メガバンクの銀行員といえども、スーパー銀行員ではありません。各人が持っている外為知識は限られています。
限られた知識でも、教科書的な事であればなんとかなりますが、実際の現場では教科書的な事だけではなく、持っている知識を総動員しても、サッパリ分からないがよくあります。
そこで研修部ではお助け部隊として、ヘルプデスクを設けていました。外為で分からない事があるなら、何でも聞いてきてという部隊です。ここに掛ってくる質問の一つが、今日お話しする英文小切手です。
英文小切手は表券面(小切手の表面です)がほとんど英文字です。日付や支払地がです。更に支払人も英文表記されサインまで入ってます。こうなると電話を掛けてくる担当者は、外為と信じて疑いません。ところがこの英文小切手、所管は外為ではなく国内部門なのです。
しかしこちらに電話してくるぐらいですから、外為所管と信じ込んでいます。しかもお客様は店頭でイライラしながら待っておられる。
この状態ではそもそも論を言っても何の役にも立ちません。最悪、顧客トラブルに直結してしまいます。しかも稀にですが、海外からの小切手を持ち込むお客様もあります。外為先でなければ全部国内取引だ。とはとても言えません。
そこでよく使った手が、日本語表記の確認です。英文小切手であっても日本語の部分が実はあります。つまり日本語があれば英文小切手(すなわち国内取引扱い)。なければ外貨小切手なので外為取引。こう仕分けて貰うのです。(正確に言うとこの場合は円表示の外貨小切手ですが)
さてその日本語表示の部分はどこかと言えば、小切手券面右上にあります。いわゆる手形交換所欄です。ここは小切手の所属を示すところなのですが、小切手要件には関係がないので、英文小切手であっても堂々と日本語で書いてあります。(東京とか大阪とかです)ここがあるかないかを、電話を掛けてきた担当者に見て貰います。
ここがある場合は100%国内小切手なので、落ち着くように言って、英語に惑わされず入金や取立処理を行うように伝えてました。これで一件落着です。
この交換所欄は有る無しは結構重要です。手形・小切手法上では、使う用紙に特に制限してません。お互いが了解すれば、その辺のメモ用紙でもOKです。ただそれでは銀行は堪りませんので、手形交換所制定の様式を整えた用紙を使って貰っています。
この制式用紙には手形交換所欄が必ずあるので、こんな回答が出来るわけです。さてここに日本語がなかった場合は、外為所管となりますので、コピーをFAXやPDFで貰うなどして、外貨小切手としてチェックします。
現在、銀行によっては、外貨小切手取扱を止めたところもあります。その場合はお断りするのが、正しい事務処理となります。
以上、英文小切手についてでした。
2019/03/30