先ず問題にしたいのが、銀行合併で店舗はどうなるかです。とりあえずは全店舗残す方法もあります。いきなり店舗統合に入る場合もあります(こちらが多数派です)。いずれにしても、人も物も重複したままでは合併効果はありません。必ず縮小してきます。多くの場合は合併後一年以内に動きが起きます。
その時に例えば輸出買取の枠とか、L/C(信用状)開設の枠といった、与信関連の枠を銀行がどう扱うか見てみたいと思います。先ず合併前に片方の銀行としか与信取引がなかった場合です。この場合は、そのまま存続した店舗に引き継がれます。与信残高は勿論、与信枠そのものも引き継がれます。
次に旧両行に共に与信があった場合です。この場合でも原則はそのまま引き継がれます。但し片方の店の枠に吸収出来る程度であれば、そちらに一本化するのもありです。ここでの注意点は以下の通りです。
一つ目は旧両行で与信に対する考えが異なる場合です。例えば先物為替予約は外為与信そのものとする場合と、外為与信に準ずるものとする場合が有ります。この場合、与信に準ずる場合であれば残高算定や、運用が与信に比べて簡素化されています。ところが新銀行で先物為替予約が、与信そのものになる場合は、統合後は何らかの制限を受ける可能性があります。
二つ目は旧両行の与信枠を合算すると、継続店の取扱権限額を超過してしまう場合です。実は銀行の営業店は迅速かつきめ細かな対応のため、支店長に金額や期間を定めた与信権限を付与しています。この権限内であれば、支店長は本部承認なしで与信が実行できます。ところが統合で与信合算となると、その限度を越える場合があります。
この場合、顧客にとって最悪のシナリオは与信の圧縮です。しかし統合直後に与信圧縮を言ってくる場合は稀です。与信期限が到来し、銀行が継続を検討するタイミングで言ってきます。しかし顧客の業績が良好で、銀行に収益が落ちていれば黙ってます。
自社がどう扱われるかは、銀行の合併発表から店舗の統合発表など、一連の銀行説明の中で、与信枠の存続に対する銀行担当者の態度で、
判断が付きます。もし与信圧縮対象であれば、与信枠利用について、歯切れが悪くなります(自分がそうでしたので)。
いずれにしても取引銀行が合併するのであれば、与信面はどう変わるのか。じっくりと説明を受けることをお勧めします。
2020/10/20