今回は外為業務で用いる勘定についてお話しします。やや面白みに欠けるかもしれませんが、お付き合いのほどお願い致します。
さて銀行の勘定は大きく分けて、顧客勘定と銀行勘定になります。
普通の会社では自社の勘定以外は、持っていないと思います。二つの勘定を持つ銀行は、有る意味特殊な存在と言えます。
今回のお話ししたい外為勘定は、もちろん銀行勘定の一部です。
行内的には銀行勘定は、国内勘定と外為勘定に分けていました。しかし、日々の総勘定元帳には、一覧表になっていましたから、行内区分は単なる区別程度とも言えるものでした。また勘定項目自体は一般の企業会計と大同小異ですが、経過勘定(いわゆる会計用語のそれとは異なります)の存在が、特色と言えば特色でした。
この経過勘定は早い話、顧客勘定と海外銀行の勘定を結ぶ物であり、最終、個々の残高はゼロになるべきものでした。例えば海外送金を受け付けたとします。その際の資金の流れはざっとこうなります。
まず送金資金相当額の資金を顧客勘定から引き落とします。通常は手数料も同時徴求です。そしてこの送金資金は、外貨建てであれば外貨売渡外国為替、円貨建てであれば邦貨売渡外国為替に入金されます。
この資金はこれから先、送金ルートによって処理が異なります。多数派のUSD建てだと、NYのコルレス銀行の自行口座に入金する。これがメインパターンです。よって外国他店預けに入金します。
また円建てならば送金相手の銀行が口座を持つ、他の邦銀(自行の場合もあり)に、日銀円決済で支払を行います。また相手銀行の口座が自行にある場合は、直接その口座に入金して終了となります。
これら一連の処理はオンラインなので、入力指示と入力処理が正しければ、何の問題も起きません。しかし全てが完全とは行きません。不都合が発生する場合もありました。この不都合状態を勘定不突合と読んでいました。具体的には入金に見合う出金が無い。或いは入金がないのに出金がある。何れも突合が出来ない状態です。
こんな時、本部ではリコンサイルと呼ばれる人達が、その不突合解消に当たります。多くの場合不突合はその段階で解決できるのですが、やはり残る物もあります。
そうなるとリコンサイルの人達は、各方面に調査依頼をかけます。これが営業店に回ってきた場合は、要警戒な出来事でした。つまり不突合の対象に顧客勘定が含まれているのです。本部から来た調査依頼書に基づいて調べるのですが、仕向送金なら仕向相違、被仕向送金なら二重払い。
これらが最も危険な事例です。ほとんどの場合は自分たちに落ち度はなく。「調査結果:異常無し」で回答出来ましたが、当時調査依頼がかかる度に、心臓がドキンとしたものでした。
2019/11/15