しかし2003年10月以降はサービサー制度が導入されました。完全に手が離れるわけではありませんが、殆どの部分をサービサーが行ってくれるので、本当に楽になりました。これは大きなポイントです。以上簡単に眺めてきたのですがもし興味がお有りなら、NEXIのHPを一度ご参照下さい。直接電話等での相談も受けてもらえます。
参考サイト:NEXI
https://www.nexi.go.jp/
2022/06/23