輸出を扱う皆さんは銀行に輸出書類を持ち込む際に、買取で依頼しますか?それとも取立の依頼でしょうか?
特に調べたわけではありませんが、多くの場合L/C付の書類は買取、D/P・D/A(L/C無)は取立。こう区分けしている会社が多かったようです。実はこの区分け、銀行から見ても意味がありました。今回のお話しはこの辺りになります。
さて買取とはなんでしょうか。一言で言えば銀行が輸出者から債権譲渡を受けることです。銀行はその対価として買取代わり金を支払います。ここを捉えて買取と呼んでいます。この効果は輸出者から見ると不渡り等がなければ、銀行の買取を持って資金回収終了と見なすことも可能な点です。(正しくは最終決済までの期間金利が追加請求されますが)
次に取立ですがこちらは銀行に対して取立の委任をするだけです。若干の手数料は払いますが、債権譲渡は発生しません。輸入サイドから入金があって初めて資金回収となります。このことから銀行から見ると与信を起こすのが買取、起こさなくて済むのが取立という区分けになります。
では銀行は買取と取立をどう考えているのでしょうか。まず買取ですが、これは取引形態と輸出者の信用状態がポイントです。L/C付(信用状付)であれば、L/C発行銀行の支払の確約が有ります。輸出者に少々難があっても、発行銀行に乗っかれば対応できます。良くあったのが年商相当のL/C買取が持ち込まれても、発行銀行が一流銀行で書類もクリーン(条件違反無し)であれば、そのまま応じる。と言うものでした。これなど国内融資と外為の違いが良く出ていると思います。(国内融資では年商相当の貸金など打ちませんので)
D/P・D/A(信用状無し)の場合は少々異なります。輸出手形保険で保全を補強しても、輸出者自身の与信状況がポイントになります。多くの場合D/P・D/A(信用状無し)では、取立が第一選択となります。以上が銀行サイドの考えなのですが、これらを理解すると、顧客サイドとして対応が見えてきます。
L/C付であれば先ずは買取が大前提となります。もし資金繰りに余裕が有り、立替金利を払いたくない。こう考えるのであれば買取では無く、プリテンドネゴという方法もあります。このプリテンドネゴですが銀行によって呼び方が違うので、内容を説明して銀行に検討を依頼して下さい。ポイントは銀行との間では取立処理なのですが、対外的には買取表示をして貰うと言うことです。
次にD/P・D/A(信用状無し)の場合は、輸出手形保険も一法ですが、キチンとした担保を提供するの有力候補になります。不動産や有価証券がその代表例です。もしそれでも上手くいかなければ奥の手があります。それは預金担保です。最初からこの話を持ち出す必要はありませんが、第三者名義の預金や他行の預金でも担保になり得ますので、どうしても買取に対して銀行がネガティブの場合使ってみて下さい。担保設定期間もa/s物(一覧払い)であれば、1ヶ月有れば何とかなります。
今回は買取と取立についてでした。
2021/10/18