銀行員は毎月こんなキーワードに遭遇しています。前回の続きで後編となります。
【7月】 夏休み
普通の会社はお盆前後に、集中して夏休みを取ると思います。
銀行では一斉は流石に無理なので、夏休みは交替で取ります。
特に時期指定は無いのですが、7月から取る場合が多く、いきおい7月の会議は、冒頭から休みに関することが中心となります。
「事前に計画を立てて、引き継ぎをしっかりと行うこと。」
「自分の周囲だけでなく担当先にも気を配ること。」
これにはやや注釈が要りますね。
担当先に気を配れとは、自分の休みを伝えなかった為に、顧客と無用のトラブルになった。こんな事が無いようにすること。こういう意味です。意外に忘れがちな点でした。
(独白)言ってる本人が、真っ先に忘れてたこともあったなあ。
【8月】 お盆
お盆前の会議でメインとなるのは、顧客の休日です。食堂には主要先の夏休みが掲示されていました。自分の休みと顧客の休みが微妙にずれて連続したので、長期間コンタクトできず仕事が滞留した。こんな話もありました。
後でこの担当者は、上席からお灸をすえられていました。更に「体調管理に気をつけるように」これも良く出ました。ただ会議に出席する人間は、他のどの月よりも少なく、今一つ気合いが入らなかったのも事実です。
(独白)8月は無理に会議しなくてもいいのになあ。
【9月】 期末月
中間期末月です。会議も3月末と並んで、檄が飛びやすい環境です。「案件の取りこぼしの無いように!」「数字を残せ!」「総仕上げを!」これらと並んで「来期の計画を早めに立てること」、これも必須でした。いずれにしても前月までとは様変わりの会議でした。
(独白)なんか「人生気合いだ!」みたいだなあ。
【10月】 期初月
銀行は年間で大きく動きますが、実は半年ごとに一旦閉めてしまいます。この関係で10月は4月とよく似た状態になっています。ただ違う点は、世間一般では期初月の認識が薄いこと。4月に入った新人も半年経って立派な戦力になっていることです。
会議もその様相は昔の出陣式さながらで、勇ましい事この上無しです。
「スタートダッシュで圧倒的な差をつけよう!」
「刈り取りの季節だ!我々も刈り取りに全力を挙げよう!」
まだ結果が出ていませんから、私から見れば言いたい放題です。
私はと言えば、このハイテンションにはついて行けません。月間の行動予定の発表程度でお茶を濁していました。
(独白)来年3月の着地状況。大丈夫なんだろうか。
【11月】 何もない月
昔、「日本全国酒飲み音頭」という歌がヒットしました。一月は正月で、二月は豆まきで、三月はひな祭りでと、毎月快調に、酒が飲めると高らかに歌い上げる歌です。この歌、十一月はなんと「何でもないけど酒が飲める!」こうです。こんな月ですから月初の会議でも、当月特有の発言はありません。
その代わりと言っては何ですが、良くあったのは消火訓練とか、避難訓練です。データに当たったわけではありませんが、確かに長期休暇が一番少なく、全員参加しやすいような気がしました。こんな時、気をつけなければいけないのは締めの発言です。総務担当から防犯関連の発言で、「防犯合い言葉の再確認を」という注意喚起が出ます。
すると必ずこれに乗っかってお偉いさんが、
「おい○○!(若手男子が多かったです)ウチの合い言葉は何だ!言ってみろ!」
こう叫びます。こうなると大変です。
防犯合い言葉は、各店で違うのが普通です。いきなり指名されて正解が出せるとは限りません。万一無茶苦茶でも、出席者の爆笑があればセーフです。(特に関西では)が、そんな都合良く行きません。全く受けない答えや、ノーアンサー。
こんな時はお偉いさんの怒りが爆発です。会議が逆戻りします。いわゆるねじの巻き直し状態になります。(最初からやり直しです)何故か11月はこのパターンが3年に1回はありました。
(独白)総務の管理職が「当店は○△□が防犯合い言葉です。」 こう言えば修羅場にならないのに。あーあ。
【12月】 年末
言わずとしてた一年の締めくくりの月。期末月とは別の意味で、ラストスパートが必要です。
会議でも
「今期目標は今年中に目処を付けるように」
「案件は年越ししないように」
「ペンディングを全部洗い出すように」etc.
とにかく皆さん大変な鼻息です。これに加えて「大掃除は○○日に一斉にやる」なども飛び出します。またお盆休みと同様に、各企業の休暇状況も調べる必要があります。本当に盛りだくさんな月でした。
(独白)これで一回りした。それにしてもみんなようやるワイ。
以上、銀行員のキーワードの一年でした。
2019/11/05