皆さんの会社では社員持株会制度はありますか。今回は外為を離れてこの持株会制度を考えてみました。私が銀行に入った頃はNISAもiDeCoもなく、あったのは社員預金と財産形成預金そして社員持株会でした。しかし持株会は引き出しは簡単にできない。配当が出ても再投資されるので自分の手元に入らない。など、散々な言われようです。 |社員持株会をよく考える

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公開日:2020.03.02  / 最終更新日:2022.10.20

社員持株会をよく考える

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皆さんの会社では、社員に自社株式の購入を勧めていますか?

もしそうであれば多くの場合は、社員持株会制度を採っていると思います。今回は外為を離れて、この持株会制度を考えてみました。

私が銀行に入った頃は、自分の資産形成手段として、NISAもiDeCoもありませんでした。あったのは社員預金と財産形成預金、そして社員持株会でした。どれを選んでも良いし、全部をやっても良い仕組みでした。

しかし前二者と社員持株会では性格が大きく異なる上に、使い勝手も大きく違っており、有り体に言うと持株会は不人気でした。何せ当時の社員預金は素晴らしい金利で、10年おけば2倍も夢じゃない。こんな金利でした。財形預金も負けてません。利子補給がある上に、非課税制度が使えるので、利息に税金が掛らなかったのです。

これらに比べれば持株会には奨励金はあるものの、先輩に聞いても、持ち株引き出しは簡単にできない。一度始めると中々止められない。配当が出ても再投資されるので、自分の手元に入らない。等々。散々な言われようです。

そのせいか同じ営業店に配属になった他の新人二人は、持株会に見向きもしませんでした。そこで困ったのが当時内部担当だった副支店長です。新人が会議室に3人集められて缶詰状態となり、そこでいかに持株会が素晴らしいかを聞かされたのです。曰く、持株会制度は立派な福利厚生制度である。

又曰く、銀行の企業価値向上で株価が上昇すれば、給料も資産としての持ち株も一緒に増えてくる。更に曰く、何より諸君らのロイヤルティ発露の場になる。このように優れた制度であるので、是非前向き検討せよ。このように懇々と諭されたのです。

それでも他の二人は無い袖は振れぬと、加入はしませんでした。で、私はと言うと、素直に言を受け取ってしまい、上限額一杯で申し込んでしまったのです。爾来、銀行退職の月まで退会せずに掛け続けました。始めてからしばらくは、給料も上がるし株価も上がる。まさに副支店長の明言通りだったのです。私としても本当に始めて良かった。そう思ってました。

しかし結果はどうなったと思いますか。残念ながら、信じられないぐらい悲惨な状況になってしまったのです。ご承知のように、銀行業界はバブル崩壊後大変なことになりました。株価は正直です。見事なまでに下落していきました。株式投資をやっている人なら、こんな時ロスカット(損切り)を、迷わず実行すると学んでいるはずです。

しかし、持株会の持分引出理由に、「株価下落」なんてありませんでした。当時は下がっていくのを、ただ指をくわえて見るだけでした。しかも現在の3メガバンクに至るまでに、いくつかの合併がありました。合併時に保有株式を新銀行株式に交換するのですが、自分の所属する銀行が吸収される側ですと、旧銀行株1に対して、0.8とか0.7株しかもらえません。

これをやられてしまって、大きく目減りしたのです。なんやかやで結果は増えるどころか、入行以来の持株会拠出金合計を大きく下回り、7桁から8桁の境目位の損を計上してしまったのです。

投資は自己責任とは言え、随分高い授業料となりました。

今皆さんに言えるのは、持株会はほどほどに。ということになると思います。

参考HP:日本証券業協会・持株制度に関するガイドライン
http://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/houkokusyo/h20/mochikabu.html

2020/03/02

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