今回は銀行のトラブル・防犯対策を見てみます。今から思えば銀行員生活の日々は、トラブル・防犯との日々でした。人間はお金が絡むと簡単にトラブル・事件になる。これは身に染みました。
出来ればトラブルや事件は起こしたくは有りません。今回はこの気持ちをお伝えすべく、お話を進めていきたいと思います。最初は人の壁についてのお話です。
○○の壁というと某国前大統領を思い出します。ホント。しかしこのお話は前大統領とは全く関係ありません。トラブル回避対策で銀行が良くやる対策です。クレーマーの決まり文句に「責任者を出せ!」があります。要するにお前ら下っ端に話をしても、何のたしにもならない。責任者と話をして、キチンと対応して貰う。こんな意図だと思います。
ここで窮地に陥った担当者をサポートするのが、責任者と呼ばれる管理職です。大抵のトラブルはこの二人(稀に三人)で解決させてしまいます。つまりクレームに対して人の壁を二重(or三重)で対処するわけです。そして極々稀にですが、更に上位者の出馬を仰ぐ場合があります。これは銀行に元々落ち度があり、初期対応も間違えてしまった場合です。
こうなるとお客様は頭から湯気状態です。(こちらも当初のクレーマー扱いは吹っ飛んでます)こうした非常事態への対応として、更にもう一つ人の壁を重ねるのです。この一連の対応を人の壁を作ると言っていました。あくまでも冷静な人を増やすことで、問題解決させるのが狙いでした。
次はエコー作戦です。このやり方は他業態でも行われています。その狙いは不審者に対する犯罪抑止効果です。銀行の店の中に入ると、中に居る行員やロビー係から声が掛ります。「いらしゃいませ」がほぼ鉄板かと思います。これは勿論お客様の来店を歓迎する意味も有りますが、来店目的へのスムーズな誘導の意味もあります。そして何より重要なのが、万一不審者が店内に入っても、声を掛けることによって、その存在を認識したとの明確なシグナルを、その不審者に送る効果があることです。
そしてこの声掛けは、複数人で行うのが望ましいとされていました。つまり店内に入るといろんな方角から「貴方を認識した」との声が、掛かることにより、不審者にその気をなくさせようというわけです。
この声掛け。山彦のように響くことから、エコー作戦と呼んでいました。ここで大事なのが、単に声掛けに終わっては駄目なのです。ロビー担当者の歩み寄りや、窓口担当者の目線合わせ、このような合わせ技も駆使して、防犯対策を完璧にする。このような指導も併せて行われていました。
如何でしたか、この二つのお話。もし皆さんも使えるようでしたら、是非一度試みて下さい。意外にお役に立つと思います。
2021/05/24