日本を代表する港町。神戸と横浜。私は外為担当として、どちらの都市も走り回っていました。この両都市。今思っても意外に似た点があるのです。今回はそんな両都市の意外な共通点を、お話ししてみたいと思います。
1. 同じ地名がある
何よりもこれが一番目に来ます。銀行の営業担当も店を出れば街中を走り回るのですが、地名が同じだと勘違いを起こします。例えば「海岸通り」「元町」「山手」など、どちらも似たような場所にあります。似たような場所にありますので、地番を頼りに走り回っていると、神戸と横浜を混同してしまい、目出度く「大人の迷子」になってしまいます。(今ならGPS機能がサポートしてくれますが。。。)
2. 税関が身近な存在である
銀行員の宿命として、新規先を開拓し続ける必要があります。このネタ探しに毎日頭を悩ませるのですが、ここで登場するのが税関です。各税関に置かれた資料室を覗けば、今当地で旬の貿易商品は何かが直ぐ分ります。これをヒントに扱い業者にアプローチを掛けるわけです。また既存先にもここで仕入れた情報を教えてあげれば、通関業者とはひと味違ったサービスが提供でき感謝されました。
更に税関関係で分らないことがあれば、「税関相談室」という便利な部室が有り、銀行員のど素人丸出しの質問にも丁寧に説明してくれていました。東京や大阪で営業していたときは、税関は場所的に遠いので、何かあっても直ぐ税関に飛び込むわけにも行きません。両都市は税関が非常に身近でした。(物理的にも心理的にもです)これが第二点です。
3. 華僑取引が大変だった
神戸には「南京町」、横浜には「横浜中華街」という、一大華僑集団が存在しているのは皆さんもよくご存じと思います。実はこれら中華街の企業と取引をするのが大変に難しいのです。それぞれ窓口機関としては南京町商店街振興組合(神戸)、横浜中華街発展会協同組合(横浜)があるのですが、窓口を訪問して会員企業を紹介して欲しいと言っても、別に銀行のために紹介の労など取ってくれません。(当たり前ですが)
そこで個別にお店や雑居ビルに当たりを付けていきます。しかしほとんどの場合上手くいきません。上手くいかない理由は様々です。
・実権者に面談が出来ない
・会社事務所が別の所にある
・会社組織になっていても社長に利益を集中していて、会社のB/S(貸借対照表)を見てもスカスカで何も無い
・華僑系金融機関が既に取引している 等々
こんなに阻害要因があるので、中華街取引は既存先企業の紹介を貰ってアプローチする。これぐらいしか出来ませんでした。
4. よそ者に優しい
最後にこれは声を大にして言いたいのです。銀行員には転勤がつきものです。その多くは出身地以外の勤務です。いわゆるよそ者状態での仕事になるわけです。この時。よそ者扱いをされると、大変につらいものがあります。しかし、神戸も横浜もこの点では実に立派なものです。どんな人でも受け入れてくれます。その度量の広さは特筆ものです。私は秘かに幕末の開国以来の素晴らしい文化とみていました。
以上、神戸と横浜の意外な共通点についてでした。
2021/09/12