「L/C pack」という商品が有ります。商品と言っても物ではありません。東京信用保証協会の輸入業者向け保証制度です。今回はこの保証制度についてお話ししたいと思います。
東京以外の方は直接この制度の適用はありませんが、似たようなやり方で保証を受けることが出来ることがあります。後ほどその点にも触れたいと思います。
さて信用保証協会(以下保証協会)ですが皆さんはご存じでしょうか。保証協会は全国の都道府県と一部の市に設けられています。その役割は中小企業(一定の資格要件あり)への銀行融資に対して、「信用保証」をするという信用補完機能です。そして保証協会はその機能を持つ公益法人と言うわけです。簡単に言うと保証人の役割を果たしてくれるのです。
もちろん外為をやっている事業者でも保証協会は利用出来ます。特に今回お話しする「L/Cパック」は外為専用とも言える制度で、上手く利用すれば大変重宝する制度と言えます。詳細はぜひ保証協会発行のパンフレットを見て頂きたいのですが、簡単に言いますと銀行が輸入L/C関連として認識する取引を、一通り保証協会が保証してくれるものとなります。
手順としては保証付の証書貸付か手形貸付を銀行に実行して貰います。そしてその実行代わり金で担保となる定期性預金を作成します。銀行はこの定期預金を担保としてL/Cを開設します。さらにその後行程となる輸入ユーザンス(本邦ローンとも言います)、跳ね返り金融までの一連の流れもこの定期預金がカバーします。つまり一連のL/C取引を保証協会に面倒を見て貰うというわけです。
最長一年という縛りがありますが継続利用も可能となっています。やり方は旧保証を一旦返済して新規保証を実行します。更に少し細かい話ですが万一の時この担保性定期預金は、銀行のプロパー債権に対しても相殺適用が可能です。(勿論L/C関連与信や他にある保証付融資が優先ですが)
このように妙味のある制度ですが一般の協会保証と同様に、借入資格とか取引金融機関が保証協会利用可能かとか、事前に確認すべき点はいくつかあります。それらが満たされるのであれば一考の余地はあると思います。
ここまでお話しますと「じゃあ東京以外では出来ないのか」と、お尋ねが来そうですが実は何とかやる方法はあります。実際に私がやっていた方法はこうです。まず通常の運転資金の保証申込を行います。保証協会から実行OKの返事を貰います。その保証を基に貸付金を実行し、お客様は支払等にそれを充当します。
十分貸付金が流出しきったのを確認して担保預金を作成して貰います。その後はこの担保預金を基にL/C開設を行って行きます。その後の流れはL/Cパックと同じです。実際に成約に至った例は少なかったのですが、当行はこんなことも出来ます。と、提案することはお客様に好評でした。
今回はL/Cパックについてでした。
(注)似たような名称に特定信用状関連保証があります。これは海外子会社の現地資金調達を容易にするために、親会社取引銀行が発行するスタンドバイ信用状向けの保証です。全く機能が違いますので保証協会に相談する際には注意が必要です。
参考サイト:
L/Cパックについて「東京信用保証協会」
https://www.cgc-tokyo.or.jp/cgc_201902monthly40-02.pdf
海外展開サポートデスク「東京信用保証協会」
https://www.cgc-tokyo.or.jp/assistinfo/cgc_KTsupportdesk_leaf.pdf
2022/01/20