銀行と外為取引をやっていると、与信の制約が出てくることがあります。銀行与信が引き出せないと、上手く立ち回れなくなるのです。
そこで今回はその制約の網を如何にかいくぐるか。このお話をします。
さて銀行は外為先をどう見ているのでしょうか? 実は外為を持ってきてくれる取引先は、稼がせて貰える良い取引先に見えているのです。しかし外為には与信が必要な場合が多々あります。厄介なのは外為与信が国内融資と異なり、お客様から見て与信を受けたという印象が薄い点です。(特に輸出の場合がそうです)事務手続きを頼んだのに、なぜこんなに面倒なのか。こんなお叱りを受けがちです。与信が発生しているとご説明しても、よく分った腹に落ちた。こうは言って頂けません。
そんな場面で、与信の発生しない方法があればどうでしょうか。銀行の対応は単純且つ明快です。ハイ分りました!すぐやります!です。どうすれば銀行に与信ではないと判断させるのか。これを輸出と輸入に分けて見てみたいと思います。なお送金決済は、仕向・被仕向共に原則与信は絡まないので、ここでは割愛させて頂きます。
1.輸出
信用状の有無を問わず銀行に買取をして貰うと、その取引はすべて与信取引になります。与信回避には、買取ではなく取立にするのが常道となります。ただこれだと、輸入側の最終決済まで資金が手に入りません。そこで信用状付でよく利用されるのがプリテンドネゴです。これは海外には買取した旨表示をするが、銀行には買取をして貰わない。こんなやり方です。呼び方は銀行によって様々ですので、取引銀行に一度確認してみて下さい。
この方法は形式的には与信でも、実際の与信残に不算入の場合が多く、与信残を気にせずに、安心して持ち込める利点があります。信用状無しであれば、やはり此処はD/P(支払渡し)が一番です。輸入地銀行が、輸入者と折衝し資金回収し送金してくれます。手数料は発生しますが送金(後受け)に比べて、代金回収の確度は相当程度上と言えます。
2.輸入
こちらが輸入の場合。信用状決済は、手間と費用の両面で得策とは言えません。代わって出てくるのは、輸出の所でもお話ししたD/Pです。ただ輸入者からしてみると、未だ商品代金が手元に有るわけでも無く、実質前払いと変わり有りません。
そこでお勧めしたいのがD/A(引受渡し)です。この方法だと輸入書類到着時点での決済は不要です。その時点では輸入手形への引受裏書で、書類が交付され貨物が引き取れることになります。そして資金決済は、引き受けたときの満期日で良いのです。
現場でD/Aは殆ど目にすることがありませんでした。D/Aを活用して上手く銀行を使えば良いのに、こうよくひとり考えていました。
参考サイト:ジェトロの輸出関連の記述
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000955.html
2020/07/03